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焼石連峰小出川、成瀬川支流北ノ俣沢、太平山系朝日又沢、和賀山塊・袖川沢の滝
▲焼石連峰胆沢川支流小出川源流の滝・・・小出川上流柏沢最大の滝、30m大滝

「胆沢川は、奥羽山脈の南部・焼石岳(1,548m)を源流とし、栗駒国定公園の一部を形成している。
焼石岳山頂周辺は、岩手県側に属しているが、秋田県東成瀬村、増田町、十文字町では
地元の山として憧憬され続けてきた山である。

焼石岳から南に連なる県境稜線をなす東山(1,117m)、
栃ケ森山(1,070m)を源流とする広い流域をもつ川、それが小出川である。
小出川の流域は丸い形をなし、枝沢が多い。

東山沢、柏沢と合流すると小出川となり、流程およそ九キロで本流胆沢川に注ぐ渓である。
入り口は、長大なゴルジュ帯で狭く、「出口が小さい」ということから小出川となったのであろう。」
(「自然倶楽部1992年1月号 焼石連峰胆沢川支流小出川源流行」菅原徳蔵記)
▲小出川の入り口は長大なゴルジュが続く。増水すれば沢を下るのは不可能。 ▲トヨ状の流れが滝壷に吸い込まれていく(栃川)
▲奇岩滝、ヒトハネの滝 ▲小出川下流のゴーロ滝 ▲栃川は、ツナギ沢出合い上流よりナメ、ナメ滝が連続している

「渓は両岸が切り立ち、確かに狭かった。
角張った岩の壁をへツリながら難無く前進したが、増水したらと思うと、これは帰還不能の谷だと思った。
壁は両岸とも直に切り立ち、その下を深い淵がゆっくりと流れている。
重い荷を背負い、落ちたら大変なことになる。
慎重に三点確保で進んだ。ゴルジュは思ったより暗く長かった。

両岸から流入する細流の沢でゴルジュは終わり、渓は一気に開けた。
ここからは快適な遡行が始まった。・・・
広い河原を過ぎると、今度は巨岩のゴーロだ。
巨岩の岸辺りの岩肌は苔に覆われているが、そこをアップダウンを繰り返しながら進む。

渓を塞ぐ巨岩の小さな隙間をくぐり抜けると、右岸から枝沢が流入している。
入り口を完全に塞ぐ巨大な岩が横たわり、僅かな隙間から水が滴り落ちていた。・・・

長い河原が終わると今度は奇岩滝だ。
ブツブツになった岩肌を、太古の昔から削り続けてきた流れは、
タコツボのような穴を幾つも形造り、その穴の中へ吸い込まれるように落ちていく。

その上部は、広いナメ床で、疲れた足に心地よい。やはり、夏の遡行はナメに限る。
そのナメ床を快適に歩くと、まもなく大高鼻沢、栃川合流点のキャンプ地にたどり着く。
ゆっくり歩いて三時間であった。浮気をせずに遡行に専念すれば、二時間でたどり着くだろう。」
(「自然倶楽部1992年1月号 焼石連峰胆沢川支流小出川源流行」菅原徳蔵記)
▲栃川・三条のナメ滝
「十二時を回ったところで、私とA氏は栃川を釣り遡った。
渓を覆い尽くした森の中のトンネルは、光を遮りやや暗い。
水量は渇水に近く、瀬尻から走るイワナが丸見えだ。・・・

八百メートル程でツナギ沢にたどり着く。
入り口に七メートルのナメ滝があり、そこは深い壷となっていた。・・・
栃川をさらに遡っていくと、ナメ床、ナメ滝の連続となった。
ナメの渓は美しく、遡行は快適だが、それとは逆にどこの渓でもイワナの魚影は薄い。・・・

三段七メートル滝を越えるとまもなく上二股に達する。
小イワナが走る渓をゆっくり歩いていると、突然大滝が出現。」
▲栃川大滝30m
「ゆうに三十メートルはある大滝だ。
落下する風圧は物凄く、滝の中間部は大きく快り取られ、オーバーハング状となっている。
壷は浅いが、落下する風圧で波立ち底は見えない。・・・
這うように壷に近づいた。

都合がいいことに、風圧で波打つ水面は私の影をすっかり消してくれる。
熱い思いを込めて、壷に竿を静かに振り込んだ。
以降、何回も振り込んでみたものの、魚信は全くなかった。」
(「自然倶楽部1992年1月号 焼石連峰胆沢川支流小出川源流行」菅原徳蔵記)
「私はふたたびブナの森に誘われて、転がっていた平たい石に座った。
ブナの森は光りも音も、そして風も吸収する。沢の音、風の音。
ともに、深い森の中では静寂の音に変わる。

天を覆う緑を透視する光り。苔むした太いブナの根元に佇む。
スベスべした木肌を摩る。抱き着く。「母なる木・ブナ」がそこにあった。
森の中に雨が降れば、それは慈雨となり、光が差し込めば慈光に変化する。

そんな森の中で、蝶が舞い、虫が歌う。私は完全にブナの虜になっていた。
気がつくと、ただいたずらにボロカメラのシャッターを押し続けていた。」
(「自然倶楽部1992年1月号 焼石連峰胆沢川支流小出川源流行」菅原徳蔵記)
▲栃川支流ツナギ沢F1、7mナメ滝 ▲ツナギ沢出合いの7mナメ滝を越えると、小滝が続いている
▲清流・ツナギ沢 ▲ツナギ沢F2、3m滝
▲東山沢2mの滝壺 ▲東山沢トヨ状のゴルジュ滝
▲左から栃川が合流する二又付近 ▲大高鼻沢二段10m滝

「(大高鼻沢の)ナメ床を進むとすぐに三段六m滝。
壷の真ん中に流木が突き刺さり、いかにもイワナがいそうであったが、アタリなし。
ツルツルの壁を慎重に伝って滝上に出ると、二段十m滝。この壷でもアタリなし。

巻いた跡がないところを見ると、イワナはもう居ないのかもしれない。
けれども無性に上流の沢を見てみたかった。
左岸の急な草付けを掴みながら巻いた。

視界を遮るものはなく、振り返るとブナの森が光りに輝いている。
しばし、壮大な眺めにみとれる。
空を見上げると青空が広がり、その中を小さな雲の切れ端がゆっくりと流れていく。・・・

さらに巻き続けたが降り口はなく、頼りの木もない。
見下ろすとゴルジュ帯は小滝を伴ってどこまでも続いているようだった。」
(「自然倶楽部1992年1月号 焼石連峰胆沢川支流小出川源流行」菅原徳蔵記)

後年、この大高鼻沢右岸の尾根に千年の古道・仙北街道があることを知る
▲柏沢最大の滝、30m大滝
両岸が屹立する岸壁、その遥か天井から落下する迫力は満点だ
小滝を含めると3段の滝が連続している

柏沢は、千年の古道・仙北街道のピーク・柏峠(1018m)を源に発する
だから柏沢大滝は、歴史のロマンを秘めた古道を辿る小出川源流行のフィナーレにふさわしい見事な滝だ
古道を歩くだけでなく、原始性を秘めた清冽な沢を歩き、自然と人間と文化を再発見してほしいと願う
成瀬川支流北ノ俣沢の滝
▲唐松沢ヨドメの滝、二段8m滝
{秋田県の東南端、栗駒国定公園の山懐を流れる清流・成瀬川に沿って開ける仙人の郷、東成瀬村。
山村に住む人々に山の幸を提供してきた集落最大の支流である北ノ俣沢は、
天然林に覆われた山々に囲まれ、5本もの長大な枝沢を有し、それら全てに清流の証しであるイワナが棲息している。

しかし、このところカラ梅雨で沢の水は極端に少ない。
沢は両岸が切り立っている割りには、広い。
とくに難所もなく快適に遡行できる。

2時間もかからずに4キロ地点に着く。
桑木沢、唐絵沢合流点はゴルジュ帯となっていてキャンプの適地はなく、
その下流部左岸の河原にテントを構えることにした。」
(「自然倶楽部1993年5月号 成瀬川支流北ノ俣沢」菅原徳蔵記)
▲合ノ俣沢4m滝 ▲土賊(とくさ)沢F1の滝・・・この沢は見ごたえのある滝が多い ▲土賊(とくさ)沢F2の滝
▲土賊沢右岸の残雪 ▲北ノ俣沢第二ゴルジュ滝
▲土賊沢左岸枝沢、二段の滝・・・深い緑の中をナメとなって滑り落ちる白い帯は美わしい ▲土賊沢源流部のSBと二段ナメ滝
雪煙が舞う見事なSBのアーチ・・・その下を流れる二段のナメ滝は美しい
▲桑木沢5m滝・・・本流から遡上するイワナ止めの滝 ▲桑木沢4mナメ滝・・・この滝上から渓相は一変し、変化に富む

「野営の準備が終わると早速、中村全長とともに桑木沢に入る。
桑木沢の入り口は、両岸が圧縮された廊下状のゴルジュ帯で暗い。
増水時は大きく巻く以外に通過は不可能である。

長いゴルジュを越えるとまもなく、5mのナメ滝が現れた。・・・
左岸を巻くと、渓相は一変し広い河原となる。
真夏の渇水のように流れは緩く底石が丸見え、もちろんイワナも丸見えである。・・・

イワナと遊び、河原をさらに遡っていくと巨大な岩に出会う。
なんと高さ10mを越える巨大な岩石、自然の妙には度肝を抜かれる。
しかし、巨岩はあるものの、積み重なってゴーロ帯になるほど勾配はきつくはない。

沢沿いには桑の木が群生、まだ青い実をたくさんつけている。
「桑木沢」という名は、これからきたことに間違いないだろう。」
(「自然倶楽部1993年5月号 成瀬川支流北ノ俣沢」菅原徳蔵記)
▲桑木沢・幽谷の滝・・・ミニナイアガラの滝
「桑木沢最大の見所は人里離れた幽渓の滝の趣はミニナイアガラだ。
滝の上部は、堰堤のように横一線。

川幅一杯に音を立てて滑り落ちる様は、夏の釣り師を圧倒する。
滝の落差は低くとも、目の前一面に落下する滝は圧巻だ。」
(「別冊フィッシング第49号1998年、麗しき渓・・・滝」菅原徳蔵記)
「左の沢からもナメ滝となって合流。
まるで人工的な堰堤のような形だが、自然の造形美にはかなわない。」
(「別冊フィッシング第49号1998年、麗しき渓・・・滝」菅原徳蔵記)
▲6m滝 ▲カマクラの滝
▲桑木沢標高670m、ヨドメの滝「穴滝」 ▲標高685m二又、両方から滝となって合流している
「黒く光る小滝、深緑の森を駆け抜け、ひたすら魚止めをめざす。
やがて、黒いブツブツした岩肌、上部は大きな穴にぶつかり落下する奇妙な滝に出会う。
穴滝とでも命名しておこう。

右岸を巻いて・・・魚影を確認できないまま、二又に辿り着く。
両岸からナメ滝となって合流している珍しい滝だ。
白い帯と真っ赤なツツジが麗しい。最後のフィナーレを飾るにふさわしい滝だった。」
(「別冊フィッシング第49号1998年、麗しき渓・・・滝」菅原徳蔵記)
▲標高685m二又右の沢出合いの二段ナメ滝 ▲標高685m二又左の沢出合いのナメ滝
▲唐松沢・流木滝5m ▲唐松沢右岸の出合い滝4mナメ滝

「翌日、竿を背負ったまま唐松沢を歩く。
両岸が切り立っているが、頭上はブナ、ミズナラ、トチ、カツラなどの深い森に覆われている。
初夏の森は眩しいくらいの緑の光を放ち、流れる水は深い緑に染まりながらゆったりと流れている。

2条の滝、切り立つ岩壁、小さな釜が連なる河原。
赤茶けたナメ床、すり鉢状のゴルジュ帯、そして水の滴り落ちる一枚岩には、
緑の苔と丸葉の大群落など変化に富みなんとも楽しい沢だ。

桑木沢は『桑の木』からきている。
とすれば、唐松沢は『唐松』に違いないと思って注意しながら歩いていると、
あった! 左岸か流入する枝沢、その分水尾根沿いに唐松の群落。
平ノ松山(1、169m)という山の名前もまた松である。

先人達は、よく観察しながら名前をつけるものだと感心してしまう。
上流に行くにしたがって森は深くなった。
ナメの奇岩、甌穴は見事だ。6.2m地点は廊下状のゴルジュ帯。
直立する黒壁に水が滴り落ち、斑模様にタイモンジソウが生えて麗しい。」
(「自然倶楽部1993年5月号 成瀬川支流北ノ俣沢」菅原徳蔵記)
▲唐松沢廊下状ゴルジュと左岸の滝 ▲唐松沢3mナメ滝
▲唐松沢ヨドメの滝、二段8m滝
「相変わらずゴルジュ帯とナメ床が交互に現れてくる。
変化に富む渓を遡行するのは楽しいが、魚影は薄いようだ。
トヨ状のゴルジュ帯を抜け、ナメ床や河原に点在する流木に身を隠し釣り上っていくと、
2段となった8m滝に出会う。

滝は両岸が切り立った壁になっていた。
下段は小さな滝壷・・・上段は、岩盤が深くえぐられた大きな滝壷だ。

左側に流木が突き刺さっていて、その底にはイワナがウヨウヨいるような見事な滝壷を形成している。
天然の養殖場といった雰囲気をもつ滝だ。上段を釣るには、身を隠す障害物が何もない。

岩盤に立ったのではイワナに丸見えになってしまう。
会長は、傾斜した岩盤にへバリ付くような姿勢で接近した。
落下点下流の瀬尻に餌を投入するとまもなく、竿が大きな弧を描いた。」
(「自然倶楽部1993年5月号 成瀬川支流北ノ俣沢」菅原徳蔵記)
太平山系・大又沢支流朝日又沢の滝
▲朝日又沢中流部に懸かる滝
滝は鬱蒼とした渓畦林に覆われ暗い
その渓を覆いつくすブナの葉陰から柔らかな日差しが差し込むと、無色透明の水が妖しいほどに輝やく
▲滝の全景 ▲滝の清冽な飛瀑 ▲滝頭から滝壺を望む
▲北ノ又沢ヨドメの滝15m
渓畦林のトンネルの中をくぐり抜けるように右に曲がると、
暗い谷に白い瀑布が浮かび上がるような滝が現れる
滝頭の真ん中に突き出した岩と白い瀑布は、まるで恐竜が白布をまとっているような奇妙な姿に見える
▲ゴルジュに懸かる小滝・・・ここから、落差の激しい壷が上二又(南又沢合流地点)まで続く
▲南又沢ヨドメの滝下部・・・滝下からでは滝の全貌は見えない
▲南又沢ヨドメの滝60m・・・対岸から見ると、滝は数段からなっているのが分かるが、見える範囲は落差が30mほどにしか見えない ▲滝の右岸を大きく高巻き、連続滝の上部を撮る・・・この滝はデカク、総落差は60mにも及ぶ見事な滝である
▲底石まで透けて見えるような清流
▲北又沢ヨドメの滝三段7m ▲北又沢のゴーロ

和賀山塊・斉内川支流袖川沢の滝
▲袖川沢ヨドメの滝3m
落差はわずか3mしかないのに、なぜかこの滝上には、イワナが生息していなかった
増水した場合を想定すれば、イワナが自力で遡上できそうな落差ではある
他の滝と違う点は、滝の落ち口が極端に圧縮されていること
こういう滝なら、落差が小さくとも流速が速すぎてイワナの遡上を阻んでいるのだろうか
▲つきどまり大岩
▲天然秋田杉の巨木
大杉沢、小杉沢の沢名が示すとおり、天然秋田杉の巨樹は素晴らしい
▲袖川沢名物・夫婦岩
「2つの堰堤の間には巨大な岩が座っている。「つきどまり大岩」。
明治29年の真昼地震の時、袖川沢の入り口を塞ぎ込み、以来ここに居座り続けているらしい。
上部の堰堤のハシゴを登り、左岸から右岸に渡った。増水時は横断が不可能な所だ。
右岸についている踏跡を辿ると、おびただしいほどのガレキ。
広々とした河原には丸裸の枯木、その下をゆっくりと蛇行しながら流れる・・・

平凡な河原に飽きる頃、大岩の点在するダイナミックな渓相へと変化した。
渓は直立する壁が眼前に構えているが、流れる川床は広い。
他の渓とは明らかに異なる風景があった。
広葉樹の中に杉やヒバなどの針葉樹が目立つ。
人工の杉林ならガッカリするところだが、天然の混交林の森は、ある種の美を感じさせてくれた。

左岸には10m程の巨岩が二つ、仲良く座っている。
岩の頭には樹木が生え、まるで夫婦仲良く寄り添っているかのように見えた。
釣り鐘状の巨木が渓を包み込むように奪え立つ河原で荷を下ろした。

流れる汗を拭きながら巨木に近づき見上げると、その巨大さに驚かされた。
袖川沢の主と呼びたいほど見事な秋田杉である。
山々を見回すと、紺色の剣のように聾え立つ森があった。
同じ根元からブナと杉が同居している。まるで秋田の森の原点を見る思いだった。」
(「自然倶楽部1994年6月号 秋田・真木渓谷袖川沢」菅原徳蔵記)
▲小杉沢合流点上流に懸かる3m滝

「大杉沢を越え、渓を塞ぐスノーブリッジを渡ると小杉沢が合流する。・・・
合流点よりすぐ上に3mほどの滝があった。
左側は垂直な壁、1mもない幅から一気に滝壷に落下している。
壁は飛び散る飛沫で黒く光っていた。・・・

この滝より上は左右に蛇行した河原、絶好のテント場となっている。
一帯はウド畑。腰からナイフを取り出し、深い根元から切り取った。
根元の白と赤のコントラストは食欲をそそる。タケノコ、シドケ、ウドなど山菜は豊富だ。
車止めにあったつきどまり大岩″の看板には、『袖川沢は山菜の宝庫』と書いてあったが、看板に偽りはなかった。」
(「自然倶楽部1994年6月号 秋田・真木渓谷袖川沢」菅原徳蔵記)
▲3m滝の滝頭
▲滝の右岸・・・まるで斧で切り落としたような垂直の壁には驚かされる
袖川沢のイワナは、腹部の橙色が薄く、全体的に黒っぽい
体型は、スマートなイワナが多い
▲ヨドメの滝3m
▲二条の滝 ▲右から竹ノ内沢が合流する二又 ▲ここから長大なゴルジュと滝が連続する
「500mほど釣り遡ると両岸が極端に圧縮された3mほどの滝があった。
左岸の壁は厚く切り立っており、流れはその厚い壁を抉り、大きなエゴとなっている。・・・
崩壊した土砂の斜面をきわどく高巻く。

眼下に二条のナメ滝が見えた。すぐに竹ノ内沢が合流する二又。
合流点には大きな丸岩が居座り、急斜面の分水尾根には天然杉が林立している。・・・
本流のゴルジュを徒渉し、所々渓に覆いかぶさる雪渓を越えながら遡行すると、大きな滝の音が聞こえてきた。

渓は一気に圧縮され、長大な壁が両岸に迫っていた。
ツルツルの黒壁をへツろうとしたが、飛沫で濡れた壁は容易に釣り人を寄せつけなかった。
以降、長大なゴルジュと滝の連続、もはやイワナ釣りの世界ではなく、沢登りの世界だった。」
(「自然倶楽部1994年6月号 秋田・真木渓谷袖川沢」菅原徳蔵記)
▲キクザキイチゲの群落
▲天然秋田杉の森 ▲ウド ▲ブナと杉の合体、混交林でしか見ることができない自然の妙
「小杉沢合流点右岸はブナと杉の原生林、その森の中へ入った。
鮮やかな緑を放つブナの奥に二抱えも三抱えもある天然杉が林立していた。
人工林とは違い、その間隔は広い。

針葉樹は一般に嫌われものだが、原始林となれば杉の森といえども感動に値する。
寿命が尽きた巨木を眺めながら歩くと奇怪な光景に出合った。
よく見るとブナと杉が合体しているではないか。枝分かれしたブナが杉の股間に突き刺さっている。
余りの見事さにしばし見とれてしまった。

左岸側はいまだ多くの残雪がある。
ウドを採りながら進むと、キクザキイチゲの白とカタクリの赤が一面に広がるお花畑に出くわした。
しばし、カメラを向けて遊ぶ。細道をさらに下るとネマガリダケの群落。

おいしそうなタケノコがあちこちに顔を出していた。
タケノコ採りは明日の楽しみにとっておこうと思いながら、キャンプ地へと向かった。」
(「自然倶楽部1994年6月号 秋田・真木渓谷袖川沢」菅原徳蔵記)

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