深山幽谷の滝Part1 深山幽谷の滝Part2 深山幽谷の滝Part3 深山幽谷の滝Part4
深山幽谷の滝Part5 深山幽谷の滝Part6 山釣り紀行TOP


森吉山系粒様沢、ノロ川上流赤水渓谷、桃洞渓谷、小和瀬川支流中ノ又沢、八久和川水系湯井俣川の滝
▲粒沢のイワナ止めの滝6m
山の頂上から俯瞰すれば、簡単に山の外観をつかむことができる
だが沢は、未知の扉が連なり、源流まで歩き続けない限り全容は見えない

だからこそ、常に神秘的な雰囲気を感じながら奥へ奥へと入ってみたくなる
そしてその奥で出会う深山幽谷の滝は、沢の華であり、
その聖なる滝壺に黒い影・岩魚でも群れていようものなら、無上の喜びを与えてくれる

森吉山系粒様沢の滝
▲粒様沢下流部
▲旧ヤマメ止めの滝、3段3m ▲標高約470m地点二又・・・左から粒沢、右から様ノ沢が合流して粒様沢となる

「太平湖は昭和29年、小又川上流に建設された森吉ダムによって造られた人工湖である。
森吉山県立自然公園の一角、太平湖に注ぐ小又峡は、
長い間人の踏み込めない未踏の地であり、「神の宿る原始峡」と呼ばれていた。

自然公園一帯は、天然記念物クマゲラや熊も多く棲息し、阿仁マタギたちの活躍の舞台でもあった。・・・
柴倉岳(1,202m)に源を発する粒様沢は、12kmに及ぶ長大な渓流であるが、
8.3km地点6m滝までイワナの遡上を阻むものはない。・・・

軌道跡を辿るとまもなく通らずのゴルジュ、流木の横たわる3m弱の滝に出合う。
その上部から沢に下りる。快適な赤茶けたナメ床が続く。
1時間程遡行すると右岸から流入する枝沢。そこを過ぎると、第2の通らずのゴルジュとなる。

ここは右岸に残っている軌道跡を辿り巻く。
以降、遡行を阻むものはなく、どこまでも平坦な河原やナメとなり、変化の乏しさにうんざりするくらいだ。・・・
やがて二又近くになると次第にゴーロとなり、ややイワナの匂いのする渓相に変化。
二又下流500m付近にキャンプを設営。・・・

3段3m滝に達する。ここはかつてヤマメ止めの滝と呼ばれていたが、この滝上にもヤマメは棲息している。・・・
二又で水の色の違いに驚く。粒沢は笹濁りにすぎないのに、様沢は赤茶けた濁流と化している。・・・
伐採は二又下流までなのに、様沢の出水は早く濁流と化す。
それは様沢特有の脆弱な地質のせいに違いない。」
(「自然倶楽部1992年12月号 粒様沢源流」菅原徳蔵記)
▲左岸に懸かる長大なスラブ滝200m ▲粒様沢左岸の背後の壁は切り立ち、山越えルートは皆無に等しい ▲様ノ沢のスラブ群

特に上流の様ノ沢は、巨大な一枚岩が連なるスラブ群が深い谷底から一気に迫り上がる秘境の渓谷で、
沢通しの遡行は困難を極める・・・その様ノ沢源流に懸かる九階の滝は見事な滝である
▲粒沢と様ノ沢が合流する二又のテン場 ▲ナメの小滝

二又左岸は、清冽な流れとブナ林に囲まれた素敵なテン場だ
粒沢右岸の山腹には、源流奥地まで森林軌道跡が残っている
▲粒沢左岸のスラブ滝
融雪あるいは雨などで水量が多い場合は、滝の幅が広いだけに清冽な滝に変身する
滝の下部はオーバーハング状の大きな穴となっており、
その中に入れば、聖なる飛沫と大量のマイナスイオンで気分は爽快となる
▲粒沢のイワナ止めの滝6m
イワナ止めの滝は、太平湖から約9km上流にある
太平湖から遡上してくるイワナは、この滝壺が終点である
だから、「イワナ止めの滝」と呼ばれている
滝壺の右下の甌穴は、滝を落下する水の力で深くえぐりとられたもので、イワナの格好の隠れ家となっている
▲イワナ止めの滝を縦構図で撮る ▲滝頭から滝壺を望む・・・この滝は左岸に巻き道がある

「粒沢の流れは冷たく、清冽な流れと呼ぶに相応しい。
水量が安定していることを証明するかのように、点在する岩には苔がびっしり生えている。・・・
まもなく今回最大の目的地、イワナの滝壷に達した。

滝はS字状に屈曲している。右に直角に曲がると滝壷が見える。・・・
滝壷は左に直角に曲がっている。落差はおよそ6m。
滝の音は直立する黒壁に反響し、凄まじい轟音を発していた。

流れは黒壁にぶつかり大きな穴となっている。
その右側の淵尻には大きなブナの流木が横たわっていた。
左にはブナが頭から滝壷に突き刺さり、ポイントの底は枝木がギッシリ詰まっていた。

・・・左岸を巻いて滝上に出る。」
(「自然倶楽部1992年12月号 粒様沢源流」菅原徳蔵記)
▲様ノ沢源流に懸かる幻の滝・九階の滝
九段からなる滝の落差も凄いが、むしろ目の前全てが蟻地獄のように連なるスラブ群に圧倒される
だからこの一帯には獣も近付けない

かつて阿仁マタギは、この一帯を猟場にしていたが、様ノ沢だけは例外だった
マタギは、クマも寄り付かない険谷を「神様の沢」として畏怖していたという
だからこそ「(山神)様ノ沢」と命名したに違いない
▲745mコルの右を辿ると、九階の滝の全貌が見える ▲第二のビューポイント・・・全貌は見えないが、最も至近距離から滝の迫力を体感できる

奥森吉最大の滝・九階の滝という稀有の景観を造り出したものは・・・水の力
まさに山の神、水の神の造形美・・・神々が宿る滝を目の前に声を失う
森吉山系・ノロ川上流赤水渓谷の滝
▲兎滝・・・落差20m
なぜこの滝が「兎滝」なのか・・・
滝をよく見ると、何となく動物の形をしているのが分かる
いつもより水量が多く、不鮮明だが、左向きに上部が頭、その下が手と足で斜め下になっているように見える
見ようによっては白兎、白犬、白馬のようにも見える
▲水量が多いと滝下りは危険・・・ザイルで安全を確保し下降する
滝を下っているのは、わざわざ札幌からやってきた沢登りパーティ14名の大集団
今回は桃洞渓谷を詰め上がり、尾根に出て、赤水渓谷を下る一周コースだという
▲甌穴ノ滝・・・入渓点から兎滝まで約3kmも一枚岩盤のナメ床、ナメ滝、大小の甌穴が続く ▲ヤスミバノ沢を過ぎると、右手に赤水渓谷の湧水がある・・・この上流、桃洞沢分岐点から約1.9km地点左手の小沢が九階の滝コースの起点になっている ▲いずれのナメ滝も落差は小さいが、甌穴がよく発達している。黄葉とナメ滝シャワーを浴びながら歩く快感は、何にも変え難い。
▲赤水分岐の左沢は玉川温泉に向かうルートで、入口から小滝と甌穴が連続している。かつて、地元の人たちは、忙しい田植えが終わると、骨休みに、このナメロードを通って玉川温泉に通った。だから湯治場街道とも呼ばれている。 ▲赤水分岐を過ぎ、渓畦林に包まれたナメロードを1kmほど上ると、兎滝に辿り着く

森吉山系・ノロ川上流桃洞渓谷の滝
▲桃洞の滝を撮る・・・落差25m
誰しもこの滝を見れば、自然の造形美に圧倒される
何と女性のシンボルにそっくりではないか・・・
別名「女滝」とも呼ばれ、地元では「子宝の滝」、「安産の滝」として慕われている
▲桃洞の滝手前の右岸に懸かるスラブ滝 ▲桃洞の滝全景

夢中で撮影していると、ズックスタイルの女性集団がやってきた
桃洞の滝を見るなり、「アラ〜、そっくりだ。あゃ〜どでんしたな」を連発
「男滝があると聞いたんだけど、どこにあるんだ」
「この滝の上だよ。女性じゃ、男滝は簡単に見れるもんじゃないよ」
▲桃洞の滝左岸脇を登り滝上へ。危ない岸壁には、岩を削った足場があり、楽に登ることができる。 ▲滝頭から下流を望む
▲滝上は名もない小さなナメ滝と釜、甌穴が連続。見渡す限り岸壁が連続しているが、渓は開け、すこぶる明るい。 ▲連続する小滝と釜。斜め正面から光が射し込む逆光で流れが妖しいまでの輝きを放つ。 ▲谷が狭まり、大きなナメ滝が懸かる斜面は、小さく高巻いて滝上へ。最初は滝の数をカウントしていたが、余りの多さにキブアップする。
▲左岸に懸かる八段の滝。
▲中ノ滝・・・滝の美しさより、周りの岸壁の奇怪な縞状模様に目を奪われた。不思議な「水の造形美」は圧巻だ。 ▲男滝・・・右の写真は、滝の左岸の壁を上る。近づけば、さすがに男性的な壁だった。ここにも岸壁にボルトを打ち込み固定したロープがあったので快適に上る。

桃洞の滝上は、源流部まで岩魚の走る影はゼロだった
なぜなら、渓に点在する岩はゼロだから当然のこと
岩壁は柱状摂理が全く見られず、いきなり風化して砂と化すような岩質だ

だから岩は皆無・・・延々と天国のナメロードが続く
このナメロードを歩くベストルートは、桃洞渓谷を詰め、赤水渓谷を下る一周コースがおもしろそうだ

玉川水系小和瀬川支流中ノ又沢
▲発電用取水堰堤下流は、全量取水され、ほとんど水は流れていない。ナメ滝が連続する美わしい渓だけに残念だ。
▲8mナメ滝 ▲発電用取水堰堤。下流には、一滴の水も流れていなかったが、この上流は、一転水を得た魚のようにダイナミックな渓となる

「小沢を伝って小和瀬川に下降、流れはまさにチョロチョロの水しかない。
沢は岩盤のナメが連続し、歩きやすいのが特徴だ。
さらに、小滝、ナメ滝が連続し、遡行者を飽きさせないのもいい。・・・

ナメ床の連続する渓は、巨大な甌穴や小滝、ナメ滝が連続し、ただ歩いているだけでも楽しい。
ただ水量が少ないのが残念だ。・・・
ナメの岩盤は滑りやすく油断はできないが、滝周辺には数箇所にロープがあった。
大深沢から山越えをして小和瀬川を下った沢登りの人たちの残骸に違いない。
沢登りの人たちにとっても、ナメが連続する小和瀬川は快適で楽しいことだろう。

左手から大倉沢が合流すると、まもなく取水堰堀だ。
最近修復したばかりのようで鉄骨のスクリーンは新しい。
流れの全量を取水していたが、イワナや川虫のことを考えて下流にも水を流してほしいものだ。・・・

水の少ない谷を歩いてきただけに、堰堤上流は、
流れが息を吹き返したような躍動感に溢れている印象を強く受けた。」
(「別冊フィッシング第57号 1999ヤマメ・イワナの渓 小和瀬川中ノ又沢」菅原徳蔵記)
「堰堤上流は小滝や5m前後のナメ滝が連続している。
ナメ滝は渓全体が巨大なシャワーとなって釣り人の心の渇きを癒してくれる。
だから、私にとっては最も好きな滝だ。

輝く深緑、ブナの流木が横たわる滝壷、白泡となって流れ落ちる音を聞きながら竿を振る。
幽深な源流のイワナ釣りにふさわしい渓が続く。」
(「別冊フィッシング第57号 1999ヤマメ・イワナの渓 小和瀬川中ノ又沢」菅原徳蔵記)
「ナメ滝を8回ほど越えると、渓は穏やかさを取り戻す。
谷が狭くなるとともに、ブナが渓をすっぽり包み、谷は暗い。
葉陰から苔むした自然庭園に光が差し込む。・・・」
(「別冊フィッシング第57号 1999ヤマメ・イワナの渓 小和瀬川中ノ又沢」菅原徳蔵記)
▲スズノマタ沢ヨドメの滝、落差およそ10mのナメ滝
標高694m二又で明通沢とスズノマタ沢に分かれる
右のスズノマタ沢に入り、500mほど進むとヨドメの滝がある
滝の幅が広く、大深沢のナイアガラの滝に似ていることから、「ミニナイアガラ」とも呼んでいる
▲ヨドメの滝全景 ▲ヨドメの滝上を探ったが、沢の勾配がきつく、イワナは生息していなかった ▲曲崎山と大沢森の間のコルからスズノマタ沢を下降した際、沢旅のフィナーレを飾る滝として記念撮影

「イワナの匂いに誘われて魚止めをめざす。・・・
左から合流する明通沢出合いを過ぎても、沢はまだまだ深い。
だが、めざす魚止めの滝は意外にも早くやってきた。

魚止めの滝は落差10mほどのナメ滝で、スケールはまるで違うが、大深沢のナイヤガラの滝に似ている。
橙色を帯びたイワナといいナメ滝といい、よく似ていることに感心させられた。
この滝を見て、私は、この上にもイワナがいるはずだと思い、右の草付きをつかみながら滝上に出た。

すると沢は二つに分かれ、右手の沢はさらに連続するナメ滝、左は階段状のゴーロが続いていた。
胸のときめきを抑えながら竿を出してみたが、当たりなし。
すぐにゴーロは急勾配となって分水嶺に向かっている。
イワナの生息限界を越えたゴーロを見て諦めざるを得なかった。」
(「別冊フィッシング第57号 1999ヤマメ・イワナの渓 小和瀬川中ノ又沢」菅原徳蔵記)
▲沢を歩いて気分がいいのは、何と言っても清冽な水がシャワーとなって流れるナメ床、ナメ滝だ
中ノ又沢は、舗装道路と呼びたいようなナメが連続している
八久和川水系湯井俣川の滝
▲湯井俣川F4、6m滝

「林道終点から踏み跡を辿って湯井俣川に下る。
標高差およそ70m。ブナやナラの森の中、踏み跡は登山道のようによく踏まれた道だった。・・・
7.2キロ地点二又まで4時間弱。山菜採りをせずに真っすぐに歩けば、3時間で十分たどり着く距離だ。」
(自然倶楽部1993年1月号 八久和川水系湯井俣川の大岩魚」菅原徳蔵記)
▲湯井俣橋(昭和33年竣工) ▲湯井俣川をゆく ▲オリト沢合流点右岸テン場
▲F1、3m滝

「F1の壷は2つある。下流の壷は巨大だがアタリはなかった。
会長がツルツルの花崗岩の壁をきわどくへツリながら上部の滝壷に接近。・・・
F1の滝は3mしかないが、壁は長く壷も深い。

直登は無理だ。切り立つ左岸の壁を攀じ登り、きわどく巻く。
谷は圧縮され、延々とゴルジュ帯が続いていた。
両岸に吃立する壁は、雨に濡れて異様に黒く輝いている。

花崗岩の節理は皆、落ちて下さいと言わんばかりに、下の方向に向いている。
4〜5m上の草木は増水で全てなぎ倒されている。
もちろん岩には苔一つ生えていない。水位変動の激しさを物語っていた。

けれども、ゴルジュ帯の滝は全て3m以下、狭い谷に大雨が降れば、魚止めの滝まで一直線になるほど
簡単に増水するからこそ、ダム湖からの遡上イワナも奥深く遡っていくことができるのである。」
(自然倶楽部1993年1月号 八久和川水系湯井俣川の大岩魚」菅原徳蔵記)
▲F2ゴルジュ滝2m
▲F3、3m滝 ▲F2とF3間のゴルジュ

「F2はS字状に曲がった深い壷はある・・・
右岸を巻くと再びゴルジュ帯。・・・まもなく3mのF3の滝。
落下する滝は極度に圧縮され、まるで蛇の体のように巨大な滝壷に吸い込まれている。・・・

イワナの空白地帯が続くゴルジュ帯。
その狭く険しい谷を、高巻きをしたり、ヘツッたりしながら遡行を続けた。
三番目の滝を越えると谷は一気に開け、穏やかな河原となった。」
(自然倶楽部1993年1月号 八久和川水系湯井俣川の大岩魚」菅原徳蔵記)
▲白糸滝沢魚止めの滝4m ▲谷は狭く小滝が続く ▲白糸滝

「右岸から流入する白糸滝沢に入った。
すぐに4m滝、この滝壷で28cmのイワナが釣れた。
以降、この滝上に魚影、魚信はなく、この4m滝が魚止めの滝だった。・・・

谷は狭く、階段状の釜が続く。その堅い花崗岩に無数のダイモンジソウの花が咲き乱れている。
15分ほど歩くと、右側から落下する白糸滝が見えた。
滝の壁は小さいV字型に削られている。

その底を滑るように流れ落ちている。
今は水量が多いが、渇水時はそれこそ糸を引くような細い流れになるのだろう。」
(自然倶楽部1993年1月号 八久和川水系湯井俣川の大岩魚」菅原徳蔵記)
▲湯井俣川F4、6m滝
▲F4を高巻くルートを探す

「滝の叫音が聞こえた。
谷は極端に圧縮され、暗い。
両岸が吃立する壁の中を一条の滝となって落下する6m滝。魚止めの滝だ。

滝壷は深く大きい。大イワナの匂いが、飛び散る飛沫とともに漂っていた。・・・
谷全体が近づく釣り人を拒否するかのような滝。
これでは「魚止めの滝」どころか、「イワナ釣り師止めの滝」と呼びたいくらいだ。」
(自然倶楽部1993年1月号 八久和川水系湯井俣川の大岩魚」菅原徳蔵記)

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