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 ウズラ石沢 ブナの巨樹

 ウズラ石沢は、白神岳(1232m)へ登るゴールデンルートになっている。朝7時、学生風のパーティ6名(男3名、女3名)、次いで8時、地元弘前と宮城などの混生パーティ5名が白神岳を目指して急ぎ足で登っていった。昨夜、6名のパーティは三の沢、5名のパーティはウズラ石沢合流点200mほど下流に泊まったと言う。いつもより水量が多く、全員ずぶ濡れ状態だった。

 こうした沢登りのパーティを見ていると、まるで高速道路を走り抜けているような感じがしてならない。追良瀬堰堤からウズラ石沢まで10キロ余りもある。さらにウズラ石沢から白神岳間の標高差は約800m。それを1泊2日で走り抜けるのだから凄い。それはそれで楽しいことなのだろうが、時間に追われ、何かに追い掛けられているような現代人を象徴しているようにも見える。もっとのんびり白神の森と渓を歩き、じっくり語り合えないものだろうか。
 楽チンモードに突入した亀4匹は、ウズラ石沢右岸の小沢を登り、ブナの森をのんびり散策。地図を見ると、標高60〜70mほど登ると緩い斜面になる。そこにウズラ石沢を代表するブナの原生林を求めて分け入った。
 緩い斜面に到達、ブナの巨木を見上げる。ブナとブナの間隔が広く、ゆったりとした空間が広がっている。さらに湿った感じをうけるほど湿度も高い。「森を楽しむ山登り」(松倉一夫、山と渓谷社)によれば、山火事は針葉樹の森に多く、ブナの森は少ないという。ブナの森は、木が湿っているし、森自体がたくさんの水を地中に蓄えているからだという。ブナの森を歩けば、誰しも納得するだろう。
 樹齢200〜250年ほどのブナ・・・幹には苔がびっしり生え、巻きついたツルも1本の幹のように太い。森の主といった風格が漂う。
 森に雨が降れば、大きな傘のように広げた葉で雨を受け止め、枝から幹、根元へと走る。実際、雨が降った時に、ブナの幹を伝う水の量の多さに驚かされる。巨木になればなるほど、その水量は多く、その豊潤な幹にさまざまな地衣類が生えるのも容易に理解できる。共生の美の極致を感じさせてくれる。
 ブナのコブ・・・和賀山塊の日本一のブナもコブだらけだが、この巨樹も大きなコブがあった。雨が上から伝わってくると、コブにぶつかって周辺はシャワーを浴びるような状態になるだろう。苔だけでなく、コブから植物が生えているのはこうした環境があるからに違いない。
 ブナの風倒木に生えていたキクラゲ・・・初夏から初秋まで生えるキノコで、特にブナやミズナラの風倒木に群生する。
 逆光に輝くブナの深緑・・・日本海側に生育するブナの葉は10cm以上と太平洋側のものよりかなり大きい。
 巨樹に出会うと誰しも笑顔になり、記念撮影をしたくなる。それは眠っていた動物としての本能を呼び覚ますからだろうか。
 降り注ぐ緑のシャワー1・・・巨樹を見上げては、森を覆う緑、緑の洪水に圧倒される。
 降り注ぐ緑のシャワー2・・・雲間から光が注ぐとブナの深緑は、千変万化の輝きを放つ。
 森を散策した後、記念撮影。森から何を学び、何を感じとったのだろうか。人間が猿に返ったように森を歩くのもまたオモシロイ。
 幹が途中から枝分かれした巨木。灰色の樹皮、白い斑紋、緑の地衣類・・・それぞれ強い個性を持っているだけに、ついついシャッターを切ってしまう。
 向こうの急斜面に生えたブナの根元は曲がっている。こうしたブナの根元曲がりから、雪の厳しさが伝わってくる。つまり、斜面に積もった雪が下に滑り落ちようとする雪圧によって湾曲したものだ。
 森の中にぽっかり穴が空いたような場所には、決まって寿命尽きたブナが倒れている。美和ちゃんは、その倒木に座り、童心に返ったようにVサインをつくる。森を散策していると、大人の心が、だんだん子供に返ってゆく。
 ウズラ石沢の渓沿いには、サワグルミ林が目立つ。サワグルミは、その名のとおり沢筋の水分の多いところを好むとされているが、地すべり地や崩壊地を好む樹木だと考える人もいる。沢筋は崩れやすく、裸地を生じやすい。そうした場所にサワグルミ林が形成されるという。
 ギザギザの葉が特徴的なサワグルミの葉。果実は2個の羽根をもち果穂となって垂れ下がり、風に乗って分布を広げる。
 ウズラ石沢左岸にあった二つ目のテン場。つい最近利用した後だった。できれば、燃やした残りの木は流れに返してほしいものだ。
 奥右手の小さな壷にイワナの黒い影がたくさん見えた。Sony Cyber-Shot Uで水中撮影を試みる。
 壷に近づくとイワナは逃げる。デジカメを近づけるとさらに姿を隠す。せっかく見つけたと思っても、液晶画面で確認できないから、勘で撮るしかない。何度も挑戦してやっと撮影に成功したのが上の二枚の写真だ。
 画像が全て縦になってしまった。水中に入れた時に、デジカメを真横に構えると全て縦に写る。デジカメの頭を下にすると画像は全て逆さまに写る。こんなことも分からないで水中撮影をしていた。しかし訓練すれば、Sony Cyber-Shot Uの水中撮影は、かなり使えそうだ。
 こうした瀬尻には、必ずイワナの姿が見えた。しかし、撮影しようと近づけば、撮る前にイワナの姿はなかった。
 早くもミヤマダイモンジソウの花が咲いていた。夏に咲くのは北海道だけかと思っていたが・・・。清冽な水辺に似合う山野草だ。
 フキユキノシタ
 トラノオ(クガイソウ)・・・普通に見られるトラノオより、小花が一回り大きいように思う。
 ミソガワソウ・・・紫色の筒状の花を多数つける。葉は長卵形で先が細くとがり、縁に荒い鋸歯がある。白神の沢では、至る所に群生していた。
 モミジガサ(シドケ)の白花
 色づいたモミジの落ち葉
 花が終わったオサバグサの葉。葉だけ見るとシダ類ではないかと思ってしまう。
 夏の陽射しに煌く清冽な流れ。

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