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黄葉の谷とキノコ狩り、保存法・缶詰、付録:クマ出没相次ぐ・・・注意
 次の日は、願ってもない快晴。ブナ林の黄葉が、秋晴れに輝き、全山燃えるような色彩を放った。落ち葉が降り積もった清冽な流れを蹴って、黄葉の美に酔いしれながらキノコ狩りを楽しむ。上の写真は、峰の上部が既に黄葉も終わりに近付き、白い肌木が目立つ。峰から谷に向かって、黄葉は最盛期・・・まさに「黄葉の峰走り」
 朝の冷え込みは尋常でなく、寒さで眠られなかった。スリーシーズン用のシュラフではなく、夏用のシュラフを持ってきたのが間違いの元。ホッカイロを3個張り、着替え+上下の雨具を着込んでも寒い。外に出ると、手がかじかむほどの冷え込み。たまらず、まだ暗い4時半頃に起きて、焚き火で暖をとる。湯を沸かし、コーヒーを飲みながら焚き火の有り難さに感謝する。
 夜が明けると、暇を持て余し、カメラを持って小沢を散歩。冷たい空気が凛とした感じで、実に清々しい。小沢に降り積もった落ち葉を踏みしめるたびに、サクサクと心地良い音をたてる。せせらぎの音に混じって、ブナの梢から、鳥のさえずりが聞こえてくる。びっしり苔に覆われた倒木には、ムキタケが折り重なるように群生していた。これは、採らずに撮るだけにとどめる。
 錦秋のブナ林、斜面には、台風で倒れた真新しい倒木が目立つ。二、三年後にはキノコの山になることだろう。そんなことを考えていると、キノコ狩りの楽しみも尽きない。
 朝食は、残ったキノコ鍋にラーメンをぶっ込み、キノコラーメンを作る。これまた、なかなか美味い。朝食後、黄葉に染まった美渓を遡行し、キノコを探す。左の写真のように、両岸が急な岸壁で水位変動の大きいゴルジュ帯は、キノコが全く生えない。
 逆光に輝くブナの黄葉。
 ムキタケの傘表面の色に注目。左側は、明るい黄褐色、右側は紫褐色。ほかに緑系、灰色系など多様な色をしている。
 ボリューム満点のムキタケ・・・姿、形は、猛毒のツキヨタケに似ているが、ツキヨタケが終わると、ムキタケに変わる。この二種は、実にうまく棲み分けされているような感じがする。不安な方は、傘表面の皮をむいてみると良い。きれいにむけたらムキタケだ。
 黄葉は、やはり光があるとないとでは大違い。しかも背景が青空だと、その鮮やかさは、さらに際だつ。こんな秋晴れの日は、キノコの美より、黄葉の美にカメラを向けたくなる。幸いデジカメなら、何枚撮っても無料。動物的にバシャバシャ、カメラのシャッターを押す。
 渓に寝転んで上を見上げる。抜けるような青空に、ヤマモミジの紅とイタヤカエデの黄・・・美の競演に息を呑む。
 黄葉に輝く斜面とは対照的に、薄暗い谷では、倒木にムキタケが一列にきれいに群生している。こちらも撮って、と言わんばかりに・・・。
 上るに連れて、黄葉から赤褐色へ。こうなると、まるで山が真っ赤に燃えているような錯覚に陥るほど、色彩の乱舞に心も乱れる。
 ことごとく腐っていたムキタケ。ツキヨタケと同様、老菌になると黒ずみ、壊れたコンニャクのように垂れ下がる。もちろん、こういうものには手を出さない。
 品質「上」のナメコの群生。
 傘が開いても、表面のヌメリ、色艶とも申し分なし。
 同上のアップ。スギヒラタケ事件なんて、あさっての方向にすっ飛ぶような天然ナメコの美。早くもナメコ汁やキノコ鍋が頭をよぎる。
 デジタルビデオの撮影を終え、ナメコを採る会長。それを眺める釣りバカ小玉氏。昼前だが、早めに切り上げ、テンバに戻る。
 採取したキノコを種類別に分ける。ナメコは、小粒、品質「上」、「中」に分類する。こうすれば、家に帰ってから処理が楽だ。
 採取した山の恵みを前に記念撮影。右から小玉氏、中村会長、私。この時、突然「どうも」と、ヘルメットスタイルの男が姿を現した。何と、9月に出会った地元の単独沢登り師だった。記念撮影に誘ったが、遠慮されてしまった。鬼の坪、青鹿岳に登ってきたという。途中、何度もカモシカに出会ったと、嬉しそうに語ってくれた。ちなみに「青鹿」とは、カモシカのこと。
 収穫物は、三人で均等に分け背負う。来るときよりも、キノコの重さで遙かに重い。20キロは軽く超える重さだった。それでも満足の重さに、足取りは軽い。会長が被っているのは、キノコ狩り用のカゴ・・・まるで白神の原住民?のように見える。
 究極の保存法・・・キノコの缶詰。ナメコをよく洗い、ゴミを取り除いた後、缶一杯に詰めたところ。缶80円+缶詰加工80円=160円。たくさん収穫したときは、保存法として缶詰が最もいいように思う。知人や友達にプレゼントするにも喜ばれる。
 ムキタケ10缶、サワモダシ1缶・・・ナメコ、ムキタケ、ブナハリタケなどは、生のまま缶詰加工所へ持って行く。ただし、サワモダシ(ナラタケ)だけは湯がいてから缶に入れる。
付録:クマ出没相次ぐ・・・注意!
 山からエサを求めて人里に下りてきたツキノワグマに農作物を食い荒らされたり、人が襲われる被害が相次いでいる。好物のブナの実が、今年は凶作。10月から12月にかけ、冬眠前にエサ不足のクマは活発に動き危険だと言われる。

 ブナの実の豊凶とクマの捕獲頭数(県森林整備課)・・・1999年、凶作、113頭。2000年、豊作、15頭。2001年、凶作、353頭。2002年、並、30頭。2003年、並、37頭。2004年9月末、凶作、193頭。これらの数字を見る限り、ブナの豊凶とクマの出没頻度は、かなりの相関を示しているように思う。
 家の裏の畑を横切ったツキノワグマの足跡。自分の庭にこんな足跡があったら、パニックになるんじゃないか。まして、子どもや老人のいる世帯ならなおさらのこと。高齢化、過疎化で脆弱化が進む山村・・・そこに忍び寄るクマの異常出没、農作物被害は深刻である。耕作放棄地の増加、山林の荒廃、廃村などにより、境界線がますますあいまいになっている。今やクマは奥山の動物ではなく、「里クマ」になっているようにも見える。クマと人との共存・・・などと簡単に言うけれど、現実を見る限り、ますます難しくなっているように思う。
 民家の敷地内にもクマが侵入、右手の栗の木が折られている。
 クマに田んぼを踏みつけられ、稲を食べられた被害写真。
 クマの糞・・・稲と栗を食べているのがはっきり分かる。白っぽいのは、イネのモミガラ。
 栗の木についていたクマのツメ痕。木に登り、栗を食べた後、ツメでブレーキを掛けながら下りた痕跡。
 左は民家の敷地内の栗、右は栗園内の栗の木が折られている。折られた栗は、来年にも影響を与えるだけに深刻。
 クマ棚・・・栗の木に登り、枝ごとへし折り、栗を食べる。残った枝を足下に敷き、腹一杯になったら、そのクマ棚で眠る。クマは、例え人間の栗園でも、手に入れた獲物に強い所有本能を示す。つまり、人間の栗園ではなく、俺の栗園と勝手に思い込む・・・だから、管理人が安易にクマを追い払おうとすれば、テリトリーを犯す者として攻撃される恐れがある。ここが、人間とクマとの大きな相違点。
 クマが食べた栗の残骸・・・栗の尻の方から噛み、中身をツルッと押し出して食べている。
 トウモロコシの被害。これも皮をむいて食べている。人里の被害作物は、トウモロコシ、カボチャ、スイカ、サツマイモなどの畑作物、栗、ブドウ、リンゴ、モモなどの果樹、さらには麦や稲まで食べる。
 秋田管内で捕獲されたツキノワグマ。農作物や果樹、残飯など、いったん人間の味を覚えると、何度も人里に出没するようになる。10月24日、峰浜村目名潟の山林で、クマの駆除に出かけた同村の男性(57)がクマに襲われ、左足に4週間の裂傷を負った。クマは体長約150センチ、体重約140キロで、ツキノワグマの中でも最大級だった。
 専門家によると、クマの異常出没は、酷暑と夏の台風で木の実の落下、ブナの実不作など極端なエサ不足を指摘する声が多い。これに対して、岩手大学青井俊樹教授は、クマに「里においで」と誘う農山村の現状を指摘している。

 「安い輸入木材に押されて、林業は衰退の一途で・・・自給率はわずか18%前後・・・スギ、ヒノキなどの単一樹種からなる人工林が、間伐されることなく放置されだして久しい。その結果、林床には光が届かず、野生動物の食物となる草や灌木類の茂らない、真っ暗な森林が増加する一方である。つまり、森はあっても、動物たちが住みにくくなっているのである。

 一方・・・農村の過疎化、高齢化は深刻・・・山際まで細々と作物が植えられたり、誰にも収穫されることのない果樹が実を付けたまま放置されたり、果樹などが廃棄物として山際に捨てられたりしている。これらの状態は、゛どうぞ山から下りて、里のおいしい物を食べてください゛と動物たちに言っているに等しい。それに加えて、ハンターの著しい減少、狩猟の衰退などが、野生動物に人間の怖さを忘れさせる原因の一つにもなっている。

 ・・・したがって、林業の再建、農業・農村の活性化など、これらの原因に一つずつ対処していかない限り、今年のような異常とも言われる−実際は異常ではないわけだが−状況が続くと予想される。」(読売新聞2004年10月18日付け「論点」より) 
 信州ツキノワグマ研究会では、長野市周辺にクマ出没が相次ぐ要因を次のように分析している。「人の手が盛んに入っていた時代の長野市周辺の山間地は、クマの生息に適した環境ではなかったが、放置された山林や山に戻った農地がクマの生息する地域としない地域をつなげ、クマが移動できるようになった。それによりクマが序々に長野市周辺の里山にまでやってくるようになり、さらに放置された現在の里山周辺には二次林のドングリ類や、人間活動に伴う生ゴミや農作物など年間を通じてクマの食べ物が供給されるようになった。このため、人里近くに定着・繁殖する個体も出現するようになった」と、長野市での出没が増えている要因を指摘している。
 人里へのクマ出没対策・・・新潟県妙高村では、クマの出やすい山と田畑の境にある30aの下草をきれいに刈り取り、人とクマとの「境界線」を引き直す取り組みを行った。各地でクマ出没が相次いでいるが、この集落では、クマの目撃情報がないという。

 岩手大学青木教授は、「クマは一般的に広い場所を嫌う。里に出る場合でも茂みを伝って来る。こうした取り組みには意味がある」と評価。さらに、山際に収穫しない果樹があれば、切り倒す。それでもクマが出やすい場合は、電気柵を張り、クマが人里に下りないよう゛境界線゛を教える必要性を強調する。(日本農業新聞2004年10月20日付けより)

 クマ被害激増で環境省が生態など緊急調査・・・環境省は10月20日、クマの生態や生息環境について緊急調査することを決めた。被害が特に目立つ北陸地方を中心に、クマが何を食べているのか、木の実の台風被害はどの程度かなどを調べ、今後の対策にいかす方針。
 積極的な自衛対策・・・写真上から、爆竹、クマ避け鈴、熊撃退スプレー、刃先の尖った山刀

 クマ被害防止法(県森林整備課)・・・山に入るときは2人以上で入り、単独行動を慎む。鈴、笛、ラジオなどの音を出しながら入る。子グマのそばには親グマが必ずいる。絶対に近寄らない。残飯・空き缶などは捨てない。人間の味を覚えたクマが人里に近寄る原因になる、と注意を呼び掛けている。

 万が一クマに襲われた場合は、どうするか。最近テレビや新聞で取り上げられ、注目を集めているのが、登山用品店などで販売されている熊撃退スプレー(写真中央)。万一クマと遭遇した場合、これがあるとないとでは、冷静な対応に雲泥の差が出る。クマのテリトリーに入る場合は、積極的な自衛対策が必須。それを怠り、人身事故を引き起こせば、そのクマは射殺されてしまう。自分のためだけでなく、クマのためにも自衛対策を徹底すべきだと思う。

 北海道の山ごもりでは、ヒグマ対策として常に熊撃退スプレーを腰に下げていた。しかし、東北では、熊避け鈴のみ。今年は、クマ出没が相次いでいることから、今回初めて熊撃退スプレーを腰に下げて山に入った。無用な不安、恐怖を抱かないために・・・。
講座:ツキノワグマ
■ 体重 80〜150kg 体長 120〜170cm
  参考:ヒグマ 体重300kg、体長2.5mと巨大
■ 寿命 15〜30年 3年で成獣 体温37度→冬眠体温15度
■ 足跡 尖った楕円形(10〜12cm) 夜行性で用心深い
■ 冬眠 冬至前後に穴に入る。用心のため毎年穴を変える。
■ 出産 1月、2年に1度出産。1〜4頭(オス、メス1頭づつが普通)
■ 穴から出る時期 4月20日〜5月中旬
  雪解けの早い岩場に集合、10日間ほど滞在→冬眠中の毛を干す
■ 鳴き声「アーン」 子熊は「ゲーゲー」
■ 意外な特技 水泳がうまい。
■ 食生活
 (春)・・・フキノトウ、ヤマウド、ミズバショウ、アザミ、イタドリ、
     タケノコ、広葉樹の新芽
 (夏)・・・フキ、ハチなどの昆虫、クワガタムシなどの甲虫類
     力二、イワナ
 (秋)・・・アケビ、ヤマブドウ、ヤマグリ、コクワ、ドングリ、ブナの実
     冬眠前の熊の食欲は物凄い、脂肪は10cm以上の厚さ
■ 熊道・・・尾根伝い、沢沿いの林や茂みを通る。

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