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ナメコ狩り、キノコ鍋、急性脳症とスギヒラタケ
 昼食後、右の沢に入る。先行者が既にキノコを採った後だっただけに、さほど期待はしていなかった。ところが、意外や意外・・・結構ナメコの群生に出会えたのはラッキーだった。確か小沢が二本入る所まで入ったと言っていたが、そこまではムキタケのみ。それより奥に入ると、ナメコの連続だった。
 右岸の倒木に群生していたムキタケを採る。これだけ群生していると、一箇所で袋一杯になる。重いので、袋に詰めてデポしておく。帰りに回収すれば、それだけ楽チンだ。しかし、置いた場所を忘れると最悪なので注意。
 黄葉したブナ林、その沢筋の斜面に倒れている風倒木をひたすら探す。森の斜面に茂る雑草も枯れはじめ、森の見通しが良い。だから、目的のキノコを探すにも比較的楽な季節。黄葉の美、キノコの美、落ち葉舞い散る渓では、岩魚ウォッチングなど、楽しみも多く、岩魚好きのキノコ狩りにはベストシーズンだと思う。
 黄葉したブナ。奥は黄色に色付き、手前は、早くも黄葉が終わり、赤茶けている。こうした黄葉の時間差が、森の多様な色彩を演出してくれる。
 またまたムキタケ。いずれも虫が食べた痕跡もなく、旬。傘の表面の色が、一般的なムキタケより黒っぽい。同じムキタケと言えども、よく見ると多様性に富んでいる。
 やっと見つけた旬のナメコの成菌。沢に突き刺さるように倒れた倒木の表、裏にビッシリ生えていた。傘が開き、これぐらいのサイズがボリュームもあり、食い応えのあるナメコだ。鍋物に最適サイズ。
 左側は、豆粒のような幼菌。豆粒ナメコは、黒褐色で色が濃く、生長するにつれて明るい茶褐色へ・・・次第に「撮ってください」とか「食べてください」といっているような造形美に変身する。
 ナメコの幼菌。傘が開く前は、粘質を帯びた薄膜におおわれているが、開くにつれて膜は破れ、茎につば状の膜を残すこともある。肉は淡い黄色、のちに淡色になる。
 倒木から顔を出してから数日でこの位まで生長する。これぐらいのサイズが姿、形、ヌメリ、色艶ともに美しく、キノコの写真としては一級品。「ブナの森の宝石」とでも呼びたくなる。
 ナメコ狩りに夢中の図・・・奥は、傘が開いたナメコの成菌。手前は、小粒のナメコを採る。倒木を傷つけないよう、一つ一つ丁寧にナイフで切り取る。本命のナメコ、ナメコ・・・の連続に小躍りしながら採る。本命のナメコに出会うと、折り重なるように群生しているムキタケは、不思議と外道に成り下がってしまう。それほどナメコの群生する様は美しく、撮るのも、採るのも楽しい。
 沢沿いの倒木先端に生えたナメコの成菌。倒木の割れ目にもビッシリ生えていた。
 折り重なるように群生していた老菌ナメコ。ちょっと旬が過ぎた感じのナメコだが、食用としては充分。品質のランクとしては、「中」といった感じ。老菌になると、傘の表面は、胞子で濃い褐色になる。右の写真の奥は、ほとんど腐っていた。
 ナメコの幼菌2・・・陽当たりの悪い倒木の裏側に生えていたナメコ。色の濃さに注目。小粒のナメコは、手で触ると、ベトつくほどヌメリも濃い。このぐらいのサイズは、おろし和え、ナメコ汁、納豆汁の具にすれば最高。
 左:ナメコの幼菌3・・・生えている姿が実に可愛らしい。
 右:傘が開き始めたナメコの成菌・・・品質ランクとしては「上」
 4本から8本ほど、株となって連なるナメコのアップ。何度眺めても美しい。右下に豆粒のような幼菌も顔を出している。もう一週間もすれば、品質「上」のナメコに生長することだろう。
 沢沿いの地面に埋まるように倒れたブナの倒木は、適度な湿度を保ち、ナメコが生えやすい。ただし、水位変動の大きい沢だと菌が流されやすいので、全く発見できない場合も多い。
 白神のナメコシーズンは、黄葉が始まる10月中旬から初冬。主にブナに生えるが、コナラやヤナギなどの広葉樹にも生える。
 ナメコの成菌、品質ランク「上」の群生・・・こんな群生に出会えば、思わず舞い上がりたくなる。残念ながら、この裏面は、ことごとく腐っていた。
 傘が平に開き、まんじゅう形で、著しい粘液と明るい褐色のナメコは極上品。特に鍋物サイズとしては、最高級品のナメコ。
 私がナメコに惚れているのは、姿、形、美味しさもさることながら、沢沿いの倒木を探すだけで発見できるからだ。つまり、山釣りスタイルの延長線上にあるキノコの代表格だからだ。
 ナメコ、ムキタケをどっさり採って、黄葉に染まった渓を下る。時折、瀬尻から人影に気付いて走る岩魚を眺めながら、満足、満足・・・の一日だった。
 焚き火を囲み、キノコ鍋をつくる。芋の子の皮をむき、小さく切って沸騰した鍋でじっくり煮る。柔らかくなったら豚肉を入れる。きれいに洗ったナメコ、ムキタケ、ナラタケをぶっ込み、だしの素を入れる。味噌を入れ、最後にブチ切りにしたネギを入れてキノコ鍋の完成。冷え込みが厳しい秋の山では、アツアツのキノコ鍋に勝るものなし。酒にもご飯にもバッチリ合う。夜空を見上げると、満天の星がキラキラと輝いていた。
ちょっと気になるニュース:急性脳症とスギヒラタケ
 秋田、新潟、山形などで、スギヒラタケを食べた後、原因不明の急性脳症の患者が相次いでいる。秋田の患者数は22人、うち6人が死亡、いずれも全国最多となっている。患者の共通点は、スギヒラタケの摂食と腎機能低下の二点。スギヒラタケは、最もポピュラーなキノコで、秋田では、スギキノコ、スギカノカ、スギモダシなどと呼ばれ、味噌汁の具として人気が高い。

 腎機能が低下している人は、有害物質などが充分排せつされないまま血液中にたまると、中枢神経を侵し、急性脳症になることもあり得るという。今年の猛暑、連続する台風など、異常気象でキノコの成分が腎機能にかかわる何らかの変化を引き起こした疑いがあるとも言われている。また、腎機能が低下した人が飲む薬とスギヒラタケが何らかの理由で反応したのではないかとも言われている。これまで何度も食べて大丈夫・・・といっても、何となく不安なニュース。疑わしきは手を出さず・・・というのがキノコ狩りの鉄則。スギヒラタケを食べるのは控えるとしても、むしろ気になるのは、他の自生キノコまで危ないのでは・・・といった被害妄想、風評被害の方が恐ろしい気がする。

 それにしても今年は異常なことが続きすぎる。連続する台風、クマの異常出没、新潟中越地震の恐怖、そしてスギヒラタケ事件・・・これは単なる偶然ではなく、人間社会に対する何らかの警告のように思えてならない。

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