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写真は、秋田さきがけ 2001年3月20日付けより

2001年3月19日、秋田県水産漁港課は、「ブラックバスなど外来魚の取扱いに関する検討会」を開催した。この検討会は、秋田県がブラックバス駆除の基本方針を関係者に明言し、駆除に対する意思統一を図った画期的な会議であった。幸い私も参加したので、その内容をお伝えしたい。

検討会には、内水面漁業協同組合(十和田湖、八郎湖を含む28漁協)、秋田県内水面漁業協同組合連合会、秋田県土地改良事業団体連合会、秋田県内水面漁場管理委員会、県機関・自然保護課、農地計画課、水産漁港課、水産振興センターが出席。
検討会の詳細は、新聞記事を掲載したので参照願いたい。

バス擁護派が展開する100万人署名運動、さらに水産庁では「外来魚の遊漁者やその他の遊漁者との調和が図られるよう、閉鎖性水域たる湖沼などに限って、外来魚を漁業権の対象にすることや外来魚の利用を認めることとし…」という、いわゆるゾーニング案を提示。

これに危機感を抱いた日本魚類学会、日本鞘翅(しょうし)学会、日本蜻蛉(とんぼ)学会が「ゾーニング」に反対する要望書を提出、さらに生物多様性研究会は「公認釣り場設定」反対の要望書を提出している。

これに対して日本釣振興会では「ゾーニングを前提としたブラックバス釣り場増設」の要望書を提出、近々、100万人署名運動の成果をもとに、全日本釣り団体協議会と共同で各県別に要請する予定。まさにブラックバスの問題は、クライマックスを迎えようとしている。

こうした賛否両論の要望書を受けて、秋田県はどう対応するのか。早急な決断が求められていた。

県水産漁港課は、外来魚の中でもバスは生態系に与える影響が極めて大きく、全県的に拡大している実態を踏まえ、緊急に駆除すべきであるという基本的スタンスを示した。意見交換では、バスの駆除に対してもっと厳しく対処すべきとの意見が相次ぎ、「バスを釣っても、再放流されたのでは、駆除してもイタチゴッコだ。キャッチ&リリースを禁止すべきだ」という意見が出された。

これに対して加藤水産漁港課長は、個人的見解と前置きしつつも「駆除とキャッチ&リリースの禁止という両輪で対応すべき」「ゾーニングし、棲み分けする案もあるが、これまでの密放流の実態からして、バスの拡大防止に実効性があるかどうかは、はなはだ疑問」との考えを示した。

すなわち県としては、バス擁護派と安易な妥協をせず、今後はキャッチ&リリースの禁止も含めて検討、徹底したブラックバスの駆除作戦を展開するとの固い決意を感じた。

13年度から、土地改良区の協力を得て農業用ため池に生息するバスの駆除(外来魚緊急駆除事業、年間7ヶ所)を展開することが決まった。

農業用ため池と簡単に言っても、県内には約三千ヶ所もある。膨大な数に加えて、バスの生息も未知数、さらに土地改良区そのものがバスに対して危機感を抱いている人が少ないという実態もある。

今後は、農業用ため池に生息するブラックバスの実態調査をはじめ、農業用ため池を管理する土地改良区への啓蒙普及、そして地域が一丸となったブラックバス駆除作戦を展開するための粘り強い活動が求められる。

こうしたブラックバス撲滅作戦が決まったことは、秋田県固有の生態系と貴重な在来魚を守りたいと願う全ての釣り人にとっても待ちに待った決断であり、公私にわたって、全面的に協力をしていきたいと思う。

ブラックバス駆除に゛本腰゛
県が検討会で姿勢明示 捕獲事業への補助も/生態系維持を念頭に
秋田さきがけ 2001年3月20日

 県は十九日、ブラックバスなど外来魚を駆除する基本姿勢を明らかにした。県内の内水面漁協にも協力を求め、駆除事業には新年度、補助も出す考え。同日、県第二庁舎で開い開いた外来魚に関する検討会で示した。現在も分布を広げているブラックバスに強い懸念を抱く各漁協からは、一層積極的な取り組みを求める声が相次いだ。県が外来魚駆除の態度を関係者に明示し、意思統一を図ったのは初めて。

 検討会には漁協関係者ら約三十人が出席。まず県水産漁港課などが、県内六十九市町村と二十八の内水面漁協を対象に、今月実施したアンケート調査による外来魚生息実態を報告。ブラックバスは新たに鹿角市と矢島町で確認され、分布は五十市町村の三十一河川と七十の湖沼に上るほか、阿仁川で上流に分布を広げるなど、二十四市町村で増加傾向にあることが分かった。コクチバスやブルーギルは未確認だった。

 県は「水系を通じた一層の分布拡大が懸念される。水産庁は閉鎖性水域に限ってバス釣りを認める考え方を一部示しているが、県内に閉鎖性水域はないとみられ、八郎湖も含め害魚として徹底駆除の方針」との姿勢を示した。

 県の補助は、ブラックバスの増殖場所と考えられる農業用ため池での駆除が対象。水産庁の外来魚緊急駆除事業による補助と合わせ、人件費や網の借り上げ代など一件当たり二十八万円を助成する。年間七件で五年継続を予定しており、六月定例県議会に補正予算案を提出する見込み。

 ため池での駆除は、水を抜き一気に捕獲する手法が一般的で、ため池を管理する土地改良区の協力が欠かせない。検討会に参加した県土地改良事業団体連合会は「釣り人のため池施設への不法侵入、器物損壊や水難事故を懸念している。ため池がブラックバスの発生源になっているとすれば、協力は倍しまない」との意向を示した。

 漁協関係者は「サケが上る川を取り戻そうと頑張ってきたが、バスの影響が危ぐされる」「小魚が集まるはずの場所に網をかけたら、バスばかりだった」「駆除にはかなりの労働力を要する」などと訴えた。また、「遊漁者の『キャッチ・アンド・リリース』を密放流、と位置付け厳しい対処を」「撲滅月間を設け、全県にキャンペーンを張ってはどうか」などの要望や提案があったほか、河川での駆除の必要性や難しさを指摘する声も上がった。

 県水産漁港課の加藤淳一課長は「内水面漁業のノウハウを生かした捕獲が、駆除の中心になると思う。一方で、遊漁者らに釣られた魚を放流せず処分することも非常に効果的なはず。今後も遊漁団体と話し合っていく。生態系維持を念頭に協力をお願いしたい」と話した。

 県は先月バス釣りをめぐりトラブルが起きている八郎湖の漁業者と遊漁者に、漁業区域と釣り区域設定や遊漁者のマナー向上などの調整案を示し、トラブルは大筋で収拾に向かう見込みとなっている。

ブラックバス駆除作戦に県が補助金 1ヶ所あたり数十万円
朝日新聞秋田版 2001.3.20

 小魚を食べ生態系を破壊するとして問題になっているブラックバス(オオクチバス)について、県は十九日、2001年度から、漁業者が取り組むブラックバスの駆除作戦に補助金を出す考えを明らかにした。内水面漁協の関係者と開いた意見交換会で示した。ブラックバスへの対応については国レベルで意見が分かれるが、県はすでに害魚として全面駆除の方針を打ち出しており、ここにきて具体的な対策を打ち出した。

 県水産漁港課のまとめによると、県内六十九市町村のうち五十市町村でブラックバスが確認されている。また、コクチバスは隣県で確認されており、「いつ入ってきてもおかしくない」状態という。コクチバスは、ヤマメなど川に住む貴重な魚にとってより脅威になると見られている。

 そこで県は、国からの補助金を活用し、ブラックバス駆除をする漁業者に経費を補助する形で支援する考え。当面は技術的に駆除が容易なため池での駆除作戦に限り、一カ所につき数十万円程度の補助を五年間続けたいとしている。水産漁港課では、六月補正予算で対応したいという。

 全県の内水面漁業の関係者と意見を交換したのは今回が初めてで、同調の加藤淳一課長は「この問題は単に水産資源の保護という問題ではなく環境問題。漁業者の駆除と釣り人の再放流禁止の両輪でいかなければ対応できない」と話し将来的には釣り人が釣った魚を再び逃がすキャッチアンドリリースや、生きたバスを保有すること自体を禁止したいという考えを示した。

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