バス・ストップ秋田 ブラックバス問題を考える 

イワナを食うコクチバス 偽善の仮面が剥がれたバス釣り
ブラックバスの基礎知識 馬場目川の生態系危機 
バス釣りは犯罪か/
Is black Bass fishing a crime?
 ブラックバスがイワナを食う?
「ブラックバスがメダカを食う」 「ブラックバスがメダカを食う
 (秋月岩魚著、宝島社新書 660円)を読んで愕然とした。バス釣りは、犯罪であ〜る!
 ブラックバスと言えば、一般的に温水域に住むオオクチバスのことを言い、ヤマメやイワナの世界とは無縁の魚だと思っていた。
 ところが、最近は、流れのある冷水域に住むコクチバスが広がり始めているという。
 コクチバスは、オオクチバスより釣り味があり、オオクチバスが生息できない寒冷地や渓流に生息できるというのだ。
 こんな恐ろしいバスが山上湖や渓流に放流されたらどうなるか。
 バスがヤマメやイワナを食うだろう。そして、我らが愛する渓魚が消えていく。


 そのバスを密放流している犯人は誰か。バスを放流することによって栄えてきたバス釣り業界とその周辺であるという。コクチバス

 山釣りをこよなく愛するプロカメラマン、秋月岩魚さんは「バス釣りは犯罪である」と断定している。
 この問題は、単に秋月岩魚さんの個人的な問題ではなく、
 我々自然とイワナを愛する釣り人はもちろん、
 日本全体の大問題である。

 この本を読んで少なからずショックを受けた。
 と同時に、この問題については、
 呑気に構えていると
 大変なことになるとの危機感を抱いた。
 「渓流のヤマメやイワナ、湖沼のタナゴやフナ・・・、
 慣れ親しんだ日本の川魚たちが消えていく」。

 それを断固阻止したい、
 淡水の生態と日本の釣り文化を
 次の世代へ引き継ぎたい
 と思っているあなたに、ぜひご一読をお薦めしたい。
偽善の仮面が剥がれたブラックバスフィッシャーマン
 バス釣りの雑誌には、バス釣りを礼賛しておきながら、
 「違法放流はやめましょう
 「私たちはバス釣りを推奨しているが、違法な密放流とは無関係です
 あるいは「バスを愛するぼくらだからこそ、
 自然を大事にし、ゴミを捨てないようにしよう

 といった偽善的な言葉が目に付く。
 バス釣りとともに日本に入ってきたキャッチ&リリースの哲学
 いかにも魚に優しい釣り人であるかのように装っているが、
 食べたいのを我慢してリリースしているわけではない。
 この偽善的な仮面を脱ぎ捨てた行為が、ついに新聞に掲載された。



 琵琶湖のブラックバス駆除「やめろ、滋賀県に脅迫状
 1999年12月18日付け朝日新聞(以下、記事の全文を掲載する)

 日本最大の湖、琵琶湖でブラックバスの「撲滅作戦」を繰り広げる
 滋賀県水産課と同県漁業協同組合連合会に脅迫状が届いた。
 「我々は熱血ブラックバスフイッシャーマン」と名乗り、
 駆除をやめないと「バスを琵琶湖に放流し続ける(数万匹に及ぶ)」
 「網を切り裂く」と脅している。

 滋賀県は漁業調整規則でバスの放流を禁じているが、
 違法放流ですっかり根付いた。
 初めて確認されたのは、1974年だが、
 80年代には全湖に広がり、
 全国からバス釣りに圧し掛けるうになった。

 だが、魚食魚、バスの増加で、
 特産のフナずしの材料・ニゴロブナなど固有種が激減。
 同県では今春、5,500万円の予算で
 全国最大規模の駆除活動を始めた。

 脅迫状はこの活動を阻止するのが狙いらしく、
 A4用紙2枚にワープロ書きで消印は京都市内。
 11月上旬に送られてきた。

 「たくさんのバスアングラーが連日琵琶湖に行くことで
 どれだけ滋賀県に経済効果をもたらしていると思っているのですか」
 「遊漁料を支払えと言うなら喜んで支払います」
 
と、バス釣りの金銭的な利点を強調。

 ソフトな文面とは裏腹に撲滅作戦には
 「目には目を」として「バスを琵琶湖に放流し続けます。
 その数はハンパなものではないことを覚えておいてください」
と脅している。

 琵琶湖では、バス釣りのボートが網を切るなどのトラブルが多発しており、
 同県水産課は「脅迫状の内容が実行されれば、大きな被害となる」と、
 滋賀県警と連携して警戒を強化することを検討している。

 全国内水面漁協連合会の佐藤稔専務理事(68)は
 「およそ400万年前にできた琵琶湖は固有種が多く、
 バスを駆除しないと湖が死んでしまう。
 脅迫状という卑劣な手段は初めて聞くが、怒りを覚える」と話している。



 熱血ブラックバスフイッシャーマンの主張は
 バス釣りがもたらす地域への「経済効果」を持ち出しているが、
 
経済効果があれば何でも許されるといった、
 とんでもない思想の持ち主たち
である。

 バス釣りの経済効果に群がる業界団体の姿が・・・。

 さらに、遊漁料を喜んで支払うなどと主張するに至っては、
 
事の是非よりもまず金で解決させる
 経済至上主義にドップリ浸った団体
らしい。
 どこぞの三流宗教団体のように
 
キャッチ&リリースを金科玉条のように唱え、
 水鳥を守ろう、クリーンアップキャンペーンなどと
 
自然保護団体であるかのようなそぶりを見せながら、
 その裏では、
組織的に密放流という犯罪を犯し、
 ひたすら淡水の生態系、釣りの文化を破壊してきた集団

 それが「熱血ブラックバスフイッシャーマン」たちの正体である。

 「密放流は悪い。でも、自分たちはそこに住んでいる魚と遊んでいるだけ」
 などと呑気なことを言っていられる次元ではないだろう。

 バスの駆除を中止しなければ、
 ハンパな数ではないバスを放流すると豪語しているが、
 
警戒を潜り抜け、数万匹に及ぶ密放流ができるのは、
 バス釣り業界や全国規模の団体である
ことはすぐに理解できる。
 さらに言うならば、琵琶湖のブラックバス駆除で
 最も経済的な打撃を被るのもまた彼ら自身である。

 ブラックバスが、全国的に放流禁止となっているにもかかわらず、
 わずかの間に、何故これほどまでに拡大できたのか、
 その謎が解けたような脅迫状である。
 それはまさに「熱血ブラックバスフイッシャーマン」自らが、
 「偽善の仮面を捨てた」瞬間にも見える。
ブラックバスの基礎知識
○1925年、実業家・赤松鉄馬氏がアメリカから輸入し、
 87匹芦ノ湖に放流したのが最初
○日本に移植されて74年、急速に広がり始めてから30年足らずで、
 バスのいない都道府県は1つもなくなった。
○全国の湖沼、ため池、小川や水路など至る所に密放流され、
 今では淡水生態系の最上位に君臨している。

ブラックバスの生態

@.攻撃的で動きは素早く、小魚から昆虫まで動く小動物なら何でも食べる大食漢。
 日本には、バスの天敵となる魚がほとんどいない。
 日本の淡水生態系の中では、ケタはずれに強い。
A.日本で繁殖しているバスは、オオクチバス、コクチバス、スポッテットバスの3種
B.オオクチバスは、比較的水温が高く、流れのない水域を好む。
 主に、水深の浅い岸辺の水草帯にひそみ、エサもその周辺で捕る。
 新潟県の水が冷たく穏やかな渓流・魚野川などにも生息している。

C.適応能力が極めて高く、淡水だけでなく、塩水が混じった汽水でも生きられる。
D.3年で30-35cmの成魚、条件がよければ60-80cmくらいまで育つ。
E.餌は、エビ類、ヨシノボリ、メダカ、オイカワ、フナ、モツゴ、ワカサギ、アユ・・・、
 北米原産のブルーギルも食べる。

オオクチバスの卵 産卵床を守るバス ブルーギル
F.産卵は、3月下旬から7月上旬、卵は2千粒から2万粒。
G.産卵後、オスはそのまま巣にとどまり、巣に近寄る外敵に対して攻撃を仕掛け、
 追い払うなど卵や仔魚を親が守る。
 次の世代の生存率も高く、繁殖力旺盛。

□コクチバスの特徴

@.日本で生息が確認されたのは92年、長野県・野尻湖や福島県・桧原湖。
 北部の湖沼河川や渓流、山上湖などにも見られる。
 コクチバスの登場で、日本の内水面は、ブラックバスに完全制覇されつつある。
A.コクチバスは、冷水域や流れのある水域に生息、透明度の高い水を好む。
B.オオクチとコクチを比べると、コクチの方が引きが強く、よくジャンプする。

□バス釣り業界

@.バス釣り人口100万人、
 バス釣りに代表されるルアー釣り関連商品出荷量数百億円。
 こんな巨大な業界が、わずか10年、20年で出来上がった。
A.各地で開催されているバストーナメナントの主役は、
 「バスプロ」と呼ばれるプロたち。
 釣具メーカーなどの企業がバックアップ、
 賞金や協賛金を出資している。
 プロ・トーナメントにお金を出して「○○カップ」と企業名を付け、
 PRに使う常連企業もいる。
 バス釣りは非常に商業主義の強い遊びであり、
 「バス、ストップ」などと簡単に言っても一筋縄ではいかない。

B.日本バスクラブ(NBC)・・・一般バス釣り向けの団体。会員は2万人。
C.日本バスプロ協会(JB)・・・バスプロで組織された団体。会員は、約1.500人
D.ジャパン・バス・カルチャークラブ・・・大手釣具販売業・上州屋のバス釣りクラブ。
 200人のプロが認定されている。
E.WBS・・・バスプロ・吉田幸二氏が中心となっているバスクラブ。
F.B.A.S.Sオブ・ジャパン・・・アメリカで最も古い歴史と権威をもつ団体の日本支部。
 馬場目川の生態系危機(秋田さきがけ、1999.9.17の記事より)
 「ブラックバス大量繁殖」、
 秋田県五城目町の馬場目川がブラックバスに侵されている
 河口から約7キロの高崎地区の戸村堰頭首工付近までさかのぼり、
 大量に生息している。
 このまま近くの堰堤を上っていくことになれば、
 ヤマメの稚魚もブラックバスの餌食になる恐れもあり、
 渓流釣りメッカと言われる馬場目川が危機に陥ることになる。

 県内のブラックバスは、昭和58年ころ、八郎湖で確認されて以来、
 凄まじい勢いで繁殖、湖の生態系の頂点にいると言われている。

 ・・・馬場目川はゴリやハヤ、アユなどの稚魚がおり、
 これらがブラックバスの餌になっている。
 ・・・戸村堰頭首工近くの住民が最近、投網を放ったところ、
 1回で20匹前後のブラックバスがかかり、他の小魚は確認できなかったという。
 生息が確認されている戸村堰頭首工近くの堰堤を越えて、
 さらに上流に上るようだと
 「ヤマメの稚魚がブラックバスの餌食になってしまう」と心配する声も多い。

 バス釣り業界が、組織的に戸村堰頭首工の上流に、
 ブラックバスではなく、冷水の渓流に住むコクチバスを放流したら、
 と考えるとゾッとする
のは、私だけではないだろう。

【 参考文献 】

ブラックバスがメダカを食う」(秋月岩魚著、宝島社新書)

バス・ストップ秋田 ブラックバス問題を考える

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