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秋は何と言ってもキ・ノ・コ
特に岩魚が生息するブナ・ミズナラ林の山と渓谷は、キノコの宝庫だ
キノコは、どれ一つとして同じものはなく、それぞれ個性的、芸術的である
自然の妙、自然の造形美に魅入られて、写真を撮るだけでも楽しい
巨大なトンビマイタケやマイタケに遭遇すれば、大岩魚を釣るより興奮と感激は大きい
夏のキノコ・・・トンビマイタケ
▲ブナの老木に群生した巨大トンビマイタケ(8月中旬)
根の周りだけでなく、長く地中を這う根の遥か先にもトンビマイタケの株が連なり
数え切れないほど生えていた・・・1本の木に約30株・・・恐らく50kg以上はあったと思う
採取しても担げないほどの巨大トンビマイタケの群生には圧倒される

形はマイタケに似ているが、枝分かれした一枚一枚の傘片は桁違いに広くデカイ
食べ頃は、径20〜25cm、傘の厚さが1cmぐらいが旬
姿・形の美しいキノコだが、一度採取すると、真っ白なヒダが真っ黒に変色する
これはトンビマイタケの特徴で、別に味に問題はない
このキノコは、若くても繊維質が強い

傘にのびた縦縞に沿って切ると硬くて歯切れが悪い
むしろ、それに直角に包丁を入れ、なるべく薄く切るのが料理のコツらしい。

◆料理・・・お吸い物、炒め物、唐揚げ、天ぷら、キノコ飯、けんちん汁、鍋物、煮染めなど
キノコの横綱・マイタケ
▲ミズナラの巨樹の根元に生えたマイタケ(9月下旬)
ブナの森でキノコの王様と言えば、ミズナラの大木の根元に生えるマイタケ
渓流沿いを歩く釣り人では、出会う確率はゼロに近い
竿を捨て、マイタケ専門に探したとしても大株を見つけるのは難しい

だから、山人はマイタケを「見つけた」とは言わず「当たった」という
2008年9月下旬、一本の木の根元に、マイタケ14株、約20kg・・・
一生に一度あるかないかの巨大マイタケに遭遇した
▲360度生えていた中でも最もデカイ巨大な株
巨樹の根元にどっしり座っているようなマイタケ3株・・・こんな状態を「スワリ」という
右のマイタケは巨大で、一株5kgほどの大物だった
マイタケは、白系、茶系、黒系の3種・・・中でも黒系が最上級で、市場性も高い

採り方は、両手で上又は下から起こすように採る
マイタケは、ナイフで切り取ると翌年以降生えないと言われる
マタギは、ブナやイタヤカエデなどの枝の先をノミのように平に削った
長さ1m程度の「ツクシ」を使って採る
▼マイタケの生育過程と呼び名
▲マメ・・・豆のように可愛い原基が現れ、マイタケ採りの人たちの目に見えるようになった状態 ▲サワリ・・・マメから8日程度経過し、採るか採るまいか、触りたくなるような若いマイタケ
▲サカリ・・・サワリから8日ほど成長し、あたかも働き盛りに見える状態

▲スワリ・・・サカリから8日ほど経過し、森に座りながら次の世代に子孫繁栄のため、より多くの胞子を飛散している大株状態
▲ナガレ・・・スワリから6日ほど経過して、傘からほとんど胞子を落とし、悪臭が漂いキノコバエ等が飛来し、傘の肉が落ちる状態
▼発生の周期
マメからサワリを採取したキノコ木は1〜3年、
サワリからサカリ3〜5株採取したキノコ木は3〜5年、
サカリからスワリ6〜8株採取したキノコ木は6〜8年間隔で発生する

また、サワリ、サカリ、スワリを10株以上も採取したキノコ木は
10年以上経過しないと再発生しないと言われる
天然物は、栽培物と違って巨大な株になり、極めて香りが良い
味も一流、歯切れも素晴らしい
その天然の風味と歯切れの良さを生かすには、短時間に調理できる料理が最適

市場性が高いのは、油や和風だし、醤油、味噌、素焼き・・・
和風料理、洋風料理にも合う万能キノコに加え、
腐りにくく、保存性は、数あるキノコの中でも極めて高いからだ
しかし、数十キロに及ぶ大物に当たる確率は、「一生に一度あるかないか」と思うほど極めて低い

◆料理・・・天ぷら、炊き込みご飯、鍋物、土瓶蒸し、お吸い物、味噌汁、佃煮、茶碗蒸し、炭火焼・ホイール焼きなど
マスタケ・・・釣り人必見のキノコ
▲旬のマスタケ(6月)
食用にできるのは柔らかい幼菌のみ・・・だから旬のマスタケに遭遇するのは極めて難しい
上のマスタケは、まさに旬・・・指で押さえると、耳たぶくらいの柔らかさ
色も鮮やかで、紅マスやサクラマスの身の色に似ていて美しい

◆料理・・・厚めにスライスしてフライや天ぷら、バター炒め、鍋物
▲マスタケの天ぷら
旬のマスタケは、手で触ると、実に柔らかい
天ぷらにすると、見た目は赤味のカニかマスそのもの
塩をちょっと付けて食べると、まさにカニかサクラマス・・・
数あるキノコの中でも摩訶不思議なキノコであることは確かだ
沢沿いの風倒木に群生するサワモダシ(ナラタケ)
▲ブナの倒木に群生したサワモダシ(ナラタケ、10月下旬)
岩魚を追いながらよく見掛けるキノコの代表で、とにかく大量に採取でき、美味しいのが有り難い
山暮らしでは、欠かすことのできないキノコの一つ

・秋田では、ナラタケ、ナラタケモドキ、ヤチヒロヒダタケを総称してサワモダシと呼んでいる
・地方名・・・ボリボリ(北海道)、ヤブタケ(新潟)、アシナガ(神奈川など)、オリミキ、モダシなど
・傘の表面は、白っぽい黄色から淡い黄褐色、褐色など多様で、中央部に細かい鱗片があり、周辺には放射状の条線がある

・発生は春から秋、秋田では9月中旬〜10月上旬に多く発生し、稀に10月下旬にも発生する
・ブナ林などの広葉樹から針葉樹の倒木、切り株、枯れ幹、老木、埋もれ木などに群生する
▲サワモダシの群生
採取のコツは、とにかくゴミが混ざらないように丁寧に採取すること
群生に出くわしたら、4〜5本をまとめて採り、土のついた根元を取り除く
その際、枯葉などのゴミも一緒に取り除く

サワモダシの場合は、水洗いを省略して、とにかくそのまま茹でる
いったん茹でると、ゴミとの選別が簡単で、傘も壊れにくくなる
サワモダシは、茹でると丈夫なキノコに変身するのが最大の特徴
▲自然の造形美(10月上旬)
小沢の流木一面に生えたサワモダシの幼菌・・・余りの見事さに記念撮影
これはテン場近くで発見したものだが、このキノコは撮っただけで、採らなかった
というのも、既に食べきれないほど採取していたからだ
▲清冽な流れとキノコ(9月下旬)
こうした場面に出くわすと「採ってください」というよりは、
「撮ってください」というふうに見えるから不思議だ
自然の恵みの最後を飾るキノコには、そんな不思議な魅力を秘めている
・傘のヌメリと歯切れ、舌触りともに良く、ほのかに甘い香りがある
・至る所に生え、収穫量の多いキノコの代表格
・生食は×、缶詰などに加工し保存する際は必ず茹でること
・料理・・・味噌汁、鍋物、おろし和え、酢の物、煮物、麺類の具など、どんな料理にも合う
シーズンを通して採取できるキクラゲ
▲キクラゲ(7月)
渓流沿いのブナの倒木などによく生え、岩魚釣りの最中に手軽に採集できる
春から秋、シーズンを通して採取できるキノコ
山菜と一緒に油で炒め、砂糖、味噌、コショウで味付けする
他に酢の物、酢味噌あえによくあう
熱湯にキクラゲを入れ、素早く上げて冷水にさらし、三杯酢であえると、コリコリして美味い
沢沿いで採取できるキノコ・ブナカノカ(ブナハリタケ)
▲ブナハリタケの大群生(9月)
ブナの立ち枯れ木にびっしり生えたブナハリタケの大群生は圧巻
白から黄色を帯びたブナハリの群落は、森の中でも一際目立つ
しかも独特の香りは、遠くからでもその匂いを感知できる
▲ブナハリタケの幼菌(9月)
9月、ブナの森の渓を釣りのぼりながら発見できる代表的なキノコ
写真は、渓に倒れ込んだブナの倒木に生えた幼菌
クリーム色でとても美しく印象に残る一枚だ
▲沢に倒れ込んだブナの巨木に、びっしり生えたブナカノカ
このキノコは群生しているので、一箇所見つけるだけで食いきれないほど採取できる
注意点は、水分を多量に含んでいるので、そのまま背負うとやたら重い
ナイフで丁寧に切り取った後、キノコの水分を絞り出すことを忘れてはならない
手で採取すると、ゴミや泥がつき、後の処理が大変
面倒くさがらず、一つ一つナイフで丁寧に切り取るのが採取のコツ
特有の香りが気になる人は、一度茹でこぼすか、塩蔵してから調理する
炊き込みご飯は、マツタケに似た香りがするという

◆料理・・・油炒め(右の写真)、揚げ物、炊き込みご飯、鍋物
早春に出会うキノコ・・・ヒラタケ
▲ヒラタケ(5月上旬)
広葉樹などの枯木、切り株などに多数重なり合って発生する
晩秋からタケノコシーズンの6月頃まで発生する
真冬の雪の積もった雑木林の枯れ幹に群生していることもあるという
傘は肉厚で弾力性がある・・・鼻を近づけると、キノコ特有の淡い香りがする
生長して老菌になっても腐らず、乾燥して枯れ木についているものもある
傘の先端部は波うっている
◆料理・・・汁物の具、スープ類、炊き込みご飯、天ぷら、フライ、バター炒めなど
ウスヒラタケ
その名のとおり、ヒラタケより肉質は薄い
ブナやミズナラの風倒木に重なり合うように生え、収穫量も多い
全体的に白っぽく、成長すると傘は淡い灰色を帯びる・・・傘裏は白く、倒木に側生する
ウスヒラは、タケノコ汁に欠かせないキノコの一つ
苔生すブナの倒木に生えていたウスヒラタケ
姿、形が美しく、被写体としても魅力的なキノコ
ヒダが白いものが旬、古くなるとクリームからレモン色になる
香りが高く、味に癖がない・・・肉質がやわらかく、歯切れが良いのが特徴
◆料理・・・味噌汁、鍋物の具、炒め物、煮物など
ブナシメジ
傘の中央部に大理石模様があるのが最大の特徴
傘は初め半球形から平らな山形に開く
◆料理・・・味噌汁、天ぷら、和え物、煮物、炒め物、炊き込みご飯など、和・洋・中華何でも合う
アケボノサクラシメジ
▲ブナ林に発生するアケボノサクラシメジ(9月)
ブナ林で、倒木や立ち枯れ木に発生するキノコは多いが、
地上に発生するものは意外に少ない
それだけに、列になして生える本種を見つけると、心が躍る

サクラシメジより大形で、全体的に白っぽく、なかなか絵になるキノコだ
採取のコツは、一つ見つけたら、周辺を探すこと・・・写真のように列をなして生える
傘は淡いピンク色で、中央がやや濃く粘性がある
茎も白いが、根元部分は黄色を帯びる
サクラシメジと同様、匂い、苦味など少しクセがある
湯がいたり、塩蔵してから調理する

◆料理・・・酢の物、煮物、雑炊、油炒め、ホイール焼きなど
珍味・ヤマブシタケ
ブナやミズナラの枯幹や風倒木、老木のくぼみなどに垂れ下がるように生える
白い大きなボール状で良く目立つが、手が届かないほど高い幹に生えている場合が多い
採れる量も少ないことから、幻のキノコとして珍重されている
針状で丸く、肉質はスポンジのように水分を含んでいる
歯ざわり、口当たりともに良く、刺身風にワサビ醤油で食べると美味い
◆料理・・・刺身風おひたし、吸い物、酢醤油漬け、茶碗蒸し、天ぷらなど
秋の巨大シイタケ
秋、マイタケを探しながら歩くと、ミズナラの倒木に生えたシイタケによく出会う
柄が硬く、ナイフで切り取るのがベター
天然のシイタケは、意外なほどデカイものが多く、塩ふり焼きにすれば香りが増して絶品
紛らわしい毒キノコ・ツキヨタケには、柄がないので下から見ればすぐに判別できる
シイタケは、大きくなると平に開く
ヒダは白色で、密
◆料理・・・焼き物、炒め物、味噌汁、鍋物、煮込みなどどんな料理にも合う
野生のシイタケは、一般に春に見掛けることが多く、傘の表面がひび割れている
秋に生えるシイタケは、表面にひび割れもなく、これがシイタケか?と疑うほど巨大になる
北海道、夏のキノコとして有名なタモギタケ
▲タモギタケ(8月)
8月盆の頃、北海道日高の渓でよく見かけるキノコがタモギタケ
一般に、6〜7月頃に発生する
北海道では、ヒグマの好物なので注意が必要
ニレ、ヤチダモ、ナラ、カエデなどの倒木に発生する
特にニレの多い北海道の夏のキノコとして有名
上品な味と香り、口当たりの良さで昔から食用キノコの上位にランクされている
◆料理・・・油炒め、鴨鍋、天ぷら、味噌汁、佃煮など
ブナ林の黄葉とキノコ狩り
渓流釣りのシーズンが終わった10月、ブナの森は全山燃えるような黄葉に染まる
岩魚釣りはオフシーズンだが、竿を持たずに、黄葉とキノコ狩りを楽しむのもまた格別
落ち葉が舞い散る小沢では、産卵で遡上した岩魚の姿を眺めながら、
キノコを探し歩く旅もまた楽しい・・・狙いのキノコは、ムキタケとナメコだ
黄葉シーズンに生えるきのこの代表・ムキタケ
▲ムキタケ(10月下旬)
10月下旬ともなれば、紛らわしい毒キノコ・ツキヨタケも姿を消している
ムキタケは下から見れば、一目瞭然・・・大型のキノコで、ブナ林の中では最も絵になるキノコ
透明感のある黄白色で、ヒダはかなり密、柄は太く短いのが特徴だ

美味しいキノコを狙うのは、人間だけでなく、無数の虫たちも狙っている
虫食いかどうかは、手にとらなくとも、下から観察すれば簡単に見分けられる
上から見ると、確かにツキヨタケに似ている
しかし、ツキヨタケのように毒々しい小鱗片はない
半円形から貝殻形で、淡い黄土色、時に緑系、紫系、灰色系と遺伝子の多様性に富む

ナイフで切り取ると皮がむけやすく、料理の時この表皮をむくことから「ムキタケ」の名が付いた
◆料理・・・納豆汁、シチュー、鍋物、すき焼き、トマトとナスのグラタンなど
▼ムキタケとツキヨタケの見分け方
・姿・形・・・ムキタケは、ツキヨタケのような毒々しさはなく大変美しいキノコ
・裏返すと、ヒダはかなり密で白っぽく綺麗な印象を受ける
・傘の表皮が簡単にむける
・柄の中心から半分に切ると、芯に黒いしみがない
・黄葉の季節になると、ツキヨタケは姿を消し、ムキタケが折り重なるように生えてくる
▲毒キノコ・ツキヨタケ
若いのはシイタケ、大きくなるとムキタケに似ている
しかも同じ樹に生えているからややこしい
右の写真のとおり、縦に裂けば一目瞭然、紫色の染みになっているのが毒キノコだ
ムキタケが最盛期となる10月下旬は、姿を消すので安心だ
ブナ林の宝石・ナメコ
ブナ林に生えるキノコの代表で、昔から食用キノコとして有名
何と言っても絵になるキノコだけに、採るより撮る方に夢中になってしまうキノコだ
ヌメリ、色艶、造形美・・・いずれをとっても涎が出そうな美を感じさせてくれる
写真は傘が開く前の幼菌・・・採取は木を傷つけないよう、一つ一つナイフで切り取る
▲ブナの倒木に生えたナメコの大群落(11月上旬)
こんな夢のようなシーンに出くわすこともある
夢が現実となれば、「なぜ、なぜ、なぜ」を連発し、感性と創造力がフル回転、
誰しもその不思議な造形美を撮りたくなる

深山のブナ林では、マイタケ、シイタケ、ナラタケ、ヤマブシタケ、ブナハリタケに続いて
ナメコ、ムキタケが森のフィナーレを飾る
かつてはどこでも生えていたナメコだが、各地でブナ林が伐採され、
今では深山に行かないとなかなか採取できなくなった
ナメコに会いたければ、原生的なブナ林が残る沢を探し、ひたすら歩くに限る

幸い、岩魚釣りは、こうした沢を釣り歩いているだけに、目星はつけ易いはずだ
10月下旬頃を目安に歩いてみて欲しい・・・きっと素晴らしいナメコに出会えるだろう
ナメコと言えば、傘の開かない栽培物の印象が強く、
傘が開いたナメコは旬を過ぎたように錯覚しがちだ
写真は、傘が開いたナメコだが、これぐらいがボリュームもあり、実は最も食べ頃なのだ

このナメコは、一面落ち葉に覆われ、一見しただけでは見つけられない
キノコの臭いに誘われ、落ち葉を取り除くと、ナメコの山だった・・・思わず、声を失うほどだった
◆料理・・・ナメコ汁、納豆汁、おろし和え、三杯酢、ワサビ醤油、鍋物、麺類の具、佃煮など
チャナメツムタケ
分厚い苔とブナの落ち葉、こんがりと焼けたような見事な色艶、
リズミカルな配列・・・いずれをとっても美しい
傘に強い粘性があり、ナメコの成菌に似ているが、
傘の縁に綿毛状のりん片がついているので区別できる
小沢の湿り気を含んだブナなどの腐朽した倒木、落ち葉が積もった地面に生える
肉質も厚くヌメリ気もあり、火を通すとこくのある出汁が出る
ヌメリが強く、汁物にはナメコ以上にコクのある旨味がでる

◆料理・・・鍋物、けんちん汁、野菜との油炒め、炭火焼、味噌汁、煮物など
シロナメツムタケ、キナメツムタケ
腐朽の進んだミズナラの落ち枝や埋もれ木に発生する
傘は茶白色で粘性があり、ヒダは白色のち淡褐色
茎は白色でややササクレがある

落葉が降り積もってから発生することが多く、見つけにくい
料理は、ナメコと同じ料理が合う
近縁種にキナメツムタケ(食)がある・・・形は同様で、全体的に黄色いキノコ
クリタケ
▲旬のクリタケ(10月上旬)
沢に転がっていた根株に群生していたクリタケ
名前のとおり、淡い栗色で、丸い傘周辺に白の繊維状の膜をつける
若いクリタケの裏側は白く美しい
採取のコツは、崩れ易い傘には触れず、柄の根元をつまんで採る
味区分Aランク・・・クセのない風味と歯切れの良さが特徴で、良い出汁が出る
◆料理・・・味噌汁、鍋物、煮物、炒め物、おかゆ、炊き込みご飯、フライ、中華風雑炊など
ヌメリツバタケモドキ
沢沿いのブナの風倒木や立枯木によく生えている
こまめに採取すれば、けっこうな量を採取できる
水分を多く含み、採るとグシャリと簡単に潰れ、素人にはいかにも不味そうに見える

しかし、熱を通すと意外なほど歯ざわりがよくなる
◆料理・・・三杯酢や和え物、お吸い物
ヌメリスギタケ
ナメコのグループに入る食用キノコ・・・秋田ではナメコ、ナメラッコなどと呼ぶ
傘は黄褐色で、ササクレがある
茎にはツバがあり、ササクレでおおわれている
さわやかな歯触りと独特のヌラメキがあり、各種汁物、和え物などどんな料理にも合う
その他のキノコ
▲スギヒラタケ(10月)
秋田では、人気の高いキノコの代表でスギカノカと呼ばれている
2004年、スギヒラタケが原因とされる急性脳症が多数報告され、
今では毒キノコの筆頭に、残念!

昔から、身近な杉林で大量に収穫でき、味も良いことから特にお年寄りに人気が高い
杉の古い切り株などに多数重なって発生する姿は美しい
表面は白色、肉は薄く、縁部は内側に巻く
裏側も白色でヒダも密。ブナハリタケと同様、茎はなく側生する
▲チチタケ(8月中旬)
低山帯のブナやミズナラなどの広葉樹林内の地上に生える
表面は中央部がくぼみ、黄褐色から鮮やかなレンガ色
キノコに傷をつけると白い乳液を分泌するのが最大の特徴

東北では、ほとんど食べないが、茨城県や栃木県ではキノコ狩りの筆頭品目で人気が高い
同じキノコでも、東北と関東の食文化の違いを強く感じる
スライスして、ニンニクと野菜を一緒に油で炒めると美味しいらしい
▲サンゴハリタケ
全体が白色で、その名のとおり、珊瑚のような形と無数の白い針の塊が特徴
発生は極めて少ないが、歯触り、口当たりとも一級品
◆料理・・・すまし汁、すき焼き、卵とじ、酢の物、大根おろし和えなど
▲ニカワチャワンタケ
ブナの倒木によく生える
写真はゼラチン質で白っぽく旬だが、古くなると褐色を帯びる
熱湯にとおし、酢の物などに利用される
▲スギタケ(食?)
全体的にササクレているが、りん片は伏すようにつく・・・ツバは裂けている
ナメコと近縁だが、粘性はまったくない
食用とされているが、腹痛や下痢を起こすことがあると言われる
▲オオワライタケ(毒)
いかにも美味そうに見えるが、幻覚や震えなどの中毒症状をおこす
発生は夏〜秋
傘は褐黄色〜橙黄色で細かい繊維紋があり、ヒダは黄白色
根元はふくらんでいる・・・強い苦味がある
▲ツキヨタケ(毒)
日本特産の毒キノコの中で、中毒例が最も多い
食用のムキタケやヒラタケ、シイタケとよく似ているが、
茎を割ると根元に黒いシミがあるのが決定的に違う
▲ニガクリタケ(毒)
小型で大群生する毒キノコで、死亡例もある
クリタケと間違うらしいが、現場で体験すれば瞬時に判別できる
判別法は、生のままかんでみると、強い苦みがあるのですぐに区別できる
▲ハナホウキタケ(毒)・・・珊瑚状の美しい毒キノコ。色の濃さに個体差があり、左は赤みが強く、右は黄色みが強い。ホウキタケと勘違いし、誤って食べると、下痢や腹痛を起こすので注意。

自然の造形美・・・キノコを撮る
山菜やキノコは、食べるだけでなく、自然の造形美としても鑑賞に値する
採る前に、周囲の景観も含めてデジタルビデオやデジカメで撮影しよう
自然の造形美は人間の感性を刺激し、意外な芸術作品を生み出すだろう
こうした記録は、長いオフシーズンに整理・加工すれば楽しさも無限に広がる
番外編:木の実
▲ヤマブドウ
他の樹にからまり、よく目立つので探すのは至って簡単
ただし不作の年も多く、いつでも簡単に採取できるわけではない
栽培のブドウより酸味が強い
山では生で食べても、それなりに美味い
家では、ジャムやジュース・・・果実酒は違法なので注意
▲サルナシ
9〜10月頃、黄緑色に熟れた実は、甘酸っぱく美味しい
果実を切るとキーウィフルーツにそっくり
木の実の中では人気が高く、生食のほか、ジャムや果実酒にして楽しむ
▲トチの実
ブナ林ではたくさん採取できるが、アクが強くすぐには食べられない
厚い皮をむき、5mmぐらいにスライスする
木灰で煮る・・・一晩水にさらす・・・これを二回ほど繰り返さないとアクは抜けない
▲アケビ、ツノハシバミ、ブナの実
アケビ・・・紫色に熟れた皮を縦に割って、青白い果肉を丸ごと一気に口の中へ。種は吐き出すのが一般的だが、ブドウと同じで種ごと食べた方が美味しい。さしずめ日本の森のバナナといった存在。皮は独特の苦味があり、秋田では食べる習慣はないが、砂糖と味噌を練り合わせて皮に詰めて焼く田楽や皮をスライスして油で炒めても美味いらしい。
▲ブナの実
秋になるとイガ状の殻が4つに割れ、中の実が二つこぼれ落ちる
ブナの実が豊作の年は、幾らでも拾うことができる
実は長径2cmほどで、形は蕎麦の実に似ている

生で食べても美味いが、一般的に炒って食べる
実が小さく、面倒なのが欠点
実を粉にしてクッキーや団子にして調理すると美味いらしい
▲ツノハシバミ
低木に3〜4個の実が角のような奇妙な形(左の写真)をした実をつける
皮を剥くと、右のミニ栗のような実が入っている
フライパンで焼き、硬い殻を割り、爪楊枝でほじくりながら、白い種子を食べる

栗の味に似て、なかなか美味い
山に入ったら、獣と同じ目線で、アケビやヤマブドウ、イチゴ、栗、ブナの実、
ツノハシバミなどを採取して食べるのもまた楽しい
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「秋田太平山地のマイタケ」(佐々木仁八郎著、秋田中央印刷株)
 生態測定調査と採取活動30年間の記録
「あきた山菜キノコの四季」(永田賢之助、秋田魁新報社)
「きのこの見分け方」(大海秀典他、講談社)
「釣り人のための山菜・きのこ」(菅原光二著、つり人社)
「山菜、キノコ、木の実採り入門」」(鈴木アキラ編著、山と渓谷社)

「きのこ・木の実・山菜カラー百科」(主婦の友社)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)

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