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山の幸、活け造り、借景の文化、イワナ寿司、燻製、水の風景を撮る、岩魚短編小説「メモリーズ」・・・
山の幸:山菜編
ウドの旬は、若芽が開かず、茎と根本が太いものが極上品
天然のウドは、食欲をそそる色合いとボリューム感に満ちている
採って満足、被写体としても撮影意欲をそそる山菜の代表格だ

定番料理・・・若芽は天ぷら、皮は厚めに切ってキンピラ、白い根元は酢味噌和え
▲山の幸の調理&撮影に欠かせないザル
山釣りには、常にザルを二枚ほど持ち歩く
山の恵みとザルは相性が良く、写真を撮るにも、洗って調理するにもすこぶる便利
ザックの頭に被せれば、軽く嵩張らない・・・昔の知恵が生きている必携品
▲採取した山菜は8種
採取した山菜は、シドケ、タラノ芽、ミズ、ウド、ホンナ、コゴミ、アイコ、山ワサビの8種
この採りたて山菜8種は、雪国を代表する山菜である

料理・・・おひたし、和え物が定番。シドケやタラノ芽、ホンナ、コゴミ、ウドは天ぷらに。
山の幸:イワナ編
▲旬のイワナ
一般に、釣りに夢中になると、釣り上げたイワナを粗末に扱いかねない
例えば、釣ったイワナをすぐに野ジメにし、ビグなどに入れて釣り歩くと鮮度は格段に悪くなる
これでは、旬の刺身はもちろん、寿司のネタには使えない
右の二つの写真は、イワナを網袋に入れ、生かした状態でデポしたもの
納竿したら、デボしたイワナを回収しながら下れば、夏でもイワナの旬を保つことができる
一見、面倒くさいように思うかもしれないが、いざ実践すれば、その差は歴然である
▲尺前後のイワナ
尺前後のイワナがこれだけ揃えば、イワナ料理にも力が入る
右の写真は、清冽な流れを「借景」にして撮る
▲「活け造り」の傑作を撮るには・・・
日本の優れた文化の一つに「借景」の文化がある
前景の庭園と背景となる山などの「借景」とを一体化させる手法である・・・露天風呂もその一つ
山釣りの場合は、背景となる「借景」に溢れている・・・これを使わない手はない

盛り付けのバックとして、テン場周辺で採取した根の太いワサビを敷く
緑の若葉は、赤味を帯びた刺身を一層引き立ててくれる
完成した「イワナの活け造り」は、沢に点在する苔生す岩と清流を「借景」に撮る

上の写真は、三脚とケーブルレリーズを併用し、画面全体が鮮明になるように撮影した
(注)食べた後、残った頭と骨は焚き火の上に吊るし、燻す
骨酒あるいは味噌汁の出汁に使えば、これまた美味
サルでもできる源流イワナ寿司
▲イワナ寿司の新兵器・・・一度に寿司が10貫できる寿司シャリ容器「パコっとにぎり寿司10貫 ▲寿司シャリ容器で作った「イワナ寿司」・・・これなら「サルでもできるイワナ寿司」といった感じだ

イワナ寿司は、確かに美味い
山では最高ランクに位置づけられるほど、イワナ料理の最高峰的存在である
しかし、素人がシャリを握ると、大小様々で安定感、美しさに著しく欠けるという大問題があった
イワナのネタは良くても、シャリに乗せた途端にひっくり返るようでは話にもならない

救世主「パコっとにぎり寿司10貫」は、材質がポリプロピレンで、重さが100gと軽い
おにぎり型容器の寿司シャリバージョンといったところ
シャリが角張ってしまうのは致し方ないが、素人イワナ寿司には最適のアイテムだ
▲山釣りのクライマックス「源流酒場」
古今東西、どんな旅のスタイルであろうと、「食」がキーワードであることは論ずるまでもないだろう
だから山釣りに限らず、美味しい水やイワナ、山菜など、自然の恵みを求めるのは必然のこと

かつて山人たちが生活のために歩いた道は、そのほとんどがブナ帯の沢筋ルートにあった
その歴史の生き証人こそ、滝上に移植放流されたイワナの子孫たちである
こうした自然に生かされた「原始の道」こそ、山釣りのフィールドにふさわしい
▲焚き火で一晩じっくり燻したイワナの薫製
焚き火の魔術は、魚体を飴色に染め、芳香な香り、独特の味覚を醸し出す
串ごとかぶりつく
しこたま美味い・・・としか表現のしようがない
水の風景を撮る:その1(フィルターなし)
▲ワサビと美味しい水
美味しい水の風景は、見ているだけで心が洗われる
イワナを追ってひたすら源流をめざすのは、
この美味しい水-「命の源流」を求めているからに違いない

両サイドに、清冽な飛沫を浴びて白花が咲き始めたワサビの群落・・・
鮮やかな緑の苔岩の間を美味しい水が無尽蔵に流れ下る
原始の水の音は、まるで音楽を奏でているようにも聞こえる・・・まさに美の極致
 
▲苔生す岩と清冽な流れをメインに切り撮る
「流れる水」の風景を「見た目」と同様の感覚で撮るには、1/8以下のスローシャッター撮影がベスト
幸い、早朝はNDフィルターがなくても1/8〜1秒程度(ISO100に固定)のスローシャッターが可能だ

写真の世界では、スローシャッター撮影には重くてかさばる頑丈な三脚が常識
しかし、「足で撮る」世界では、その常識が非常識となる
軽量コンパクトな三脚でも、ケーブルレリーズと併用すれば、シャッターブレを100%防ぐことができる
▲天然のワサビ田
苔岩の階段を一歩、一歩上っては、水の美に酔いしれる
立ち尽くしていると、冷たい微風とともに新緑の香りとマイナスイオンが全身を吹き抜けてゆく
斜面の岩穴から湧き出したばかりの冷たく美味しい水・・・清涼感、爽快感は満点である
▲清冽な流れをメインに縦構図で撮る  
緑の苔は、清冽な水によく似合う
これほど苔と清冽な瀑布が連なる光景も珍しい
ネコノメソウ、ワサビ、ミズ、ニリンソウ・・・
聖なる水の世界は、生物多様性に満ちている・・・その持続的な命の風景に心が和む

水の風景を撮る:その2(NDフィルター使用)
▲原始庭園の真っ只中に居を構えたテン場
沢は、真東から西に向かって流れている
テン場に戻ると、日は高く、谷の上流から強い陽射しが射し込んでいた
水面はギラギラと輝き、もはやスローシャッターで撮影できる時間帯ではない
ND8フィルターをつけ、あえて逆光で撮る・・・水面の光が流れて美しい
▲美しき水の流れを「借景」に燻製イワナを撮る
NDフィルターは、水面の反射を除去する効果もあるようだ
煌く水の流れの軌跡・・・緩い流れの部分は底石まで見える
▲テン場全景 ▲新緑の谷
早朝、コーヒーを飲んでいると、対岸に鮮やかな黄色のテンが姿を現した
それにしても大きい・・・突然の訪問者を撮るには、デジタル一眼レフは無力に等しい
標準レンズを望遠レンズに交換している間に、姿を消していた
24倍ズームのデジカメなら撮れたのだが・・・
▲朝一に採取したシドケ ▲根の太い山ワサビ・・・薬味用に4本ほど採取
茎の太さ、色艶、根の太さに注目
同じ「天然山菜」と言っても、生育場所によって品質は格段に違う
その点、「秋田の山菜」は一級品・・・天然山菜を買うなら、秋田が断然オススメ! 
▲大きくなった秋田フキ ▲春ヒラタケ ▲山ワサビロード
▲ワサビとウド ▲ムラサキヤシオツツジ ▲オオカメノキの白花
▲源流部の渓畦林・・・芽吹きは始まったばかり ▲テン場付近のブナ・・・新緑はピーク
6月の初夏ともなれば、谷の下流部は深緑へと変化する
しかし、高度の高い源流部まで上ると、春に引き戻されたような萌黄色の新緑を楽しむことができる
これは山菜、山野草とて同じである・・・季節の変化を高度差で味わう
これも山釣りの楽しみの一つである 
 
▲原始庭園を「借景」に記念撮影
充実した三日間・・・全員の笑顔を見れば、その満足度がお分かりいただけるだろう
萌え出る新緑と清冽な流れ、マイナスイオンを全身に浴びて・・・「秋田で元気に!」

岩魚短編小説「メモリーズ」(樋口明雄著、光文社文庫)
「俺は岩魚。名前はない。
・・・釣り人だった俺は、魚に--それも自分が好んで釣っていた
岩魚に生まれ変わってしまったのである。」

源流志向の釣り人は、岩魚のタタリなのか、ふいに襲った鉄砲水で命を奪われる
気が付けば、岩魚に生まれ変わっていた・・・
岩魚バカなら、こんなこともあるだろうと、心底思わせる小説である

淵に潜む岩魚が何を考え、どう生きているのだろうか・・・
エサやFF、テンカラ、ルアー・・・あの手この手で釣ろうとやってくる釣り人たち
それをことごとく見破る「とびきり狡猾でふてぶてしく、タフでクールな渓流の王」が主人公である

岩魚は、キャッチ&リリースの偽善を見抜いてこうつぶやく
「最近じゃ、魚のさばき方も知らねえ若いのが、小賢しい疑似餌を駆使して釣っては、
釣りはスポーツだ、だからリリースするんだなどとヌカして、魚を放ちやがる。

くそったれめ。反吐が出るぜ。そういうのを偽善っていうんだよ。
つのる空腹感の中、俺は苛立ちまぎれに意味もなく笑い続けた。」

とにもかくにも、渓流の王者・岩魚が自らつぶやくのだから納得させられてしまう
岩魚好きにはたまらない、オススメの一冊である

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