早春の山釣りPart2-1 早春の山釣りPart2-2 山釣り紀行TOP
霧は、谷の表情を一変させた 雪解け水が育むブナ帯の源流は、幽谷、幻想的、神秘的、夢幻・・・といった神々しさを感じる 神が宿る森と渓流を写真で表現するには、霧の演出効果が欠かせない しかし、こうした自然現象は滅多に出会うことはない |
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昨夜、雷鳴が轟き、明け方まで雨にたたられてしまった 迷惑千万だったが、雨があがると、濃い霧が谷に忍び込み、神秘的な情景を醸し出した 絶好のシャッターチャンス・・・デジカメに三脚をセットし、幻想的な森を彷徨う 雨で増水した流れの轟音が森に木霊し、森と水が織り成す夢幻の風景をつくりだす |
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斜面を駆け上がり、新緑初期の森を撮る 霧に包まれた朝方の谷は暗く、三脚なしでは手ぶれを防ぐことができず写真にならない オートを解除し、シャッター優先を選択、1秒程度のスローシャッターで撮影する 斜面に大きな根を張り巡らした苔生すブナ 手前の木は競争に敗れたのか、木が折れ枯れたまま立っている |
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萌え出たばかりのブナの若葉・・・ 霧に霞むと、その瑞々しさが際立って見えた |
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ブナの森の林床には、低木類を代表するオオバクロモジの若葉が真っ先に開く 和菓子に、この木の皮つきの楊枝が良く使われる 芳香、殺菌力、丈夫さ、そして緑色の皮に黒い斑点があって美しい クロモジは、雪に押し潰されても折れないほど柔軟性に富む クマは、この若葉が大好物・・・木に登らずともクロモジを手前に引き寄せて簡単に食べることができる しかも、枝を折れば、切り口から天然の香水のような芳香を放つ |
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谷が濃霧に包まれると、白と黒の水墨画のような風景をつくりだす 長い沈黙の冬を越した北の渓流は、雪解けとともに命が再び蘇ったかのような躍動感に満ちてくる 朝霧に包まれた渓流は、神秘的な空間を演出し、格別な美しさがある |
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芽吹き初期の森は、風雪に耐えた枝木の奇妙な形が良く見える それだけに一見、雑然とした森に見えるが、霧が忍び寄ると美しい森に変身する 数百年、数千年の時を経て形成された原生林は、木と木の間隔が広い |
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霧が薄くなると、雑然とした森が姿を現す 雪圧で曲がった木、光りを求めて右に左に傾いた木、林床のササや低木類・・・ 森の斜面は、夏になると猛烈な薮と化す |
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沢筋に林立する木はサワグルミ その根元を白く彩るニリンソウは、ちょうど見頃を迎えている 清冽な小沢周辺は、湿気に富み、多様な山野草や山菜を育む |
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消えた霧が再び谷を覆い始めた 山菜が萌え出る小沢を俯瞰するように撮る 手前の若葉が萌え出た低木はクロモジ、その下を清冽な水が絶えることなく流れ下る 霧に霞んでいる対岸の斜面には、ミズ、アイコ、シドケ、アザミ、ホンナなどの山菜が一斉に芽を出している 朝食後、コダシを下げて山菜採りを楽しむ |
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▼湧水が滴る斜面に群生していたミズ | ▼ホンナ |
▼土から顔を出して間もないシドケ・・・葉がまだ開かず、傘を閉じたような姿をしている。このぐらい茎が太ければ極上品。 | ▼葉が開いたシドケ・・・このぐらいが採取適期。根元からナイフで切り取るか、手で折り採る |
緑鮮やかなモミジの形をしたシドケのアップ 姿、形が美しく、被写体としても「山菜の王様」のように思う 冬の谷は、深い雪に埋もれるが、雪の下は意外に暖かい その半年間、ブナの葉が降り積もった腐葉土から栄養を蓄え、 雪解けとともにエネルギーを爆発させるかのように一斉に萌え出す だから山の野菜としてだけでなく、薬効成分も高い |
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▼数本、群がって生えるアイコ このぐらいのサイズなら、根元から葉まで軟らかく全草食べられる |
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▼雪国の山菜文化 秋田の山菜の販売量は、全国一位とか ブナの森は、山菜とキノコの宝庫・・・ブナの恵みが支えた文化を総称して「ブナ帯文化」と呼ぶが 近年は、「山菜文化」とか「キノコ文化」とか細分化して呼ぶ場合も多い 西日本で山菜と言えば、ワラビかゼンマイ程度・・・ブナ帯の山菜は、種類も量も桁違いに豊富 だから稲作に頼らず、半分山の恵みに依存して暮らすことができた かつては自家消費用として採取した山菜だが、今では天然の山菜が商品として大きな価値をもつようになった 春の市場や直売所には、旬の山菜がズラリと並ぶ 夫婦で山菜を採り、直売所で年間400万円もの売り上げを誇る農家の人も現れた |
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採取した山菜を背負い、急な小沢を詰め上がる 欲張りすぎて採取し過ぎたせいか、荷は事の外重い 斜面を見上げると、美味しそうな山菜が束になって生えているのが見える 荷の重さに、とても採る意欲は失せていた |
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黄色のミヤマキケマンの群落に混じってシドケが顔を出す | 斜面を白く彩るニリンソウの群落。この花が最盛期を迎えると、山菜もピークを迎える。 |
ブナの芽吹き・・・淡い緑が青空に映えて美しい | 林床のオオカメノキやクロモジなどの低木類も、春の陽射しを浴びて一斉に芽吹く |
小沢の水がなくなると、斜面はさらにきつくなり、林床はチシマザサに埋め尽くされる 帰りたくない気持ちを抑えながら、日常の世界に向かって歩くのは、やっぱりつらい 全山燃えるような新緑は、もうすぐ・・・山釣りも新緑前線とともに最盛期を迎える |
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眩しいくらいの輝きを放つブナの若葉 萌黄色、淡緑色、若葉色、若草色・・・この色を一言で言い表すのは難しい |
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ブナの根元に寝転び、天に向かってシャッターを押す 光りを独り占めしようとして伸びる奇妙な枝の骨格がはっきり見える 芽吹きの頃にしか撮れない森の骨格が逆光に浮かび上がって美しい |
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上流部のブナは、芽吹きが始まったばかり 葉が開くより少し早く、丸く膨らんだ花芽が開く |
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下流部は、早くも若葉燃える季節 ブナの若葉は、淡い緑色で白い産毛に覆われている 枝先の先端だけ、まだ冬芽なのはどうしたことか? |
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春の訪れを喜ぶかのように、山を萌黄色に染め上げていく この歓喜の瞬間は、雪国の長い冬があるからこそ一層輝いて見える |
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杣道から新緑に燃える山並みを望む 淡い萌黄色の波は、下流から上流へ、谷から稜線へと駆け上がってゆくのがよく分かる 奥の稜線に林立するブナは、まだ冬芽のようで木の骨格がはっきり見える 山釣りのフィールドは、新緑前線を追うように、中流部から源流部へ そして海岸部の渓流から内陸部の渓流へと移動しながら楽しむのがコツである |
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若葉色に染まった森に埋もれて歩く さぁ、今度は、どこの沢で新緑の山旅を楽しもうか 5月下旬から6月は、最も楽しい季節・・・なぜなら新緑も岩魚も山菜も最高の季節だからだ それだけに行きたい沢は山ほどある |
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次回は、新緑が始まった内陸部へ・・・「早春の岩魚とヤマワサビ」 早春の定番・ワサビ沢で初めて魚止めを確認・・・そして33cmの幽谷の美魚に歓喜 |
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