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雪渓、ヤマワサビ、岩魚、頭のつぶれた岩魚、若葉燃ゆる新緑の谷、焚き火の風景
 杣道を1時間近く歩き、枝沢に入る。
 雪代はピークに達し、渡渉点は少ない。
 大量の雪渓が残る大淵を渡渉し、右岸から左岸へ。
 残雪と淡い新緑に光のシャワーが降り注ぐ
 雪代で沸き返る渓を萌黄色の若葉が包み込む
 この季節、今まで見たこともない分厚い雪渓が連続していた
 不用意に足を滑らすと、谷まで一気に滑落してしまう。
 慎重に足場を作りながら進む。
 杣道は、雪崩で跡形もなく崩壊
 歩けど、歩けど目的地に着かない。
 湧水で湿った斜面を、ワサビの白花が一面を彩る。
 まもなく、いつものテン場跡に着くはずだが、意外に遠く感じる。
 これも雪渓に阻まれ、いつもより難渋したからに違いない。
 頭のつぶれた岩魚谷へのアプローチは、
 屹立するヤセ尾根を際どく直登するのが一般的。
 今回は、昔の山人たちが利用した左岸ルートを開拓する予定だった。
 小沢から斜面を高く巻き、次の枝沢へ・・・
 しかし、沢を一本間違えたらしく、本流に舞い降りてしまった。
 枝沢を下ると、沢の形相はいつもと全く違っていた。
 残雪と白泡渦巻く渓・・・
 頭のつぶれた岩魚谷だと思い込み、小沢を小躍りしながら下る。
 振り返ると、萌黄色に染まった谷は一際美しい。
 頭のつぶれた岩魚は、ミミズじゃほとんど針掛かりしない。
 川虫採取は、雪代の水が冷たく×。
 餌はブドウ虫で釣ることに・・・果たして釣れるだろうか。
 沸騰する釜の連続で、なかなか釣るポイントがない。
 それでも狙ったポイントから良型の岩魚が入れ食い状態で釣れてくる。
 清冽な流れから強い引きがビンビン伝わってくる。
 どんなに冷静な渓師でも、この神秘の魚信に狂わされる。
 この沢の岩魚は、良型でも斑点が鮮明で大きいのが特徴。
 魚体は完全にサビがとれているが、
 顔の下半分と胸ビレが黒くサビついている。
 次々と岩魚は釣れるものの、なかなか本命の怪魚は釣れない。
 9号の大きな岩魚針が上顎にガッチリ掛かっている。
 釣り上げた岩魚を岸に寄せ、カメラを向けると、
 妖しいまでにギラギラと輝いた。
 渓畦林の淡い新緑は、光のシャワーに燃え
 雪代の流れは、岩を噛み、奔流となって流れ下る。
 竿を出したり、カメラを構えたり・・・忙しいことこの上ない。
 ついに手にした怪魚・・・
 この怪魚は、上顎が切り取られたような奇妙な顔をしている。
 だから、強い引きは返ってくるものの、なかなか針掛かりしない。
 岩陰の深みにブドウ虫を沈め、上下左右に誘いをかけると
 いきなり上流方向に強いアタリが走った。
 怪魚は、向こうアワセでは決して釣れないのが最大の特徴。
 どこかヤマメ釣りに似ているような気もする。
 引いた瞬間にすかさず合せたら、偶然釣れたようなもの。
 幸い、針は、頭のつぶれた上顎にガッチリ針掛かりしていた。
 「頭のつぶれたイワナの謎を追う」のページと比較して見てください。
 良く見ると、上下の顎とも怪魚とは、奇形の度合いが違う。
 どうも普通の岩魚との中間種なのだろうか。
 この後、数回奇妙なアタリがあったことを考えると、
 複数棲息していることは間違いないだろう。
 昼食後、ほどなく二又に達する。
 右手は、断崖絶壁の廊下帯になっている。
 どうも見たことのない渓相・・・何度も地図を見て確認作業を繰り返す。
 右岸絶壁に張られたロープを見て、初めて怪魚の棲む渓ではないことに気付く。
 全員、キツネに騙されたように唖然・・・
 何と、我々は怪魚が棲む岩魚谷が合流する下流を釣り登っていたのだ。
 これから怪魚の谷に入るのは時既に遅し・・・やむなく竿を畳むことに。 
 左岸の杣道を辿り、旧テン場跡のワサビ田に出る。
 仲間がヤマワサビを採る合間に、ちょっと竿を出してみた。
 雪代に磨かれた美魚が竿を絞る。
 頭部は虫食い状の斑紋が鮮やかで、
 斑点も鮮明だが、側線より下の着色斑点は薄い。
 湿った苔と煌く流れに寄せた岩魚は、
 絶好のシャッターチャンスを提供してくれる。
 魚体が緑っぽい感じの岩魚
 この後、尺岩魚が竿を弓なりにしたが、
 手前まで寄せてあえなく逃げられてしまった。
 写真だけでも撮りたかったが・・・ちょっと竿先が柔らか過ぎた。
 持参した竿は、SHIMANOの「硬調61ZX渓峰尖」
 岩魚釣りの竿は、やっぱり「超硬調」の竿がベストだと思う。
 木漏れ日に輝く新緑の森をのんびり下る。
 残雪とブナの若葉
 夕日に染まる新緑の輝き
 ブナの美肌、残雪、萌黄色、光・・・
 刻一刻、森は光の角度によって千変万化の麗しさ演出してくれる。
 雪渓に立ち、動物的感覚でシャッター押しまくる。
 若葉燃ゆる新緑の谷

 雪代に沸き返る奔流、分厚い雪渓、
 まぶしいほどの輝きを放つブナの新緑の波・・・
 四季の中で最も豪奢な風景に出会うチャンスは滅多にない
 それだけに渓の写真は、岩魚と同様、技術ではなく、足で撮る
 清冽な渓の傍らで、有り余るほどの食材を手分けして調理
 岩魚、アイコ、シドケ、コゴミ、ヤマワサビ、ウド、ワラビ・・・
 猫の手も借りたいほどの忙しさ・・・これまた至福のひととき
 塩焼き用の岩魚は、手製の三脚に乗せ遠火でじっくり焼く。
 焚き火の上に乗っている鍋が沸騰したら、山菜を湯がき
 すかさず冷水にさらしてアクを抜く。
 種類、量とも多いだけに根気のいる作業が続く。
 新緑の谷が暗闇に包まれる頃
 濡れた衣服を着替え、焚き火の傍らに座る
 清冽な沢の音、梢を渡る風の音、焚き火のはぜる音、岩魚の芳香・・・
 マイナスイオンとフィトンチットを浴びると、食欲が格段に増す
 下界と違って、スローな時間が流れる 
 今回の仲間たち・・・右から長谷川副会長、柴ちゃん、アッちゃん、小玉氏、金光氏。やっぱり山釣りは、5月から6月が最も楽しい季節だ。これからタケノコが怒涛のように芽を出し始める。クマもタケノコに狂う季節・・・タケノコとサワモダシ、ヒラタケの味噌汁・・・クマでなくとも、あ〜、食べたい、食いたいなぁ

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