山釣りの世界TOP 奇形バス新聞記事


秋田県仙北郡千畑町仏沢溜池
 2002年10月27日、千畑町仏沢溜池で捕獲された奇形ブラックバス。奇形が多く捕獲されたとの情報をもらい、早速秋田県水産振興センターの杉山秀樹内水面利用部長に電話し、奇形ブラックバスの画像をいただいた。何と「頭のつぶれた岩魚」と同じ・・・「頭のつぶれたブラックバス」。これには心底驚かされました。
 上は「頭のつぶれた岩魚」・・・参考ページ頭のつぶれたイワナの謎を追う。「ブラックバスの奇形と似ているが、良く見ると若干異なる。岩魚は、上アゴの部分が切り取られたような形で目の直前から内側に巻き込んでいる。頭のつぶれたブラックバスは、上アゴの部分が斜めに切り取られたような形をしているが、目の直前から内側に巻き込むような奇形ではない。しかし、オオクチバスという名前には程遠い奇形であり、動くものなら何でも食べる肉食魚の面影は全く感じられない。
 他にも胴体の短いもの、側湾、湾曲など、比較的多くの奇形が捕獲された。奇形は、今年生まれた0歳魚と1歳魚。これは何を意味するのだろうか。杉山部長によると、近親交配による劣性遺伝ではないか。ブラックバスは、既に「遺伝子の多様性」を失っている可能性が高いとのことだった。

 ちなみに上記写真の胴体の短いブラックバスとそっくりの岩魚を20年余り前に釣ったことがある。この奇形岩魚については、1991年自然倶楽部「頭のつぶれたイワナ」の謎、と題した記事に次のように記した。

 「・・・ヤブの中を流れる枝沢が目に止まった。よく本などには゛枝沢で思わぬ釣果゛と書いてあるのを思い出し入渓してみた。・・・人の訪れた形跡などもなく、真っ黒の良型イワナが竿を入れるたびに釣れてきた。・・・やがてヤブの中に魚止めの堰堤が見えてきた。・・・右の底石から黒い影が走ったと同時に強い引きが返ってきた。一気に引き抜いた。目の前に飛び込んできたイワナを見て、全身の身の毛が逆立った。・・・34センチのイワナをビグから取り出し並べてみた。頭の部分はほとんど同じくらいに大きく、間違いなく尺上イワナであった。ところが全長23センチしかなかった。10センチほど中間の胴体がないイワナであった。この時、ぼくはこのイワナがヤスで突かれて胴体が切れたか、あるいは洪水のとき、岩にはさまれ胴体がちぎれたものと思った。・・・その後、この沢へは何度も通ったが二度と奇形のイワナは釣れなかった。明らかに事故による奇形イワナであったと思われる。」

 これと同じ奇形のブラックバスを何匹も見せつけられると、どうも事故と思ったのは間違いだったことに初めて気付かされた。あの時の奇形イワナは、突然変異か劣勢の遺伝子を持つイワナだったに違いない。
 写真のブラックバスは、正常な個体。本来ブラックバスは、小魚やカエルなどを襲う驚異的な機動力を持つ尾ビレと俊敏な方向転換を可能とする体形を持っている。しかし、胴体の短いもの、側湾、湾曲した奇形個体を見る限り、機動力も急激な方向転換もできそうにない。
 ブラックバスの奇形が多く捕獲された仏沢溜池。2年前に水抜きを行い、大型魚を中心に約300kgを捕獲駆除したが、今回は二回目の駆除。最大は40cm、1.2kgのメス。体長30cm以上の個体はわずかに5個体のみ、全体で約3000匹が捕獲された。ほとんどが15cm前後の1歳魚及び11cm前後の0歳魚だった。

 杉山部長によると、もともと遺伝子の多様性を失ってきていたブラックバスが何世代にもわたり近親交配を繰り返し、前回の駆除でさらに遺伝子の単純化を招き、多くの奇形を生み出しているとも考えられると語った。これが絶滅へのシナリオなのかどうか・・・いずれにしても興味深い奇形魚だ。
奇形バス、複数確認 千畑町仏沢ため池 閉鎖水域で変異か
秋田さきがけ 2002.11.14付け朝刊

 頭がつぶれていたり、胴体が通常より短いブラックバスが、干畑町金沢東根の仏沢ため池で複数見つかっていたことが、十三日分かった。原因は分かっていないが、閉鎖水域で近親交配を繰り返すうちに変異が生じた可能性もあるという。まとまった数の奇形魚が発見されるのは全国的にも極めて珍しく、県水産振興センターで調べたところ、上あごがつぶれる沖頭(ちんとう) が五匹、胴の一部が縮んだ短躯(たんく)が三十五匹見つかった。

 いずれも体長11センチ前後の零歳魚と一歳魚。短駆バスはエックス線による骨格調査で、背骨がS字型に湾曲するなどの異常も確認された。一緒に網に掛かったイワナやコイ、キンブナなどに奇形は見つからなかったという。

 同センターの杉山秀樹・内水面利用部長は「奇形の発生率が一割と高く、ほかの魚に異常が見られないことから、近親交配によって遺伝的な問題が生じた可能性もあるが、DNAを調べないと原因は分からない」としている。仏沢ため池を管理する七滝土地改良区(六郷町)によると、ため池は広さ約十四ha、貯水量百十二万八千m3。毎年の水質検査で有害物質が検出されたことはないという。

 外来魚の増加が問題となっている琵琶湖の生態系に詳しい滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の楠岡泰・主任学芸員は「琵琶湖のような大きな場所では、奇形魚は生存競争で淘汰(とうた)される。狭くて外界から隔離されたため池では天敵が少ないため、突然変異や奇形の魚が残りやすい」と話している。

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