バス・ストップ秋田

八郎湖・ブラックバスの行方  肉食バスの餌となる生物図鑑
ブラックバス、48市町村で確認


Black Bass stop campaign in AKITA

 ブラックバス(コクチバスを含む)、バス・ストップキャンペーンのチラシ
ブルーギルは害魚。
これが秋田県の基本的な姿勢だ。
右のチラシは、秋田県が製作した
バスストップキャンペーンのチラシ


 「ブラックバス、ブルーギルは極めて魚食性の強い魚です。
 天然の湖沼・河川に勝手に放流すると、今まで生息している魚類が壊滅的に減少し、自然の生態系が破壊される恐れがあります。
 秋田県では、県内の湖沼や河川にブラックバス(コクチバスを含む)、ブルーギルを放流することを禁止しています。

県内の湖沼・河川でブラックバス、ブルーギルを釣った方は、リリース(再放流)せず、持ち帰って食用にするか、最寄の漁協へお届け下さい。

ブラックバスなどを許可なく放流すると秋田県内水面漁業調整規則、八郎湖漁業調整規則により6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金刑に処せられることがあります。」
ブラックバス ブルーギル
ブラックバス(オオクチバス)
北アメリカ南部原産。エビ、小魚、水生昆虫を食べる。親は仔魚を守り、繁殖力が強い。体長40cmほどに成長する。
ブルーギル
北アメリカ東部原産。さまざまな昆虫を中心にエビ、小魚、藻類など何でも食べ繁殖力が強い。体長20cmほどに成長する。


問い合わせ 秋田県農政部水産漁港課魚場利用担当 018-860-1893

 特集記事:八郎湖「ブラックバスの行方」
秋田さきがけ新聞 2000年1月4日の新聞から

増え続けるブラックバス。繁殖に歯止めをかける方策はあるのか。 ブラックバス釣りのメッカとして全国から釣りファンが訪れている八郎湖。滋賀県の琵琶湖、茨城県の霞ヶ浦と並んで三大釣り場として知られている。バス釣りのブームに乗って、新たな誘客・観光資源としての一面を持つ一方で、生態系を荒らす「害魚」としての性格を併せ持つ。…「このままブラックバスが増え続ければ、八郎湖だけでなく、周辺河川の生態系も破壊される恐れがある。行政は今のうちに対策を」と危機感を募らせる関係者も多い。八郎湖のブラックバスは、その処遇、対策を巡り大きな転換点を迎えている。

釣り客のメッカに ブーム

 木村拓也さん、江口洋介さん、奥田民夫さん、イエローモンキーのメンバー、糸井重里さん−八郎湖にバス釣りに来たと噂されている芸能人の面々。…八郎湖が東北のバス釣りのメッカと呼ばれるようになったのは、釣り場が広く、ポイントを選べるといったことが大きい。休日ともなれば承水路に面した道路には県外ナンバーの車が目立ち、中にはテント持参で泊まり込み、バス釣りに打ち込むファンもいる。…バス釣りは「食べるための釣り」というより、「スポーツ」的な性格で成り立っている面がある。
 人気の背景には、芸能人もやるかっこいい男性の遊びとして女性が認めてくれたこともある。

「これまで釣りというと、年寄り臭いというイメージがあった。それをバスは払拭して、むしろファッションとして定着した」と語るのは、秋田市にある釣り東北社の佐藤忠雄編集局長。バス釣りブームは、まだまだ続くとの見方をしている。同社が昨年6月に出版した「八郎湖パーフェクトバスマップ」は2万部を出したが、完売に近い。

稚魚急増で不安と怒り、漁師は釣り人のモーターボートで切断された漁網。漁師の怒りを買っている。

 県内最大の繁殖場となっている八郎湖では昭和58年にバスの生息が確認された。以来、漁師の胸の内は穏やかではない。ワカサギ、フナ、シラウオが減ることが心配なのだ。「例年に比べて10cm前後の小型バスがよく網に掛かる」…湖で40年以上漁を続けている工藤兼四郎さんは「バスの稚魚が次々と生まれている証拠。バスが増えていると思うと不安だ」と表情を曇らせる。

 …漁師が仕掛けるワカサギやシラウオの網にバスがしばしば紛れ込む。…そのバスの腹を割くと胃にワカサギやシラウオがいっぱいに詰まっている。「本当に怒りがこみあげてくる」と漁師たち。

 バスによる他の魚種への影響が広がっている。バスの胃の内容物を調査したことのある安田貞則さんは「シラウオ、ワカサギ、ハゼなどの魚種がバスの餌になっている」と話す。かつては、湖岸のあらゆる場所に生息していたオタマジャクシやアメリカザリガニも、このところ姿を見せなくなった。八郎湖増殖漁業協同組合は駆除策としてバスを河口湖漁協に出荷している。

 バスは、八郎湖に注ぐ馬場目川にも侵入、アユを食べているのが確認され、アユ釣り客からひんしゅくを買っている。馬場目川漁協の組合員は「イワナやヤマメへの被害を食い止めなければ、川の生態系が壊されてしまう」と焦りをみせる。

 湖では、バスの釣り人が利用するモーターボートで漁網が切断されたり、漁網に引っかかったルアーの針で漁師が怪我をする被害も絶えない。…

県も対策に本腰、まず全県の分布調査へ

 ブラックバスは「害魚」。これがバスに対する県のスタンスだ。
 県は8年に県内水面漁業調整規則、八郎湖漁業調整規則を改正し、ブラックバスを許可なく放流することを禁止した。…しかし、同規則で罰せられた釣り人はまだいない。ところが、ここに来て、県側も増え続けるブラックバスの対策に本腰をあげようとしている。「このままでは県内の内水面は壊滅状態になる」(県水産漁港課)

 手始めに県内水面漁業協同組合連合会と合同で、県内河川と湖沼でブラックバスの生息分布調査を実施する。生息状況を把握した上で、その対策を検討するというのだ。対策の一つには、産卵場を破壊するなどの強硬策も浮上している。

 その一方で県は、八郎湖のブラックバスは、観光資源面から釣り人への対策も考慮する必要があるとしている。「八郎湖のブラックバスを全滅させることは無理。両者が共存できるような形をなんとか模索したい。漁業者は漁で生活をしており、主体的に考えてはいるが、八郎湖は漁業者だけのものではない」と県水産漁港課。

 ブラックバス目当ての釣りファンが全国から訪れ、5〜8月のシーズンには首都圏からの釣りファンで、八郎潟町や大潟村の宿泊施設は連日満員だ。ツァーを組んで訪れる団体客もいるほど。「害魚のブラックバスは観光資源であり、経済効果も大きい」と観光関連業者の話すのもうなずける。

 …関係者は「…関東地方では、ブームもそろそろ頭打ちになってきていると聞いている。東北は関東に比べて5年くらいブームが遅れている。もう5年もすれば、釣りファンがブラックバスに飽きる可能性がある」と話す。となると、釣り人の姿はなく、バスだけが残るという恐れもある。

 県が目指す八郎湖での漁業者と釣り人との共存は、八郎湖のブラックバスが既に生態系の頂点に達しているという現実を考えれば、一筋縄ではいかないだろう。

 県水産漁港課は「八郎湖のバス対策はもちろんだが、他の河川にバスを侵入させてはならない。アユやヤマメ、カジカなど内水面の生態系を守らなくてはならない」と言い切る。2000年の今年は、そうした県内の本格的なブラックバス対策の元年となる。

記事に対するコメン
 「八郎湖のブラックバスを全滅させることは無理。両者が共存できるような形をなんとか模索したい。漁業者は漁で生活をしており、主体的に考えてはいるが、八郎湖は漁業者だけのものではない」

 確かに、八郎湖は漁業者だけのものではないが、だからといって、八郎湖固有の生態系を破壊して良い筈はない。釣り人との共存を考えるのであれば、バスだけではなく、コイ、ヘラブナ、ワカサギなどの伝統的な釣りも同時に考えなくてはならない八郎湖のワカサギ釣り
 ブラックバスは、既に生態系の頂点に君臨しているのだから、共存できる可能性はゼロに近い。ならば、バスを容認するか、壊滅作戦を展開するか、このいずれかの選択しか残されていない。県のスタンスが、ブラックバスを「害魚」と言い切るならば、壊滅作戦をとるしか選択の余地は残されていないと思うが・・・。

 仮に八郎湖のバスを容認したならば、密放流を容認したのと同じこと。これでは、放流禁止キャンペーンの効果は、全く期待できない。

 「害魚のブラックバスは観光資源であり、経済効果も大きい」
 という論理は、一見やむを得ない選択にも見えるが、これを容認することは、密放流と言えども、経済効果があれば全て容認されていいのかという疑問が生じる。経済効果優先が、どれほど日本の自然と生態系を破壊してきたことか。
 ブラックバスの問題は、密放流という犯罪の上に成り立っているばかりでなく、経済効果優先の裏で、八郎湖の生態系が確実に破壊されているという点を見逃してはなるまい。
 肉食バスの餌となる生物図鑑
 バスが好むのは、生きたエサで、エビ、昆虫はもちろん、カエルまで食べる。動くものがあると、思わず攻撃してしまうというほど、生きエサにひかれる魚だ。釣り師たちは、バスが求めている生き物を調べ、その生き物に似た形と大きさのルアーを使い、その生き物をイメージしてアクションをつけて釣る。
メダカ・・・水路や河川、池沼などに生息、ふるさとを象徴する淡水魚。 フナ・・・日本の伝統的な釣りの対象魚。「釣りは、フナに始まりフナに終わる」と言われる。21世紀、「釣りは、バスに始まり、バスに終わる」などという単一な淡水にはしたくないものだ。
オイカワ・・・琵琶湖原産の鮎に混じって放流され、北海道を除く全国に分布。関東ではヤマベ関西ではハエと呼ぶ。 ウグイ・・・河川の河口から上流域、湖沼など、ほぼ日本全国に分布。
アユ・・・夏の釣りの風物詩となっているアユ。馬場目川では、バスがアユを食べているのが確認され、釣り人からヒンシュクを買っている。 ウキゴリ・・・川の中流域の流れの緩い場所に生息。北海道、本州、九州に分布。
ヨシノボリ・・・日本全国の川や湖沼でごく普通に見られる小型のハゼ。 ドジョウ・・・田んぼや沼、小川などに身近な水域に生息。
ザリガニ・・・春、大型のバスはザリガニを追う。 テナガエビ・・・テナガエビ、ヌマエビはバスの大好物。
シラウオ・・・河川河口と汽水域に生息する。八郎湖では代表的な漁の対象魚。 ワカサギ・・・ご存知・冬の釣りの風物詩となっている淡水魚。八郎潟のワカサギ漁や釣りが、バスの密放流によって危機に直面している。
ニゴロブナ・・・琵琶湖のみに生息する固有種。ふな鮨の原材料となっているが、バスの密放流によって激減。バス駆除対策が始まっている。
 参考文献:「淡水魚カタログ」(森文俊、秋山信彦著 永岡書店)

「ブラックバスW侵攻W」
秋田さきがけトップ記事 2000113日付け

48市町村で確認、「食害」に危機感

 生態系への影響が危惧されている外来淡水魚のブラックバスが県内で生息域を広げている。県水産漁港課と県内水面漁業協同組合連合会などがバスの生息分布調査をした結果、48市町村で確認され、県内淡水域の大方がW侵犯Wされつつある深刻な状況が浮き彫りとなった。生息域拡大は、バス釣り愛好家による放流が原因とみられている。同課は繁殖に歯止めをかけるよう、市町村に協力を呼び掛ける方針だ。

 …バスは、48市町村、20漁協で生息が確認。「(湖沼や河川で)従来よりもバスが増加している」と回答した市町村は24に上った。

 河川では、雄物川、子吉川、米代川、馬場目川など計31、湖沼では、八郎湖や十和田湖など計70でそれぞれバスが生息。ブルーギルについては確認の報告はなかったが、「米代川水系にいるようだ」との情報が寄せられており、同課は生息しているかどうか調べることにしている。

 バスによる食害の影響を受けたとされる魚介類は、内水面漁業の主力魚種のアユ、マス類、それにコイ、フナ、エビなど。鷹巣町漁協からは「農業用ため池からエビが姿を消した」との報告もあった。対策については、駆除したり、放流禁止を訴えて啓発活動に取り組んでいる市町村や漁協もあるが、特に効果が上がっていないのが現状だ。

 …同課は「現在の手法ではバスを減少させることは困難だ。産卵場所を壊すなどして繁殖を抑制していくしかない」と指摘。その上で「バスに加えて、仮にブルーギルが繁殖した場合、漁業権魚種が食害にあい、漁協の経営に与える影響が大きい」と危機感を強めている。

バス・ストップ秋田

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送