キャッチ&クッキング・パート5は、ブラックバスの煮付けに挑戦してみた。美味いとは想像していたが、これがしこたま美味い。ぜひ皆さんも挑戦してみてほしい。

 ブラックバスは、生態系うんぬんの問題を抜きにすれば、釣り人なら誰でも釣りたくなる魚だと思う。八郎湖しか釣ったことはないが、広大な八郎湖の全域、そして流入河川・・・生息域がやたら広く、サイズが大きいこと、ルアーによく反応し、ヒットするとジャンプなどファイトが凄いことである。桁外れの繁殖力と何度釣られてもルアーに果敢に反応する。これは、在来魚では考えられないことだ。だが・・・、しかし・・・、けれども・・・バス釣りの最大の問題は・・・釣りそのものではなく、密放流を黙認あるいは助長し、ブラックバスを一方的に繁殖させるキャッチ&リリース(再放流)を教条主義的に啓蒙・普及・実践している点に尽きるだろう。

 さらに、生態系を無視したバスの異常繁殖とキャッチ&リリースは、生態系破壊をピークへと導き、やがて減少、多くの釣り人に釣り上げられたバスはすっかりスレて、サイズも釣果も不満だらけ・・・行き着く先は、新たな湖や野池に密放流を繰り返す悪循環に陥る。密放流が北へと移動するとともに、バサーも北へと移動・・・ついには北海道にまで上陸してしまった。一方、河川の中・下流域で釣れなくなったオオクチバスに代わって、今度は上流域に生息できるコクチバスが全国のダムや山上湖、渓流に密放流されるという最悪のパターンに陥った。バス釣りは、確かにオモシロイが、爆釣するからオモシロイのであって、これが釣れなくなったらオモシロイはずがない。生態系を無視した密放流とキャッチ&リリースを続けていれば、社会的な摩擦が増すばかりでなく、いずれ釣れなくなるのも時間の問題ではないだろうか。バス釣りをやりながら思うのは、オモシロさの向こうにバス釣りそのものが「破滅」へと向かっているのではないか・・・という漠然とした不安を感じずにはいられない。
 上の写真は、釣り上げたバスの口から呑み込んだ小魚が出てきた証拠写真。白い小魚たち・・・この大きな魚体と爆発的に増え続けるバスたちを支えているものは、ベイトフィッシュと呼ばれる在来の小魚たちである。小魚たちにとっては、回りが天敵だらけだが、バスには天敵がいない。釣り人でさえ天敵ではないのだから・・・全国に異常繁殖したのは当たり前、と同時に在来種が急激に減少するのも当たり前である。

 これは、キツネとウサギの関係にも似ている。キツネは、捕獲禁止措置がとられて久しいが、ウサギが激減している。いくら生態系の下を支えるウサギと言えども、天敵であるキツネが捕獲禁止になればたまったものではない。特定の種を保護すれば、微妙なバランスを保っていた生態系は崩れ、ウサギも絶滅に向かって転落しているという。土台が崩れれば、キツネも絶滅に向かうだろう。これは私の単なる推測ではなく、山とともに生きてきたマタギから聞いた話である。

 バス釣りの人たちが、生態系のバランスを考え持続的な釣りをしようと思うのなら・・・、バスの密放流を心から憎むのなら・・・釣り上げたバスをリリースせず、釣り人として成仏させる「キャッチ&クッキング」を実践すべきであると思う。私も釣り人の一人として、釣りそのものを否定するつもりはない。バス釣りを何度かやってみて、バサーの人たちこそ、密放流とキャッチ&リリースをワンセットで否定しない限り、バス釣りの将来は危うい、とつくづく思う。
 左の写真は、台風の接近で風の強い日の八郎湖、右の写真は風のない穏やかな八郎湖である。このどちらが釣れるか・・・言うまでもなく、風のない穏やかな時である。風が強く水面が波立つような時は、下手糞なのかほとんど釣れなかった。バス釣りのマニュアルを見ると「風雨によって起こる水況の変化にバスは大変に敏感である」と書いてある。すなわち風の影響のない入り江状に奥まった場所に移動するのだ。また一つ勉強になった。
 ボートに乗って釣りを楽しむバサー。この日は風が強かった。彼らのポイントは、密生したアシ周辺に身を潜めて水況の変化をやり過ごしているバスを狙っているのだろう。  私も密生するアシ周辺を狙ってみたが、なかなか釣れなかった。わずか一匹ゲットしただけで、すぐさま納竿した。風雨の影響が大きい場所は、あっさり諦めた方がよさそうだ。
 風のない日は、いつものように爆釣した。バスのマニュアルによれば、9月は「夏の間低活性だった多くのベイトフィッシュが一斉に動き始め、それに伴いバスの活性も一気に上がり、ルアーへの反応もすこぶるよくなるのだ。この頃を俗に秋の荒食いと呼ぶ」・・・なるほど、私のような稚拙なルアーでも釣れることに納得。
 私の仕掛けは、ワームにガン玉を使ったものだが、バス釣り用語では「スプリットショットリグ」と呼ぶらしい。さらにアクションは「ロッドワークの基本はロッドを立て、ロッドでリグを引いてくる。決してリールを巻かず、ロッドで。リールを巻くのは11時45分まで引いた後、10時に戻す時。ラインスラックをとるためだ」・・・私の釣り方も全く同じだ。今度ぜひ試してみたいのは「ダウンショットリグ」あるいは「常吉リグ」と呼ばれる仕掛け。簡単に言えば、ワームより下にオモリがある仕掛けだ。
 いよいよ釣り上げたばかりの旬のバスを料理。バスを3枚におろし、身と皮の境目に切れ目を入れると生でも簡単に皮を剥ぎ取ることができる。コツは、身の方ではなく皮の方に力を入れて徐々に剥ぎ取ること。 煮付け・・・醤油3、酒2、砂糖2の割合で鍋に入れる。さらに「だしの素」を入れる。煮立ってきたら弱火にし、じっくり煮込む。ただし水分が蒸発して焦げないよう注意。
 煮付け完成品。ちょっと煮過ぎて一部焦げてしまったが、なかなか美味い。酒のツマミにもバッチリだった。空揚げや天ぷらより数段美味い。これまで一度も食べようとしなかった妻も美味しそうな匂いにつられて食べた。そして「美味い、美味い」を連呼した。タッパンに入れて冷蔵すれば、味が落ちずに日持ちも良い。大量に、しかも簡単かつ美味、長期保存・・・いいことづくめだった。我が家の犬ももちろん美味そうに食べた。
 一人で釣っているので、残念ながら手に持った写真はない。けれども生きた状態で地面に横にしただけでも結構絵になる魚だ。デジカメで撮影した画像だが、それなりに美しいと自画自賛している。皆さんも、ただ釣るだけでなく、できるだけ美しく撮影し、そしてできるだけ美味しく食べましょう。釣ってよし、撮影してよし、食べてよし、果ては社会的摩擦を緩和し、生態系にもすこぶるいい・・・理屈はどうあれ、良いことづくめだ。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送