バスフィッシング3・・・
 5月以来八郎湖のバス釣りは、ご無沙汰していたが、新潟県内ノ倉ダム湖のバス一斉駆除に刺激され、9月初旬、八郎湖に出かけてみた。ビギナーズラックの言葉どおり、念願の40cmオーバーが釣れた。それにしても釣り場の状況は、産卵期の春とは、まるで違っていた。バスフィッシングのマニュアルは山ほどあるが、どれを読んでも高価な仕掛けと様々なテクニック・・・頭が痛くなるだけだ。やっぱり、現場と魚に学ぶのが一番・・・

 私の釣り方は、全くの我流だが、誰でも簡単に釣れること、さらには最小費用で最大の楽しみが得られるような釣り方を目指している。実績は2日間延べ5時間ほどで24匹、まさに入れ食いと表現してもいいほど釣れた。ただし格好良さは微塵も無いが、水に濡れることを嫌わない釣り人なら誰でも真似のできる釣り方だと思う。
 9月初旬の八郎湖。春はアシの丈も短く、アシの穴を狙ったチョウチン釣りが大きな効果を発揮した。9月ともなると、上の写真のとおり、アシは大きく伸び、人間が入っていけないほど密生している。こうしたアシ原付近には、オカッパリの姿は皆無だった。土日で快晴にもかかわらず、バサーの姿が極端に少ないのには驚いた。密生するアシが邪魔をしてオカッパリでは攻められなくなっているからだろうか。ボート釣りの人たちは、八郎湖の深場である中央部とアシ原付近に多く見られた。私は、誰もいないアシ原の先端に胴長を履いて進んだ。すぐに腰上まできたが、思ったとおり、バスの魚影は凄かった。
 上の写真は、大潟橋から南北の八郎湖を撮影したもの。ボート釣りはアシから離れた中央部に見えるが、アシ原付近にもかなり見受けられた。夕方ともなれば、アシ原付近でバスのライズも数多く見られた。密生するアシの中を注意深く観察していると、大物のバスが入っていることは間違いなかった。しかし背丈を遥かに越えるアシの中には、竿を入れたくても入れる隙間がなかった。
 ロッドは300円の超特売の安物、リールは渓流用ルアーに使っている1.5号100m程度巻いた小型スピニングリール。ワーム用のバス針に白い短めのワームを刺し、ガン玉を1個付けただけの簡素なもの。リール以外は、釣具屋で売っている最低価格のものだけを選んだ。スプーン、スピナー、ミノーの誘惑もあるが、そんな高いものはアクションも複雑で、あっちこっちに引っ掛ける確率も高い。私も含めてバスの捕獲をメインとするど素人にはお薦めできない。

 密生するアシをかき分け、アシの際まで出ると、水深は腰から胸近くまでくるほど深い。なぜここがポイントなのか。アシが生えている先端部から湖水の中心にかけて、絶好のカケアガリになっている。アシ周辺は、小魚たちの格好の住家であり、それを狙うバスがいないはずはない。さらにこんなおいしいポイントにオカッパリの姿は皆無、時々訪れるボート釣りのバサーたちは、マナーが良いのか全て遠慮してくれる。読みは的中、バスは爆釣状態となった。
 9月1日、午後4時から6時まで2時間ほどの釣果は、34cmを筆頭に13匹。早速用意してきた水槽に捕獲したバスを入れて撮影した。在来種の魚たちにとっては害魚と言われるブラックバスだが、自分で苦労して釣り上げた魚である。できるだけ美しく撮影したいものだ。幸い水の濁りは少なく、それなりに撮影できた。

 釣り方は、ワームをアシ際周辺に遠投し線で釣る方法だが、単なる棒引きでは釣れない。少しはアクションを加える必要がある。投げたワームが底近くに達したら、竿を頭の付近まで大きくあおる。ワームは底から上に上がってくる。あおった分だけリールを巻く。その間、ワームはユラユラ沈む。このジグザクのアクションにバスは、よく反応した。でもこんなに釣れるとは、意外だった。

 釣ったバスは、種もみ用の網袋に入れ、胴長のベルトにくくりつけて歩いた。水深は腰上以上だから、常に水の中に浸っており、どんなに多く捕獲したとしても浮力で重さを感じない。こうすれば、バスを生かしたまま釣りに没頭できる。

 特筆すべきことが一つ。私が立っているすぐ傍のアシ付近でバスが跳ねた。ものは試しとチョウチン釣りのように跳ねた付近に落とし、ワームを斜めにジグザグするとすぐさまバスが掛かった。こんな近くでもバスはヒットしたのだ。これにはちょっと驚いた。
 バスの紋様は一見気色悪いように思うが、なかなか絵になる魚だと思う。ヒットした時は鈍いようなアタリだが、アワセルと竿をグイグイ絞り込んでいく。水面までくると、今度は華麗なジャンプを繰り返す。ここで何度かバラシてしまった。油断をすれば、このジャンプで針が外れるので要注意だ。バス釣りがなぜこれほどまでに釣り人を魅了したのか、何となくわかるような気がする。キャッチ&リリースとは言え、バスもだんだんスレてくる。密放流した数年は、爆発的に増え爆釣状態となるのだろうが、そのピークが過ぎれば当然のことながらバスも減少し、スレて釣れなくなるだろう。となれば、バンバン釣れた時の感激をもう一度とばかりに、新天地に密放流を繰り返す。こんなバサーの姿を想像してしまった。きっと当たっていると思うのだが・・・。もし私が熱狂的なバサーだとしたら、密放流を大歓迎しただろう。さらに水の綺麗な山上湖や渓流にコクチバスが釣れる、などという情報があろうものなら、真っ先に飛んでいって釣っていたように思う。バスを釣りながら、こんなことを考えていると、視点が違えば、考え方も180度違うという、ごく当たり前の事実に気付かされた。バサーの人たちも渓流魚を釣りながら、渓流魚の視点でバス釣りを考えてほしいものだ。何も釣りはバスだけではないのだ。そんなに拘る必要はないと思うのだが・・・。
 八郎湖には、バスの天敵が存在しない。さらに、バスを釣る人たちは、完全なるキャッチ&リリースでは、一方的に増えるのは当たり前だ。せめて人間がキャッチ&クッキングしなければ、バランスなどとれるはずはないだろう。捕獲したバスは、全て3枚におろし、皮を剥いで調理した。これをバスのムニエルにして食べたら、味は二重丸だった。とても全てを食べきれないので、ラップに入れて冷凍にした。
41cmのブラックバス
 9月2日、前日はいい釣果が得られた。しかし、それが偶然か、それとも確実な釣り方であったか、それを確かめるために午後3時から再度チャレンジ。やはり順調に釣れた。ただ、アシから離れた部分に遠投していたためか、サイズに不満があった。午後5時過ぎ、アシの際ギリギリに投げてみた。すると今までとは比べようも無いほど強いアタリが返ってきた。これはデカイと直感した。ラインは渓流用の1.5号と細い。しかも何度か底に引っ掛かけた際に、ラインを強く引っ張ったりしたために、強度は相当劣化している。切られるのではないか、という不安が脳裏をかすめた。強引にラインを巻くのを諦め、ゆっくりと弱らせる作戦に出た。敵もさるものである。バスは密生するアシの中に潜り込もうとした。それをやられたらラインがアシに絡まりバラス可能性が高くなる。慌てて強引にラインを巻くと、竿は満月状態、ラインは糸鳴りするほど素晴らしいファイトだった。やっと水面に寄せると、おとなしくなったが、手でつかんだ時のズシリと重い感触は、誰かにカメラで撮ってほしい気分だった。

 結局、この日は3時間ほどで11匹の釣果だった。2日間で24匹、これを全部生かしたままデポし、家まで新鮮な状態で運んだ。まな板に載せ、全て3枚におろし、皮を剥ぐのは大変な作業だった。食べて成仏させる、これは釣り人としての性かもしれない。とても自分だけでは食べきれないので、職場へ持って行って食べてもらおうと思っている。ただ殺して処分するのは簡単だが、例え嫌いなブラックバスとは言え、余りにも可愛そうだと思うようになった。この心境の変化は何なのだろうか。釣り人として、釣りの対象魚に愛着を持たない人はいないということだろうか。とすれば、ベイトフィッシュと呼ばれる在来の魚たちを、バサーたちこそ釣るべきではないだろうか。そうすれば、バス以外の消え行く魚たちの将来も見えてくるのではないだろうか。
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