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雪シロの良型イワナ、ショウジョウバカマ、ホンナ、ミズバショウ、蛙合戦、山ワサビ醤油漬け、イワナの活け造り・・・
2010年5月8日、明るくなった林道を走っていると、一台の車が帰って行った
川は、昨日の雨に雪シロが加わり、白泡の渦と化していた
「これじゃ釣りにならない」・・・常識的には釣りにならないように見える

左岸から注ぐワサビ沢を覗く
階段状の壷は煮えたぎり、釣りには最悪の状態だった
こういう時こそ疑似餌が得意とする「線」ではなく、エサの「点釣り」が真価を発揮する
▲雪シロに磨かれた美しいイワナ
本日の天気予報は「曇り」・・・山なら雨を覚悟しなければならない
しかし、わずかな小雨に見舞われた程度で「曇りのち晴れ」
お陰で、EOSkissX3で早春のイワナ、山菜、山野草の撮影を楽しむことができた
▲白花が咲き始めた山ワサビ
山ワサビは、雪解けの斜面からいち早く芽を出す
葉は、艶のあるハート型に開き、茎の先端に小さな白花を咲かせる
天然のワサビ畑が一面白い花に埋め尽くされると、イワナと山菜の最盛期を迎える
▲サワアザミ ▲コゴミ ▲山ワサビ
▲雪シロの渓を釣る
急峻な沢は、雪シロ最盛期ともなれば、釣るポイントは極端に少なくなる
イワナは、エサの捕食どころではない・・・雪シロに流されないことを優先し「緩流帯」に避難していた
そのわずかな緩流帯を狙って釣り上がる・・・歩く速度は倍速・・・まさに「足で釣る」世界に一変する
▲雪シロ最盛期のポイントさえ見極めれば、オモシロイほど釣れる
ブナが芽吹く前・・・雪シロ最盛期の頃は、イワナの型がワンランクアップする
まして春一番ともなれば、尺イワナを釣る絶好のチャンスでもある
▲釣れる標準サイズは8寸〜泣き尺
全身が黒くサビついたイワナは、過酷な冬を生き抜いた美しさに溢れている

▽魚影の錯覚
イワナ天国の沢と言えども、夏になるにつれて、釣れるサイズも次第にランクダウンする
良型イワナは、釣り尽くされてしまった・・・と疑ってしまうほど、イワナの影が薄くなる

しかし、翌春になると、雪シロとともにまるでイワナが湧いてきたかのように良型イワナが竿を絞る
その不思議な現実を、毎年、毎年経験していると、
野生の生命力の凄さは、人智を超えているとしか言いようがない

だからイワナの影が薄い・・・という一時的な現象をとらえて、
イワナは激減していると判断するのは、釣り人の浅はかな「錯覚」にすぎない
イワナの魚影調査は、年間を通して、かつ数年通い続けないと判断できないことを肝に銘ずべきだと思う
▲ほぼサビもとれた美しいイワナ

▽イワナの解禁から雪シロ期の釣り
9寸から尺近いイワナともなれば、竿を絞る感覚が一味違う
あえて一気抜きはせず、野生のファイトを楽しみながらゆっくり岸に寄せるのがベスト
上の写真は、上顎の針に注目・・・針の掛かりが浅く、あやうく外れそうになっている

イワナの食いが浅いことが分かる
緩流帯と言えども、その範囲は狭い・・・イワナは捕食ではなく一時的に避難しているに過ぎない
従って、早春のイワナ釣り同様、エサを追わないと考えたほうが良い
こういう時は、本物のエサと「点釣り」で食いを誘う釣法に勝るものはない
▲雪シロを浴びて咲くショウジョウバカマ
一瞬、沢が暗くなり、雨が降り出した・・・その時、目の前にショウジョウバカマが咲いているのを発見
取り急ぎ被写体に近づきシャッターを押した・・・そして慌ててカメラをサブザックに背負う
ほどなく雨は止み、次第に青空も見えるようになった・・・再び「歩く、釣る、撮る」を繰り返す
▲エゾエンゴサク ▲薄紫色のキクザキイチゲ
▲標高が高くなるにつれて早春の風景に一変
▲遅い朝食後、相棒の竿にもイワナが次々と掛かった
相棒は海釣り専門、その合間をみてイワナ釣りをやる程度だった
前半は雪シロの釣りに惑わされ、なかなか釣れない・・・彼の分も釣らないと、と思ったが・・・
やはり釣りキチの感は凄まじい・・・朝食後になると、雪シロのコツをつかんでしまった
後は、釣り上げたイワナをのんびり撮影することに専念する
 
▲標高700m余りの源流部
ブナの森は芽吹かず、残雪と雪シロで階段状の壷は100%沸騰状態が続く
お陰で、昼前に魚止め近くまで猛スピードで釣り上がった
 
▲源流部のイワナ
釣り上げたイワナを岸に寄せ、おとなしくなった瞬間をとらえてシャッターを押す
生きているイワナを撮るには、24倍ズームのデジカメに比べ、標準ズームの一眼レフは難しい
イワナは、カメラを近付けると暴れて動き回り、シャッターチャンスがなかなか定まらないからだ

▽釣りの錯覚

解禁から雪シロ期にわたって、エサの「点釣り」で入れ食いの味を占めると、
これがイワナ釣りの究極の釣りだと錯覚に陥ってしまう
ところが、雪シロが治まり、全山新緑に染まると、イワナは瀬に出て果敢にエサを追うようになる

好天ともなれば、エサの「点釣り」は苦戦を強いられる
釣り人は考える・・・季節が一変すれば、釣り方も一変するのではないかと
つまり、エサも毛バリ、ルアーといった疑似餌の釣法も、「線釣り」が基本になる

釣りは、「頭」ではなく、自然の変化を「体」で感じ、釣法を自在に変えるとオモシロさは倍増する
釣りは、一つの釣法にこだわり続けると、必ずスランプに陥る
「自然の多様性」に対応しようとすれば、釣法も多様にならざるを得ない
つまり、絶対的な釣法など存在しない・・・だから釣りはオ・モ・シ・ロ・イ
▲標高700m付近で釣れた美魚
源流部でも、稀にサビのとれた美しいイワナが釣れる
曇天の光は柔らかく、水の透明度は抜群
こんな時は、PLフィルターを使わなくとも、水面下のイワナを撮ることができる

しかし、生きているイワナを水中に定位させた状態で撮るのは難しい
逃げようとするイワナが落ち着くまで待つ・・・さらに暴れないようそっと近付いて撮影しなければならない
苦労した分、印象に残る一枚を撮影できる
▲山ワサビ畑と白花のアップ
白花が咲くワサビ畑まで下がる・・・湧水周辺は、目の前一面にワサビ畑が広がっている
刺身用の太い根を数本、醤油漬け用は、根を残しナイフで茎を刈り取る
天然ワサビ畑を借景に、食後のコーヒーを飲む・・・家で飲むコーヒーより数倍美味い
▲ミズの若芽 ▲エゾエンゴサク  ▲ホンナ
山ワサビの旬はスタートしたが、ミズは芽を出したばかり
春告げ花のエゾエンゴサク、山菜の中では早出のホンナ・・・
こうした風景を見ていると、山菜の最盛期はもう一週間後だろう
今年の「山釣り」本番は、いつもより遅い5月中旬以降だ・・・楽しみ、楽しみ
▲春の陽光を浴びて白く煌くミズバショウ群落
雪解けの湿地にいち早く咲くミズバショウは、白さが際立ち、清楚な印象を受ける
太平山系では、林道沿いにミズバショウ群落が幾つもある
なぜか、日当たりの悪い雑木林のミズバショウは白が姿を消し、緑の大葉が目立つ
なのに最も日当たりの良いミズバショウ群落が見頃とは・・・ちょっと理解しがたい光景だった 
▲ミズバショウ群落とアズマヒキガエルの交尾
一匹のメスに、オスが3〜4匹も群がり、蛙合戦を繰り広げる
ひたすら自分の遺伝子を残そうと争う野生の世界・・・
少子高齢化社会の危うさを訴えているようにも見える・・・若者よ、ガンバレと祈らざるを得ない
▲コゴミとコシアブラ ▲山ワサビ  ▲旬のイワナ 
▽山ワサビの醤油漬け
山ワサビをよく洗い、食べやすい長さに刻む(写真左)刻んだワサビをザルに入れ、上から熱湯を満遍なく注ぐ(写真中)ストックバックに入れ、万能つゆを注ぐ冷蔵庫で冷やす(写真右)・・・一晩寝かせば出来上がり
▲早春の山の幸を楽しむ
旬の刺身を「家で味わう」ことができるのは、恐らく今年最後
ということで、イワナの活け造りに挑戦・・・
大皿に三枚におろした残りの頭と骨を置き、その上に薄いピンク色に輝く刺身を綺麗に並べる

右下には、摩り下ろした天然の山ワサビ、上に山ワサビの白花を添える
三脚にEOSkissX3を据え、ISO100+ケーブルレリーズで撮影

全て自前で「歩く、釣る、さばく、料理・盛付け、撮る」をしないとできない逸品・・・
完成作品を見て満足、撮って満足、食べて満足・・・心身ともに言うことなし

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