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早春のイワナ、竿と仕掛け、口に掛けるコツ、イワナの刺身、源流の滝、白神サル、早春の山の幸
例年初釣りは、単独行がほとんど・・・一人だとイワナに邪魔され距離が進まない
2010年4月10日、久々に会の仲間2名と源流をめざす
山釣りは、ブナの芽吹きとともに、日本海側から次第に内陸部へと移動するのがセオリーである

山釣りは、あくまで山の変化に合わせて「順応的」に行動するのがコツである
また、いかなる時でも確実にイワナを釣るには、一般的なマニュアルでは役に立たない
「順応的思考」を持つには、下界でのマニュアル人間から完全脱皮する必要がある
▲初物イワナ・・・魚体は黒くサビつき、白い斑点が際立つ
仲間二人は、不思議なほど苦戦していた
思えば、二人とも早春のイワナ釣りの経験が浅い
なぜ苦戦したのだろうか・・・そこで今回のテーマは、「早春のイワナ釣りのコツ」について記してみたい
2010年4月3日、春の訪れを探りに向かった白神の山で久々にサルの群れと出会う
今年の春は天候不順が続き、ブナの芽吹きが1週間ほど遅い
海岸からわずか数百mまで下った雑木林で小さな芽を貪っていた
雪国の遅い春に戸惑っているのは、サルも同じであった
▲早春の渓を釣る
朝から小雨が降り続く最悪のコンディション
40分ほど歩き、小沢を下って深い谷底に降り立つ
裸木の樹幹から寒風が吹き込み、さらに小雨が降り注ぐ中、遅い朝食をとる
鉛色の渓にまだら状の残雪が続く・・・山野草や山菜は皆無に等しく、ひたすらイワナを追うしかない
▲早春のイワナ
小雨と雪解けが加わり、いつもより水量は多い・・・さらに雪代の水は殊の外冷たい
当然のことながら、イワナの食いは鈍く、深い淵の岩陰に隠れてなかなか出てこない
しかも釣れるポイントは極端に少ない
こういう悪コンディションでも、イワナを確実に釣るには経験と技術を要する
▲腹部が極端に赤い赤腹イワナ
早春のイワナ釣りは、仕掛けの長さ、オモリの選定と位置が極めて重要である
瀬釣りの場合は、エサをできるだけ自然に流せるような仕掛けがベストであることは言うまでもない

しかし、深い淵に隠れているような早春の時期は、瀬釣りの仕掛け(標準仕掛け)では×
水温が低く、岩陰に隠れているイワナは、エサを追わないと考えたほうが良い
従って、底石を自在に探り、隠れているイワナの目先にエサを持っていけるような仕掛けが○

早春の竿と仕掛け
竿は、自在に操れるように6.1mの長竿ではなく、5.3m程度の軽い竿で十分(硬調)
エサは、狙ったポイントに垂直に落とす
そして岩陰周辺を「の」の字を描くように正確に探ることが可能な「チョウチン仕掛け」がベスト

オモリは、当日の流速に合わせ、できるだけ底を探れるような3B程度の重めのオモリを選定する
オモリの位置は、エサが踊らないようにエサとオモリの間隔を短くとるのがコツである
こうすれば鈍いアタリもとりやすい
▲根周り穴と早春のイワナ
とにかく早春のイワナのアタリは鈍い
食い付いてもその場に定位し、なかなか走らない・・・岩陰に隠れているのだから当然のこと
竿を緩めると、確実に釣れるがエサを喉の奥まで飲まれる確率が高くなる

つまり、「向こう合わせ」では、名人とは呼べない
イワナへのダメージが大きく、しかも外すのに苦労するからだ
名人と呼ばれる釣り人は、勝負が早く、針が外しやすい口先に掛ける

口先に掛けるコツ
イワナが食いついたら、竿を緩めず、逆に糸を張って挑発する
糸を張ると、イワナは違和感を感じ、エサを離すのではないかと考えるのは間違い
イワナは食いついたエサを決して離さない習性がある

また、糸を緩めることなく張り続ける利点は、イワナの動きが手にとるように分かるからである
イワナは、糸を張って挑発すると、そのエサを逃がすまいと必ず動く
その瞬間をとらえて合わせるのがコツである
午前11時、幸い雨も止んだ
雪代をコッフェルに汲み、熱いコーヒーで暖をとる・・・美味い
初釣りは、半年間鈍った体に、極めてハードだ・・・早くも筋肉痛が襲い掛かる
しかし、ハードであればあるほど、心は軽やかになる
この沢の源流部に分け入るのは十数年ぶり
こんなにザラ瀬が延々と続いていたのかと驚かされた
従って、早春のポイントは極端に少なかった・・・荒釣りしながら、ひたすら上二又をめざす
▲家でイワナの刺身が味わえるのは早春のみ
早春のイワナ釣りの最大の楽しみは、初物イワナの刺身を味わうこと
そのためには、クーラータイプのビクと車には小型クーラーを準備することを忘れてはならない
ただし、イワナ沢の選定から8寸以上のイワナを数本確実に釣る体力&技術が要求される
▲刺身サイズのイワナ
早春のイワナは、黒く痩せた個体も少なくない
いくらサイズが大きくても、頭だけデカク痩せたイワナでは刺身にならない
山の命を有難く、かつ美味しくいただくには、釣り上げたイワナの旬を見極める目も要求される
▲源流部上二又で昼食
十数年ぶりの上二又は、ほぼ記憶どおりであった・・・午後1時半
川原に新聞紙を敷き、オニギリ、漬物、ゆで卵、カップめん、チョコなど持参した食料を置く
お湯を沸かし、熱いカップヌードルを汁にオニギリをほおばる・・・美味い、美味い
▲分厚い雪渓に覆われた源流部
荷を上二又に置き、源流部に懸かる魚止めの滝をめざす
私は、釣り飽きたので、デジカメだけを持って後を追う
記憶では、魚止めの滝が上二又からすぐだと思ったが、意外にも遠かった
人間の記憶とは、やはり時が経つと曖昧で当てにならない
▲やっと右手に目的の滝が見えてきた
▲左岸枝沢に懸かる二段10m滝
枝沢とは言え、水量が多く、滝壺も深い
飛び散る飛沫も凄まじく、幽谷の滝にふさわしい威厳を保っている
二十数年前、この滝と初めて出会った
昭和61年5月下旬・・・この滝に辿り着いた時には、エサがなくなっていた
とりあえず持参した毛バリを結び滝壺に投げ込んだ
すると、数匹のイワナが毛バリめがけて浮いてきた・・・しかも尺をゆうに超えるサイズ

驚きの余り、イワナが食いつく前に合わせ空振りに終わった
疑似餌をイワナに見破られてしまった以上、後は勝負にならない
川虫を採り、再度挑戦・・・尺イワナ2本を釣り上げた時の興奮が鮮明に蘇ってきた
過酷な源流部のイワナが越冬するには、最適の滝壺である
▲早春の味・バッケを摘む ▲迎春花・マンサク
▲2010年4月3日、白神山地のニホンザル(絶滅危惧種1B類)
 ブナの芽吹きは、海岸部から沢の奥へと走る。希少なサルと出会うには、海岸部の芽吹きの時期を狙うほかない。それでも、群れと出会う確率は低い。それだけにラッキーな出来事だった。

 白神山地には、十数頭から数十頭の群れをなして生活している。ブナ林は食べ物が豊富なことから、群れが連続的に分布している。世界の北限に位置する北東北の中でも比較的安定した個体群と言われている。
▲落ち葉から顔を出したカタクリ ▲湧水池に群生していたクレソン
▲早春の山の幸
ツボミ状のバッケ、アサツキ、カタクリ、ワサビ、クレソン
そして山魚・イワナ・・・
ハードな釣行に、体はバラバラ状態だったが、一風呂浴びてイワナ料理にとりかかる

クーラーから取り出したイワナは、色も変色することなく旬そのもの
腹を割き、内臓と血合いをきれいに取り去る
8寸以上3尾を刺身に、7.5寸程度のイワナは塩焼きにする

四角い皿に、イワナの刺身をきれいに並べる
淡いピンク色の刺身にニンニク醤油をつけてほおばる
野生イワナ独特のコリコリした食感は、熱燗に最高である・・・釣り人冥利に尽きる

一日中谷を彷徨い、下界の毒素をすっかり発散する
さらに山の幸で「生きる力」を授かる
命が芽吹く雪国の春は、変化が激しく、四季の中で最も「生きる力」が蘇る季節でもある

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