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大木に群生した晩秋ナメコその1〜その6、ナメコ狩りのコツ、夢のような週末・・・
▲晩秋・・・ナメコの大群生に感動の連続

11月上旬の晩秋・・・週末は好天との予報にたまらず、小玉さんに電話する
「海に行こうか、山に行こうか迷っていた所だ・・・ナメコならOKだぁ〜」
朝5時半、秋田市を出発・・・濃霧に包まれ見通しの効かない谷沿いの道を走る

車止めに着くと、不思議なことに誰もいない
ブナ林の太い倒木には、ナメコの山また山の連続・・・今年最大のピークを迎えていた
ヌメリのあるキノコの代表・ナメコは、ブナ帯に生きる人々に最も愛されている
かつては、ブナ林など広葉樹の伐根に多数発生し、楽に採取できた時代もあった
しかし、今では奥山の険しい谷を上ったり下ったりしなければ、天然ナメコの群生に出会うのは難しくなった

それでも奥山のブナ林では、マイタケやトンビマイタケと違って、発生量が多く、必ず採取できる
けれども、旬の大群生に何度も遭遇する大当たりは滅多にない
それだけに、ブナの巨大な風倒木に大発生した旬のナメコを発見すれば・・・

「ナメコだぁ〜、当たったぁ〜」と、まるで子どもにかえったように大騒ぎとなる
雪国の山と渓谷は、天真爛漫な子ども時代にタイムスリップさせるパワーをもっている
春は山野草、山菜、イワナ・・・夏は源流のイワナを追う沢旅、高山植物・・・秋はキノコと木の実
雪国秋田のオリジナリティは何か・・・ブナの森に生かされた「ブナ帯文化」だと答えたい

▲晩秋のブナ林・・・すっかり落葉したブナ林は見通しが効き、キノコ探しには最適のシーズン 

斜面から名水が湧き出す地点で朝食をとっていると、単独のナメコ採りの人と出会う
「この奥は、人が滅多に入らねぇ・・・あんたがた、どごさ入る」と聞いてきた
「この奥の小沢を上って、左岸の高台を一周しながらナメコを探そうと思ってる」

「ああ〜、こっち側だね・・・それじゃ、俺はこの道の終点で沢へ降りる地点があるだろ・・・
そごから少し上って小沢へ入る」という
本日出会ったのは、後にも先にもこの人一人だけであった
▲苔むす倒木に生えていたナメコの成菌・・・これはほんの序章に過ぎなかった 
今年のキノコ狩りの特徴は、徹底して同じ沢に通い続けたこと
今回は連続4回目・・・お陰でナメコが生える倒木の位置が分かってきた
二週間前、豆粒だった急斜面の倒木に向かうと・・・開いた傘は黒く変色し腐っていた

ナメコは、豆粒から旬の成菌になるまで1週間から10日ほどか?
その周辺の倒木を探すと、早くも旬のナメコを発見
前回は、倒木の横や下に生える場合が多かった
今回は、大木の上に生えているケースが多く発見しやすい
下から傘裏を見ると、クリーム色で美しく旬のナメコだ 
▲ナメコの群生その1:前回大当たりしたブナの大木・・・肉厚のナメコが群がって生えていた
対岸に突き刺さるように倒れたブナの大木を遠望すると、ナメコらしきものが目に留まった
前回は、この大木の横と下に群生していたが、今度は、上側に群生していた
ナメコは、同じ倒木に場所を変えて生えることが分かる
従って、ナメコが生える倒木のデータを頭にインプットしておくことがナメコ狩りの最大のコツと言える
極上のナメコの群れを夢中で撮る、採る
上側の倒木には、ムキタケ・・・
この時点で、まさか背負い切れないほどナメコが大爆発しているとは予想だにしていなかった
▲林床に落ちていたヤマブドウ ▲前回大当たりしたナメコ ▲左と同じ木の下部に生えていたナメコの成菌 
▲ナメコの幼菌・・・ナメコのシーズンはまだまだ続くことが分かる  ▲傘が開いたナメコの成菌  ▲前回は生えていなかった倒木にも、ナメコは群がって生えていた 
▲ナメコの群生その2:倒木の両サイドに群がって生えていたナメコの成菌

普段は鬱蒼とした渓畦林に包まれ、薄暗い小沢だが、
葉を落とした晩秋ともなれば、光が小沢の斜面に射し込む
その瞬間を待っていたかのように、ナメコたちが折り重なるように生えてくる 
▲楽しい、楽しいナメコ狩りがエンドレスに続く
傘が開いた成菌でも、腐ったナメコは極めて少ない
これほど旬のナメコが連続するのも珍しい

晩秋を飾る木の花・・・ナメコの群生美は眺めるだけでも感動に値する
眠っていた採集の遺伝子はフル回転・・・時が経つのも忘れて採る、採る 
 
 
▲若いブナの大木とナメコ
倒れてから二、三年ほどの若いブナの大木
前回は何も生えていなかった・・・もう一年経てばナメコが生えるだろうと思っていたが・・・
何と、肉厚のナメコが生えているではないか

まだまばらにしか生えていないが、来年は大爆発するだろう
倒木が太ければ太いほど、ナメコは肉厚で群生の規模も比例して大きいように思う
     
▲丸裸になったブナ林をゆく  ▲斜面に横たわる細い倒木にもナメコが生える・・・遅々として前に進めない 
▲ナメコの群生その3-1:ブナの大木が折り重なるように倒れていた場所で、ナメコの大群生に遭遇
小沢を上り、右岸の高台めざして急斜面を上ると、ブナの大木が林立する窪地に辿り着く
前回は、幼菌がわずかしか生えていなかったが、今回は大爆発
ちょうど食べ頃のナメコが群がって生えていた
▲ナメコの群生その3-2:同じブナの倒木上部には、横と真下に幼菌がビッシリ生えていた
旬の幼菌と成菌の群れ・・・
左の倒木を眺めると、木肌が見えないほど成菌に覆われているではないか
まずは重いザックをおろし、夢中でナメコの美を撮影する 
▲ナメコの群生その3-3:ナメコ成菌の大群生
左の倒木に近づいて第一声
「うわぁ〜ナメコだぁ〜こりゃ〜凄い、凄い・・・」
この周囲一帯がナメコの山・・・この感激は滅多にないだけに何度も「凄い!」を連発
これだから、ナメコ狩りは病み付きになる
ヌメリたっぷりの美しい傘が、大きく成長してもお互いにぶつかる事もなく、見事に開くものだと関心させられる
傘が開いた成菌では、これ以上ない旬・・・まさにベストタイミングであった
傘の上に大量の落ち葉、鮮やかな赤褐色の群れは、一面ヌメリ輝き、一際美しい
まるで倒木全体がナメコの群れで黄葉しているようにも見える
 
▲倒木の下にもびっしり生えたナメコの幼菌・・・笑いが止まらない
倒木の脇にどっかり座ってナメコを丁寧に採る・・・まるで原木栽培のナメコを採るように
ナメコは幼菌と成菌を分けて別々の袋に入れる
サイズによって料理法が異なるだけでなく、缶詰にする際もサイズ別に分けて保存するからだ

二人で採っても、採っても、なかなか終わらない
採り終わって時計を見る・・・まだ11時頃かと思ったら、何と12時半だった
ナメコの群生に出くわすと、時間はあっという間に過ぎ去ってしまう
    
採取を終えてナメコで重くなったザックを背負う
小玉さんは、私より遥かに採っている
「重で〜、重で〜、これ以上採れば歩がれねぇ」と、珍しく弱音を吐く

標高650m付近の高台まで行く予定であったが、想定外の大当たりに断念
斜面を下って小沢のブナの根元で昼食とする
清冽な湧水を汲み、お湯を沸かしてミニカップ麺を汁代わりにしてオニギリをほおばる

デザートにトマトと柿、チョコを食べ、裸と化した森を眺めながら熱いコーヒーを飲む
すぐ脇の倒木に生えていたムキタケを眺める
もはやムキタケの入る余地はなかった・・・ナメコの大当たりに精神的にも満腹状態となる   
戻る方向に向かって斜面をトラバースする
ムキタケも大量に発生していたが全てパス
本流に向かって下る高台始点付近はブナ林に覆われている

傘裏が真っ白な極上のムキタケが群生していた
これで終わりと思い、一袋採取する
まさかこの後ナメコの大当たりが連発するとは想定外だった
▲落ち葉の埋もれ木に腐りかけたナメコの群れが・・・ ▲可愛らしい幼菌
▲ナメコの群生その4
腐りかけたナメコのすぐ隣・・・
ブナの大木の陰に回ると、またしてもその下側にナメコがびっしり
倒木の大きさに比例して、ナメコの群生も巨大だ・・・そのスケールの大きさに驚かされる

もはや背負う余裕はなくなっていたが、この極上のナメコを見てしまった以上、見過ごすわけにもいかない
これは欲というよりも、採集の遺伝子の性としか言いようがない

巨大なナメコの群れを眺め、荷の重さを考える
こりゃ採取したムキタケを捨てるしかないと思ったが、そんな無礼なことをすれば山の神様に怒られる
とりあえずザックをおろし、ナメコ採り開始・・・
どんなに採取してもナメコ採りは、不思議と飽きることがない・・・極楽、極楽
▲地面スレスレの真下に群生したナメコの巨大群生
これ全てがベストタイミングの成菌ナメコ
真下のナメコは、株ごとナイフで切り落とし、素手で傘を壊さないように拾う

あっという間に袋一杯になった・・・ところが私のザックにはもはや入る余地がなかった
やむなく雨具を小玉さんに背負ってもらい、ナメコの袋を無理やり押し込み背負う
これで200%満足だったのだが、こんな時に限って大当たりが続く
 ▲傘の色が極めて濃いナメコの幼菌
 ▲腐っていたナメコ
ブナの大木が林立する急斜面の尾根を下る
急な斜面にはブナの大木が横たわっている場合が多く、それだけナメコの群生に当たる確率も高い
昨年、ナメコが生えていた倒木に辿り着く
今年倒れたブナが上に被さるように倒れこんでいた
倒木の上側に生えたナメコの群生は、ほとんど腐っていたが・・・
▲ナメコの群生その5-1
下側に回って驚く・・・旬の幼菌と成菌があっちにも、こっちにも群生しているではないか
またまた大当たり・・・
想定外の大当たりが連発すると、キツネに騙されているような不思議な感覚に襲われる
▲ナメコの群生その5-2
今週は、連日雨が続き、成菌は腐りやすい天候だった
ところが、上のナメコが生えている木の上に被さるように枯葉付きのブナが倒れ込んでいる
これが雨風を防ぎ、ベストタイミングのナメコを守ってくれたのだろう
▲ナメコの群生その5-3 ▲ナメコの群生その5-4
群生5-3〜5-4は、やや品質が劣化ぎみの物も混ざっていた
食べるには十分・・・いつもなら全て採取するのだが、ナメコの重さで歩けなくなるのは明白
全て採取をパスするしかなかった(まことにモッタイナイ!)
壮観なナメコの大群生を眺めながら、秋田の森のパワーは、人智を超えていると思った
▲傘裏が白っぽい極上のナメコ ▲肉厚のナメコの幼菌
▲ナメコの群生その6
本流に辿り着く直前・・・10月中旬にナメコが生えていた木を覗く
やはり、傘が開いたナメコが折り重なるように生えていた
もはや背負う気力もなかったが、良品のみ間引くように採取して、今年のナメコ狩りに終止符をうった。

終わってみれば、過去に採取した倒木全てにナメコが生えていた
つまりナメコは、同じ木に場所を変えながら約1ヶ月にわたって生えることが分かる
タイミングさえ合えば、大当たり連発も夢ではないだろう
   
ザックに採取したナメコをギュウギュウ詰にして背負う
時計をみると、早くも午後3時半
肩に食い込むほどのナメコを背負い、牛馬のごとく車止めをめざしてひたすら歩く

晩秋の夜は早い・・・午後4時を過ぎると、薄暗くなってきた
午後4時半、足元が見えなくなるほど暗くなる
万が一を考え、ザックにヘッドランプを忍ばせていたことに気付く

帽子の上にヘッドランプを取り付け歩く
すっかり暗くなった午後5時過ぎ、やっと車止めに辿り着く
ナメコの山また山に狂わされ、こんなに遅くなるとは想定外だった

晩秋のナメコの美に酔いしれ、充実感が漲る一日であった
しかし、採り過ぎると後始末が大変だ
翌日、ナメコをサイズ別に選別し、水洗いした後、缶詰用、冷凍用に保存処理する
その作業に丸一日かかってしまった・・・まるで夢のような週末を過ごす
山の神様に感謝!ブナとナメコに感謝!仲間に感謝!・・・
   
     
 
     
 
ブナ林の黄葉&晩秋のキノコ狩りのすすめ

山釣り愛好家ならブナの森を流れる谷を数多く知っているはず
イワナは「足で釣れ」と言われるが、ブナ林のキノコ狩りも同じ・・・「足で採れ」
ならば、オフシーズンに突入したら、キノコ狩りスタイルで通い慣れた谷を歩いてみてほしい
天然キノコの群生に遭遇すれば、イワナを釣るより感激することは間違いない

ただし、キノコ初心者の場合は、図鑑だけで判別するのは危険!
必ずキノコ採りのベテランと同行し、現場で指導を受けること
それが、安全かつ上達の早道である

日帰り装備

スパイク付地下足袋・・・急斜面の上り下りには最適
靴下・・・先割れタイプで、乾きが早く保温性の高いものがベスト
スパッツ、沢登り用タイツ、速乾性の長袖シャツ、ベスト、雨具上下
 沢登り用タイツの上に雨具下を履き、スパッツで足首を保護すれば完璧

サブザック、ザックカバー、カラビナ、コップ、コッフェル、バーナー、ガスボンベ、タオル、帽子又はヘルメット
 軍手、万が一に備えヘッドランプ、ガムテープを巻いたライター、(タバコ&灰皿)
キノコ採取用具・・・コダシ(キノコ用カゴ)、買物袋(ビニール袋)、ナイフ・小型ハサミ、柄の長い鎌
 磁石、地図、測量用目印テープ(迷いやすい箇所に付ける)

主食用・・・おにぎり等二食分(朝、昼)、漬物類、インスタント味噌汁、ミニカップ麺、(割箸)
副食・予備食・・・パン、スティックコーヒー、飴・チョコなど
クマ対策・・・笛、クマ避け鈴、クマ撃退スプレー、爆竹
記録用・・・デジカメ、予備電池、小型三脚、防水袋
車に着替え一式

(注)マイタケ採りのプロは、「背負いカゴ」を使っているが、雑キノコ採りには不向きだと思う
  キノコ採りのプロは、不要な物を一切もたない
  しかし、黄葉を愛でながらキノコ採りを存分に楽しむためには、少々贅沢な装備にならざるを得ない

  ブナや谷の風景、キノコの美を記録したり、
  疲れたら小沢の清冽な水を汲み、お湯を沸かしてのんびり食事や食後のコーヒーを楽しむ余裕をもちたい
  苦しむために山を歩くのではなく、大人の遠足のような楽しいキノコ狩りを心掛けたい

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