錦繍の谷のキノコ狩り2009その1 錦繍の谷のキノコ狩り2009その2 山釣り紀行TOP

2009年10月下旬、峰から谷に向かって走る黄葉はピークを迎えていた
雲ひとつない澄み切った青空・・・錦繍に衣替えした絶景が目の前一面に広がる
黄色、紅色、赤茶色、緑、褐色・・・ブナ林の黄葉は、樹種が豊富なだけに色彩も多様性に富んでいる

一見、無秩序で雑然とした色彩のようにも見える
ひとたび山全体を遠望すれば、魔法の筆で描いたかのように美しく調和している
その美の極致を鑑賞しながら、ナメコとムキタケを採れば、誰だって病みつきになるだろう
▲ナメコの幼菌を採る ▲立ち枯れ木に生えたムキタケ
黄葉の季節・・・風倒木、立ち枯れ木に折り重なるように生えたキノコの美は、感動に値する
しかも、その造形美は一つとして同じものがなく、被写体としての魅力は無限大である
▲極上ナメコの群生
秋の恵みは、マイタケに始まり、シイタケ、ヤマブシタケ、マスタケ、サワモダシ、ブナハリタケ・・・と切れることなく生えてくる
やがて谷沿いが錦繍に染まると、毒キノコの筆頭・ツキヨタケが姿を消し、ナメコとムキタケが一斉に顔を出す

キノコの王様・マイタケシーズンは、キノコよりも人が圧倒的に多いと思うほどキノコ狩りの人たちで賑わう
ところが、冷え込みが厳しい黄葉の季節ともなれば、奥山で人と出会うことは滅多にない
一年を締めくくる最後の恵み・・・黄葉を愛でながらキノコを採るほど楽しいものはないと思うのだが・・・

▲落ち葉舞い散る錦秋の谷
降り積もった落ち葉を踏みしめながら谷沿いに続く杣道を歩く
朝の冷え込みは、想像以上に厳しく手がかじかむほどだ
木々の黄葉が極致に達した谷は、新緑の季節に勝るとも劣らないほど美わしい
上を見上げれば、雲ひとつない快晴
秋の陽射しを浴びて黄葉は燃えているように輝く

斜面に突き刺さったブナの倒木にナメコの幼菌を見つける
早速、荷を下ろして採取・・・ここからほどなく、中空の倒木にムキタケ発見
手が届く範囲のみ採取した後、その50mほど先の倒木を遠望すると、ムキタケらしき群生が目に止まった
急いで荷を担ぎ、その倒木に向かう
▲倒木の真下から横にかけてビッシリ生えたムキタケの大群生
数あるキノコの中でも群生の規模が大きく、収穫量の多いキノコの代表
写真を撮った後、根元をナイフで切り取り採取・・・採っても採ってもなかなか終わらない
重くなったキノコ袋をカラビナでザックの横に下げて歩く
▲ナメコの群生・その1
テン場近くに来ると、今度はナメコの群生・・・早くもムキタケに続きナメコも大当たり
傘全体がヌメリ輝き、群れをなして連なるナメコの群生・・・まるでブナ林の宝石が連なっているように美しい
▲ナメコの幼菌 ▲傘が開いた成菌 ▲採る楽しみは採集の遺伝子?
最初はナイフで一個、一個採っていたのだが・・・
時間はかかるし、下に落とすとゴミが付着し後始末が大変だ
ザックから直径30cmのザルを取り出し、そのザルを下にして、ナメコを株ごと切り落として採取する

この方式だと、地面に落とす心配もなく短時間に採取できる
あっと言う間にザル一杯に採れた・・・もはや2泊3日でも食べ切れないほど採取してしまった
▲テン場全景 ▲ヤマブドウ
3日間晴れマークだったが、秋の天気は変わりやすい
雨対策としてブルーシートを張り、対岸の倒木で3日分の薪を集める
ブナの巨木にヤマブドウのツルが巻き付いていた

黄葉の季節ともなれば、熟れて落下する・・・柄の長い鎌を使うことなくただ拾うだけで採取できる
酸味は強いが、香り、甘みともにほどよく木の実の代表格である
昼食をとった後、再びキノコを求めて上流へ向かう
▲立ち枯れ木に生えたナメコの成菌 ▲ブナハリタケの群生
▲可愛らしいナメコの幼菌 ▲傘が開いたナメコを採る
▲黄葉したブナ林はキノコの宝庫 ▲ブナの倒木に生えたナメコ
▲ブナの老木一帯の根元を見回すと、360度腐ったトンビマイタケが大量にあった
この一帯は、トンビマイタケの宝庫でもあるようだ
トンビマイタケは、巨大な株をつくり、その群生する様は、マイタケに劣らず感動する
来年の夏は、旬のトンビマイタケを写真に撮ってみたいと思う
こうして何度も山に足を運ぶと、キノコのフィールドは無限に広がる
▲落ち葉が舞い散る森でブナ林の宝石を採る・・・極楽、極楽
▲今度はムキタケ、ムキタケ・・・
▲極上ナメコの群生・その2
ナメコの群生は、大きなブナほど群生の規模が大きく美しい
ナメコは、湿り気が多く、やや細い枝木に多く発生している場合が多いが、
こうした大木に群がって生えているナメコに遭遇すると、思わず「大当たりだ」と叫びたくなる
乾いた斜面に生えているせいか、傘はやや乾いた感じの褐色系
全て虫食いはゼロ・・・極上のナメコの群れに小躍りしながら撮る、採る

今回、一緒に来る予定だった長谷川副会長は急きょ風邪を患い来れなくなった
たった二人だけのキノコ狩りになってしまったが、こんな時に限って大当たりが連発する
さぞかし残念だったに違いない・・・と二人で話しながら極上ナメコを採取する
▲本日の成果品・・・ナメコの幼菌は煮付けに、傘の開いた成菌はキノコ鍋に使う
▲採取したムキタケ・・・キノコ鍋の具に使う ▲キノコ鍋にうどんを入れて煮込み腹を満たす・・・これまた絶品
▲錦繍に染まった自然庭園を借景に酒を酌み交わす
紅葉の名所と言えば、京都・・・お寺中が赤と黄の乱舞で、その色彩も艶やか
夜、ライトアップされた庭園の紅葉もまた格別・・・ただし観光客で人だらけ

一転、雪国のブナ帯は、ひとたび奥山に入れば、無人境に等しい
原始の黄葉と苔生す岩の間を彷徨う清冽な流れ・・・夕陽に煌めく渓畔林と瀬に舞う色彩は乱舞繚乱
焚き火を囲み、天然のキノコ料理に舌鼓を打ちながら・・・原始庭園に勝るものなし・・・としみじみ思う
この世に極楽浄土があるとすれば、こういう世界を言うのだろう・・・(つづく)

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