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初物岩魚、キセキレイ、ギョウジャニンニク、フクジュソウ、バッケ、カタクリ、バッコヤナギ、山釣り定食・・・
2008年4月上旬、雪解けの早い海岸沿いの雑木林には、
早くもカタクリやキクザキイチゲが咲き始め、早春の山菜・ギョウジャニンニクも芽を出し始めた
これは、岩魚の初釣りを告げるシグナルだ
▲ギョウジャニンニクの若芽
渓流の解禁日・・・岩魚、ヤマメを狙う太公望たちが、雪深い渓流にどっと繰り出す
かつては、毎年恒例の儀式のごとく出掛けたものだった
岩魚釣りは、沢の先頭を歩かない限り、釣果は望めない

ある日、雪上を1時間も歩いた頃、スノーモービルに追い越されてしまった
以来、先を競うように釣る解禁日が馬鹿らしくなってしまった
さらに早春の草花や山菜に興味を抱くようになると、岩魚釣りだけでは満足しなくなる
▲キセキレイ
雪解け水が流れる林道・・・「チチチッ」と囀りながら、長い尾を振り歩く
特徴は、腹部の黄色・・まるで居付きの岩魚のように鮮やかだ
この鳥は、渓流に好んで棲み、水辺の昆虫やクモを捕食する
鳥の撮影は苦手だが、近付いても逃げなかっただけに、実にラッキーな一枚
▲春の訪れを実感させてくれるフクジュソウ(2008年3月中旬)
寒風吹きすさぶ雑木林・・・その分厚い落葉を破って一斉に咲く姿は一際華やかに見える
しかも体が小さい割りに花はデカク、黄金色に染める色は早春の温もりを感じさせてくれる

アイヌ民族は、この花を美しい女神・クナウの化身だとする伝説から
クナウ・ノンノ(母の花)と呼んでいるという
この花が咲き始めると、渓流解禁日が近い
草花のマクロ撮影を楽しむには、この花が入門コースとして最適のように思う
雑木林の中で一際目立ち、群落を発見し易い
撮影に邪魔な雑草が全くなく、姿、形が美しい
だから、春を撮るには、フクジュソウの撮影からスタートするのが恒例になってしまった
▲小川の土手に、一斉に芽を出したバッケ(フキノトウ)
フクジュソウやバッケの撮影までは、竿を持たず、ただただ春を撮るのみ
春の訪れを喜ぶには、まだまだ満たされない日々が続く・・・
▲左:カタクリとキクザキイチゲ 右:スミレサイシン
4月上旬、カタクリやイチゲ、スミレサイシン、ミヤマキケマンなどの草花が
下流部の雑木林に咲き始めると、待望の岩魚釣りがスタート
沢の中流部に降り立つと、白い残雪が目立つ
光を遮るものはなく、狭い谷間に春の陽光が降り注ぐ
沢は、冷たい雪代水で沸き返っている
この頃の岩魚は、いまだ大場所の岩陰に隠れ、じっと盛春を待っている
▲真っ黒にサビついた早春の岩魚(側線の下に着色斑点をもつニッコウイワナ)
早春の岩魚釣りは、「線」ではなく「点」で釣る
仕掛けは、極端に短く、オモリは3B程度の重いものを使う
大場所の岩陰を狙って、エサを垂直に落とし、「の」の字を描くように丁寧に底を探る
エサが岩魚の目の前にくると・・・「ツンツン」という早春岩魚独特のアタリが返ってくる
食いの鈍い岩魚は、竿を上下にあおり挑発する
岩魚は、エサを逃すまいと一気に食らいつく

そこをすかさず合わせると、黒くサビついた岩魚が水面を割って飛び出す
「ヤッター」と、心の中で叫びながら、ゆっくり取り込む
岸に寄せた岩魚にデジカメを向け、初釣りの感激を撮る
初物の岩魚を手にすれば、岩魚釣りの勘が蘇り、ポイント毎に岩魚がヒットするようになる
底石が見えるほど透明な流れに、全身黒っぽくサビついた岩魚を泳がせ、何度もシャッターを切る
野生の岩魚は、釣り人を狂わすほど美しい
早春は、日帰り釣りで帰宅後、岩魚の刺身を賞味できる唯一の季節
できるだけ旬を保つために、釣りは早めに切り上げ、ビグに雪などを入れて車へ戻る
車に着いたら、氷を入れたクーラーに保管する
帰路、草花の撮影や山菜を採りながら第二のフィールドで遊ぶ
深い谷底から崩壊した林道まで上り、車止めに向かって下る
ブナの枝木には、早くも冬芽が次第に膨らみ、花芽が鈴なりになっていた
この花芽は、飢えに耐えたサルや冬眠から覚めたクマたちの春一番のご馳走になる
下る途中に、土から顔を出したばかりのツボミ状のバッケを選んで摘む(右の写真)
私の好きな料理は、バッケ味噌・・・独特の苦味と春の香りは酒の肴にもバッチリ

「よく水洗いをしてから熱湯で色よくさっとゆでる。
冷水で素早く熱をとり、ザルに上げる。
キッチンペーパーでよく水分をとり、なるべく細かくきざむ。
フライパンに油を熱し、味噌、砂糖を入れて練る。
それにきざんだふきのとうを入れて、ざっとまぜる。」(あきた郷味風土記)
▲渓流に春を告げるバッコヤナギ
渓流沿いの湿った場所に生えるのがネコヤナギ
林道沿いを歩いていると、日当たりが良く乾燥した場所に生えているのがバッコヤナギ
白い綿毛のように銀白色に包まれた花(左の写真)は、やがて黄色の花(右の写真)へと変身する
早春の陽光が降り注ぐ雑木林を覗くと・・・
白のキクザキイチゲや紅紫色のカタクリが早春の雑木林を春色に染める
春のはかない草花たちのドラマは、新緑の葉が開くまで続く
▲左:ギョウジャニンニク(アイヌネギ) 右:カタクリ
車で林道を下ると、日当たりの良い緩斜面にカタクリの群落がある
車を林道脇に止め、カタクリの群落斜面を上った高台で早春の山菜を摘む

ギョウジャニンニクは、深山ではなく、林道沿いの意外に楽な場所に生える
その割りに味は一級品であることから人気が高い
根ごと引き抜く人が多いせいか、秋田では絶滅危惧種に指定されるほど少なくなっている
持続的な恵みを望むなら、根元から引き抜くのは慎むべきだ
小型のハサミなどで間引くように根元から切り取る
ギョウジャニンニクは、草全体に強いニンニク臭があり、容易に判別できる
食卓に彩を添えるために、カタクリも少々摘む
▲今回採取した春山の幸・・・岩魚、バッケ、カタクリ、ギョウジャニンニク
家路に着くと、採取した旬の食材であれこれ料理を楽しむ

今回初めて挑戦したのは、以下の二種
▽ギョウジャニンニクと豚バラの油炒め・・・フライパンにごま油を少々入れ
豚バラを炒める。適当な長さに切った生のギョウジャニンニクを入れ混ぜるように炒める。
最後は万能つゆ(味道楽)を入れて味を整える。これは絶品!
ギョウジャニンニクは、豚バラと炒め物にすこぶる相性がいい

▽ギョウジャニンニクの醤油漬け
さっと茹でてから、よく水分を絞り取り、適当な長さに切りそろえる
タッパーに入れ、具が隠れるくらいまで万能つゆ(味道楽)を入れる
保存するには、醤油漬けが簡単かつ美味
▲早春の山釣り定食
▽岩魚料理・・・刺身、塩焼き、骨酒
▽ギョウジャニンニク料理・・・生食(茎の部分)、おひたし、醤油漬け、豚バラの油炒め
▽その他・・・カタクリのおひたし、バッケ味噌

山釣り定食は、山で味わうのが定番だが、家で味わっても最高に美味い!
日常の生活は、全ての食材をお金で買っているが、たまには、非日常の世界で食材を調達し、
採取から料理まで、全て自前でやってみると、食べる喜びが何倍にも膨らむ
質素な山の幸を肴に一杯呑みながら・・・いつも山から「生きる力」をもらっていることに感謝!

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