白神源流の滝NO.1 白神源流の滝NO.2 白神源流の滝NO.3 山釣り紀行TOP


白滝、アイコガの滝、天空滝、滝川源流最大の滝、西の沢の滝、黒滝、マス止めの滝、赤石川ヨドメの滝、泊り沢の滝

最近、フィルムスキャンに対応したカラースキャナ「EPSON GT-F720」を購入
押入に埋もれていた古いネガ、ポジフィルムをスキャンし、再度、想い出の写真をデジタル化している
白神山地が無名の時代・・・狂ったように通い続けた白神源流の想い出が鮮明に蘇ってきた

新旧の写真を整理し、「白神山地源流の滝」シリーズとしてまとめてみた
Part1は、世界自然遺産の核心部を流れる追良瀬川、赤石川、滝川源流に懸かる滝である

追良瀬川源流・白滝100m
▲秘境の滝・白滝100m
白滝は、白神山地の核心部を流れる追良瀬川の最源流に懸かる滝で
白い神々が棲む白神山地を代表する名瀑である
滝下から上を見上げても、滝の全貌は見えない・・・対岸の斜面を上ると滝の全体が見える

目の前一面が真っ白なナメ滝シャワーとなって滑り落ちる様は、まさに「白滝」
日暮らし眺めていても飽きないことから、別名「日暮らしの滝」とも呼ばれている
▲追良瀬川源流・標高530m上二股下流
追良瀬川は、標高490m二股より、ツツミ沢とサカサ沢に分かれる
右のツツミ沢を約1.7kmほど遡行すれば、白滝沢と黒滝沢が合流する上二股に達する
上の写真の正面に見える山が白滝沢(向かって左の沢)と黒滝沢(同右の沢)の分水嶺である

左の白滝沢に入ると、すぐにザーザーと滑り落ちる滝の音と白滝のシャワーが見える
白滝は、上二股から約200mほどと近い
白滝沢と黒滝沢が合流する二股左岸には、ブナ林に囲まれた素敵なテン場がある
▲白滝の見頃は新緑の季節
6月上旬・・・残雪と新緑が輝く季節は、雪解け水を集めて滑り落ちる滝の迫力は圧巻
夏の渇水時は、滝までのアプローチが楽だが、肝心の水量が少なく、オススメできない
▲6月上旬頃の白滝沢は、分厚い雪崩で滝壺周辺は埋め尽くされている
雪渓を這い上がり、滝の対岸を上れば、白滝の絶景ポイントに楽に達することができる
まばゆいばかりの残雪と新緑に映える白滝の美しさは、
世界自然遺産・白神山地の核心部に懸かる滝の中でもナンバーワンである
▲白滝を登り中段から滝頭、滝下を望む
平成2年6月、会長が白滝を直登し、滝上を探索したことを想い出す
▲白滝をバックに記念撮影
白滝は連続する二段からなり、末広がりに巨大な瀑布となって滑り落ちている
屏風のように立ちはだかる谷底は、分厚い雪渓が分水嶺まで連なり、
岩壁の上部は、まばゆいばかりの新緑に染まっている
深山幽谷の名瀑・白滝・・・これを見ずして白神を語ることはできないように思う
▲津梅川上流小又沢カンカケ湧水流 ▲津梅川・小又沢・カンカケ沢をゆく
アプローチ:「マス道」を辿って、追良瀬川源流・黒滝、白滝、マス止めの滝へ
▲津梅川小又沢〜追良瀬川源流MAP

白神山地入山指定ルート番号6、5
コース・・・津梅川小又沢〜カンカケ沢〜カンカケ湧水流(標高400m)〜標高830mコル〜小沢下降〜黒滝沢〜
黒滝二段30m〜白滝100mナメ滝〜ツツミ沢〜サカサ沢合流点(標高490m)・追良瀬川〜マス止めの滝

かつて追良瀬川には大量のサクラマスが遡上した
その群れは、マス止めの淵が終点で、そのサクラマスを捕るために歩いた踏道が「マス道」である
白神のブナ帯文化を辿るコースは、増水の危険が伴う下流からのルートではなく、
こうした沢から沢を辿って、一気に源流部に至るルートが主流である
ただし、現在、歩く人はほとんどなく、微かな踏跡は藪と化しているので注意

小又沢で必見の場所は、カンカケ沢の水がなくなる直前のカンカケ湧水流
標高830mコルに向かう分岐点(標高400m付近)のガレ場末端から湧き出している
上の写真のとおり、苔生す沢の流れのように見えるほど、その湧水量はずば抜けて多い
ここで清冽な湧水にカメラを向け、乾いた喉を潤してから、追良瀬川への峰越えに向かう
赤石川支流滝川源流の滝
▲アイコガの滝3段15m
アイコガの滝は、滝川を象徴する滝で、この滝を見るためにわざわざやってくる人もいるくらいだ
下段は2m程度に過ぎないが、巨大な釜を有している
下からでは全貌が見えない
左岸の中腹をトレースして中間に出ると、滝の絶景を鑑賞できる高台がある

上段は直滝7m、中段ナメ滝6m、下段2m・・・合計落差は約15m
「アイコガ」とは、滝壷を藍色の「アイ」と酒屋桶の「コガ」に例えた言葉で、
底が見えないほど藍色の水を満々とたたえ、岩盤を抉り取ったコガのような滝壷を意味している
ちなみに、アイコガの滝でイワナを釣ったら、必ず雨が降るとの言い伝えがある
▲赤石川支流滝川アイコガの滝−西の沢MAP

アイコガの滝・・・白神山地入山指定ルート番号14
▲左:アイコガの滝上段7m(旧魚止めの滝)
かつて滝川・アイコガの滝上にはイワナが生息しておらず、この滝が魚止めの滝だった
「津軽白神山がたり」(根深誠著、山と渓谷社)の「滝川遡行とイワナ移植放流記」によると、
根深さんたちが、滝の下流で釣り上げたイワナ16尾を放流・・・とある
今では、最奥の二段40m滝まで岩魚の楽園となっている

▲右:滝川支流に懸かる天空滝30m
天空からジャンプした流れがー気に地上へと落下することから、「天空滝」と命名した
ブナの深緑と青空、屹立する黒壁、白い飛瀑にときおり虹橋がかかると、それは、それは美しい
夢の天空滝・・・赤石川源流行で最も心に残る滝だが、現在、指定ルートから外れているので注意!
▲アイコガの滝、中段のナメ滝6m
上段7m滝の煮えたぎる釜は右岸へと流れを変え、6mのナメ滝を流れ下る
滝の渦巻きは、屹立する右岸の岩壁を侵食し、巨大なおう穴を造っている

■「ブナ原生林白神山地をゆく」(根深誠著、立風書房)の「イワナとマタギ」・・・
「赤石川支流の滝川にアイコガの滝と呼ばれるヨドメ(魚止め)の滝がある。
この滝の上流にはイワナが生息していない。・・・

そこでは、水量が豊かである。
だれがみても、イワナの成育に適していそうに思えるほど、魅力がいっぱいなのだ。
しかし、イワナが放流されなかったのは、なぜか。

・・・河川のヨドメの上流にイワナがいるかどうかについては、マタギの行動と関係がある・・・
滝川と笹内川の、この二つのヨドメの上流にイワナが放流されなかったのは、
マタギにとって、どちらも近づいてはいけない場所だったからである。

・・・アイコガの滝ツボには、昔、ここで死んだ若者の霊が宿っていて、
マタギが滝ツボに小石を落としたりすると、その怒りで、山の天気が悪化するというのだ。
だから、マタギはここにもやはり近づいてはいけないことになっている」
▲滝川源流最大の滝、二段40m(魚止めの滝)
赤石川源流泊り沢を詰め、滝川源流へ抜けるコースを歩いた時に撮影したもの
かつてアイコガの滝が魚止めの滝であったが、今では、この滝まで岩魚の魚影を見ることができる
ただし、現在、指定ルートから外れているので注意・・・今となっては、二度と見ることができない幻の滝である
▲滝川の原始庭園
ブナの原生林に包まれた滝川・・・奥のやや左に傾いた巨大な岩頭に、ブナが教本生えている
右手に居座る岩には、苔やダンモンジソウの緑がびっしり
その間を縫うように透明な流れは、深緑を映し出しゆっくりと流れ続けている
心が洗われるような景観に、しばし足止めを食わされる
▲巨岩が累積したゴーロ連瀑帯
▲小滝と階段状ゴーロが続く西の沢をゆく ▲6m滝
西の沢は、穏やかなゴーロを過ぎると、谷は急に高度を増す
滝のような巨岩ゴーロ連瀑帯が延々と続く・・・降り注ぐ飛沫を浴びて、岩を這う
巨大なゴーロ滝を過ぎると、一転穏やかとなるが、小滝が次々と現れる
▲滝川支流西の沢・魚止めの滝4m
この滝を越えると、高度が増す度に、水量はみるみる減少してくる
右手のガレ沢に進路をとり、いよいよ稜線の詰めに入る
標高740mの稜線に達すると、今度は猛烈な薮こぎが待っている
追良瀬源流黒滝沢・黒滝二段30m
▲追良瀬川源流最奥の滝・黒滝上段
白滝の絶景を見てから、黒滝沢を約700mほど遡行すれば黒滝に達する
新緑の季節は、いつも下段の滝が雪崩で埋まり、全貌を見ることができない
岩魚が遡上できない魚止めの滝であるが、黒滝の上流にも岩魚の魚影を確認することができる

この滝の右岸には、高巻きルートの踏跡がある
滝上に出て、左岸の小沢を詰めると、津梅川支流小又沢へ抜けるルート「マス道」がある
しかし、今では歩く人は稀で、ほとんど藪に埋もれてしまった・・・指定ルートだが、迷いやすいので注意
▲巨大な残雪で埋まった黒滝
▲黒滝全景:黒滝沢旧魚止めの滝 ▲黒滝右岸を高巻き、小又沢カンカケ沢へ
白神山地入山指定ルート番号

追良瀬川・マス止めの滝
▲マス止めの滝(マス止めの淵)
サカサ沢・ツツミ沢合流点からすぐ下流に落差2mほどの大きな淵がある
かつては、河口からここまでサクラマスが大量に遡上したという

美味な魚だけに岩崎村の人たちは、小又沢上流カンカケ沢を登り詰め、
ツツミ沢を下って、このマス止めの淵で大量のサクラマスを捕った・・・その道を「マス道」と呼ぶ
さらに滝川支流ヤナギツクリの沢から五郎三郎の沢を下り、追良瀬川へ抜けるマタギルートもまた然りである
▲マス止めの滝で岩魚ウォッチング
▲岩魚が群れ遊ぶマス止めの淵
白神の豊かさの象徴・岩魚をウォッチングしたい方は、このマス止めの淵がオススメ
ただし、アプローチは岩魚に気付かれないよう細心の注意が必要だ
例えば、上流から接近する場合は、右岸の笹藪を音を立てずに歩き、木陰に隠れながら覗くことが絶対条件

岩魚の楽園と言えども、野生の岩魚は、人影を極端に嫌う
「木化け、石化け」の術を使えない人が接近すれば、岩魚は危険を察知し、一斉に淵の穴に隠れてしまう

アプローチに成功すれば、尺を超える岩魚が悠然と泳ぐ姿を何時間でも観察できる
時々水面を切り裂き、流下昆虫を捕食する岩魚
餌が流れ込む絶好の場所には、淵尻から次々と岩魚が浅瀬にやってくる

かつて、サクラマスが大量に遡上していた当時は、岩魚に見向きもしなかったという
群れる岩魚をサクラマスに置き換えると、羨ましい時代にタイムスリップしたような感覚を味わうことができる
岩魚好きの人間なら、日暮し眺めていても飽きないだろう

白神山地入山指定ルート番号

赤石川・ヨドメの滝
▲赤石川本流に懸かるヨドメの滝(落差約20m)
水量が多いと、滝の瀑布は凄まじく、迫力満点の滝である
滝壺のプールは大きく、数々の大イワナ伝説を生んだ場所である
実写版映画「釣りキチ三平」の「夜鳴き谷の怪物」を釣るシーンにはピッタリの滝なのだが・・・

ヨドメとは「魚止め」を意味する言葉で、この滝の上流には岩魚が生息していなかった
かつて、砂子瀬の工藤兄弟3人のマタギは、この滝壺で釣った十数尾の尺岩魚を
竹カゴに入れ、滝の左をロープで吊り上げて滝上に放流したと記録されている
▲ヨドメの滝にて:昭和60年撮影
ヨドメの滝を境に、滝上の渓相は一変・・・ブナの渓畦林に覆われた穏やかな景観となる
この滝は、右岸を大きく高巻く
▲ヨドメの滝の上段5m滝 ▲ヨドメの滝上流の小滝
▲大川−赤石川MAP

◆赤石川本流「ヨドメの滝」プローチ
大川林道終点〜大川〜石の小屋場沢〜赤石川〜ヨドメの滝〜ヤナダキ沢〜暗門の滝〜暗門大橋車止め
ヨドメの滝までは、指定ルートとして二つのコースがある
白神山地入山指定ルート番号25、19、18、22、23

■暗門の滝コース・・・比較的入りやすいルートだが、約14kmと距離が長い
■大川コース・・・約9kmと距離こそ短いものの、山越えのルート選定が難しいので注意!
■自信のある方は、大川〜赤石川〜暗門川の一周コースがオススメ
赤石川源流・泊り沢の滝
▲天然階段落差工
人工的な温水落差工か・・・と見紛うほど、不思議な魅力を秘めた天然の小滝が連なっている
▲右:二段目の滝・・・右の突き出した岩は、岩魚が遡上しやすい構造で
天然魚道の役割を果たす・・・自然の妙に驚嘆させられた滝の一つ
▲泊り沢・旧魚止めの滝5m
白い帯となって落下する瀑布は、夏の日差しを浴びてキラキラ輝く
滝の飛沫を浴びて、右岸を直登・・・滝上に出て瀬に目を転ずれば、何とイワナが走る姿が見えた
魚止めの滝上に岩魚を移植するのは、山棲み人の風習であるが・・・一体、誰が移植したのだろうか
泊り沢の旧魚止め滝は、泊り沢入口から約1.3km上流にある
さらに約700mほど上ると、この沢最大の滝に出会う
▲左岸小沢の滝8m
▲泊り沢入口の小滝 ▲泊り沢最大の滝25m ▲「人」の形をした珍しいナメ滝
▲赤石川源流泊り沢−滝川源流MAP(現在、指定ルート外)

泊り沢が合流する赤石川上二股から滝川の分水尾根・標高896mまでは、距離約3km、標高差約370m・・・
さらにアイコガの滝までは、約4kmほど下らなければならない・・・意外と距離は長く、遡行の満足度は高い
しかし、滝川・アイコガの滝から泊り沢までの一周ルートは、平成9年、指定ルートから外れてしまった
参考:世界遺産・白神山地核心地域内指定ルート及び入山届出について
保存地域の入山は、津軽森林管理署(FAX0172-27-0733)に入山届出が必要。
その際「一日ボランティア巡視員」を引き受け、遡行後、
巡視の結果及び保存地区の管理のあり方等について意見を述べるようにしてください。
世界遺産指定地域内の河川は全て釣り禁止につき注意。
その他注意事項は、手続き要領を参照。

また、ここに紹介する源流の滝は、そのほとんどが日帰りが不可能で、
かつ登山道や山小屋は皆無・・・道なき道を歩く沢登りと数泊の野営を要する点に注意願いたい。

白神山地核心地域内指定ルート図&現地状況一覧表
核心地域入山手続き要領

◆世界遺産指定後の経緯
・平成5年(1993)12月、白神山地が世界自然遺産に登録。秋田県側は入山禁止に。
・平成6年(1994)1月、秋田県藤里町粕毛川源流部を禁漁区に設定。
・平成9年(1997)6月、青森県側の核心部は27の指定ルートに限って入山の許可制を導入
・平成10年(1998)7月、青森県側の核心部を流れる追良瀬川、赤石川、滝川、大川、笹内川を禁漁区に設定。

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