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初冬のブナ林ときのこ、雪国の秋〜冬〜春・・・2008年山釣りEND
▲初冬の風景・・・落葉した明るい森とブナシメジ

初冬・・・ブナ林が眠りに入ろうとする季節
11月15日、好天に誘われるまま、初冬の森とキノコの撮影に向かった
初冬ともなれば、夜明けはおよそ6時半頃と遅い

林道を走っている時は暗かったが、車止めに着く頃には明るくなった
ほどなく4人組の車がやってきた・・・キノコ採りかなと思ったが・・・
4人は、サブザックと肩に銃を背負った
そうか・・・11月15日は、クマの狩猟解禁日だった
狩猟期間は、11月15日〜2月15日まであるが、クマが冬ごもりに入る正月までが勝負と言われている

「ここはクマがやたら多いですね・・・10月は、親子クマに吼えられましたよ
初冬のクマ狩りは、相手が元気だから難しいでしょう」

「んだな・・・まだ枯葉も完全に落ちていないし・・・
俺の鉄砲でしとめられるようなクマ、いるがなぁ」

「お先に・・・」と言われたが・・・
「私はクマ避け鈴を付けているから、先に歩けばクマが逃げてしまう・・・
そちらこそ先に行ってください」と遠慮した
▲初冬のブナ林
黄色から茶褐色へと変わった枯葉は、その大半が散っていた
雲ひとつない青空・・・太陽の光は、林床全体に降り注ぐ
まるで芽吹く前の森の明るさに似ているが、「山笑う」ではなく「山眠る」前のあわただしさを感じる

林内は明るく、風通し、見通しともすこぶる良い・・・キノコには絶好の環境のように見える
うず高く降り積もった落葉を踏み締めながら、狙いの倒木を探す
▲ブナ林の倒木
広葉樹の大半が落葉した森は、遠くまで見通しがきくのでキノコ探しには最適だが、
肝心のキノコのピークは過ぎているので、旬のキノコに当たる確率は極めて低い
けれども、来年に備えて山見をしておくことは決して無駄にはならない
好天に恵まれれば、初冬と言えども天国の散歩を楽しむことができる
▲初冬のナメコ・その1
上の写真は、小沢源流部のすぐ脇にあったブナの倒木
喉が渇いたので、沢水を飲もうと下りたら偶然見つけた
湿っぽい上側のナメコは腐っていたが、光と風通しの良い部分に生えたナメコはしっかりしていた
▲乾燥したナメコ
傘の部分が乾き、一見ヌメリを失ってしまったようなナメコたち
根元をナイフで切り取り、裏返してみると、ナメコ全体からヌメリが消えていた
まるで「干しきのこ」と同じ状態だった
▲草の葉が乾いたナメコの傘に貼り付き、なかなかとれなかった ▲かろうじてヌメリが残っていた幼菌 ▲同左、裏面・・・美味しそうなナメコ
▲折り重なるように生えていたナメコ・・・上段は腐っていたが、下段は旬だった ▲ナメコの成菌・・・傘が開き、褐色の落ち葉と同化したような色合い
旬の天然ナメコだ
▲初冬のブナ林
灰色と褐色のグランデーション・・・
白いブナの幹は苔や地衣類に覆われ、多様な紋様に彩られている
ときおり吹く風に、枯葉がすれあいカサカサと音を奏でる
▲初冬のブナ林U
丸裸になった巨樹の奇妙な骨格がよく見える
寿命尽きて倒れたブナには、きのこやサルノコシカケなど様々な菌類が群がる
森を見上げれば、茶褐色の枯葉の向こうに、青空が透けて見える
▲初冬のナメコ・その2
光と風通しの良い倒木に生えたナメコ・・・完全に干しナメコと化している
お陰で、虫もつかず、腐ることもない・・・天然の冷蔵庫の中に長期保存しているような感じがする
開いた傘は波打ち、傘の縁は乾ききってシワシワになっている
一瞬、これがナメコか・・・と疑うほど変形している
ヌメリを失った干しナメコだが、水に浸せば、ナメコ特有のヌメリは復活する
味も全く変わらない・・・干しきのこの方が劣化しない分、優れているように思う
▲落ち葉がベッタリ貼り付いた傘は波打ち、乾燥収縮して幾重ものシワが走っている ▲極端に変形した干しナメコ ▲裏面を見ると、表皮が剥がれ落ちるほどパサパサに乾いていた・・・腐った痕跡は皆無で美味しく食べられる
▲腐っていたナメコの群生
特に湿り気が多く、群生規模の大きいナメコは、ことごとく腐っていた
やはりナメコのピークは、初冬ではなく晩秋のようだ
▲自然の造形美・サルノコシカケ
よく見れば、人の顔や宇宙人のようにも見える
また、右は親の頭に子が幾つも乗っかっているようにも見える
自然の造形美は、人の感性と想像力を刺激する不思議な魅力がある
▲初冬の青空とブナ林
枯葉の大半が散ったブナの森を見上げると、澄み切った青空が透けて見え、実に美しい
▲初冬のムキタケ
ムキタケは、腐っているものも少なくなかったが、意外と収穫できた
やはりナメコよりは腐りにくいキノコである
▲倒木の割れ目にビッシリ生えたムキタケ ▲旬のムキタケ ▲倒木の下面に群生したムキタケ
▲クマの痕跡
左の写真は、クマが枯木の中にいる虫を食いあさった痕跡だろう
中と右の写真は、大きなシダ植物が広範囲に倒され、まるでテン場のように均されている
クマが昼寝をした跡、親子クマがじゃれて遊んだ跡が至る所にあった
この傾斜の緩い台地は、野生動物たちにとって、美しい水とブナの恵みに富む別天地であることが伺える
▲初冬のナメコ・その3
急斜面のブナの倒木に生えていたナメコ
斜面の下側は最も湿度が高いためか、100%腐っていた
中間部は、適度な湿度に保たれていたのか、食用には問題なしだった
採取したナメコのほとんどは、干しナメコ状態でヌメリはゼロだった
昼食用に、渓流で洗うと、ナメコ特有のヌメリが見事に復活した(右の写真)
干しナメコを使ったナメコ汁・・・晩秋のナメコと味は変わらず、最高に美味かった
▲初冬の山の風景
手前の黒く見える木は、すっかり葉を落とし、冬に備えて丸裸になっている
その対岸の落葉したブナの幹は白く見える・・・全体的に褐色から灰色へと変化しているのが分かる

ひとたび木枯らしが吹き荒れれば、残った枯葉も完全に散り、山は荒涼とした灰色の世界へ・・・
初冬の山を眺めれば、森が冬に備えて白骨化していくような印象を受ける
雪国の冬の訪れは急ぎ足でやってくる
日本人の自然観によれば、冬は「山眠る」・・・そして春になれば目覚めて「山笑う」という表現になる
四季折々変化する山を、まるでツキノワグマになったような感性で表現した季語は素晴らしいと思う

雪国の秋〜冬〜春
▲秋・・・ブナの森は菌類の天国と化す
▲ブナ林の黄葉
▲岩魚の恋の季節
▲晩秋のきのこ・・・ブナ林の宝石が最後を飾ると、冬は駆け足でやってくる・・・
▲渓の落葉
風が吹くたびに木々がざわめき、ブナの葉が渓に降り注ぐ
▲初冬のブナ林
ミゾレ混じりの冷たい雨・・・木枯らしが通り抜けるたびに
森はその衣を脱ぎ捨て、茶褐色から荒涼とした灰色へと変貌する
ほどなく初雪が舞い、長く厳しい冬の到来を告げる
▲凍てつく渓流
やがて根雪となり、沈黙の銀世界へと変化
吹雪がやみ、冷え込んだ早朝・・・木々の枝先に水蒸気が着氷しキラキラと輝く
▲厳冬の森吉山・樹氷
樹氷は、過冷却水滴の強風雲がアオモリトドマツに吹き付け、風上に向かって凍りつき発達する
「モロビの樹氷」「雪柱のモンスター」「氷点下を彩る樹氷」などと形容されている
▲雪に埋もれた限界集落・・・村が老いゆく風景
雪に押し潰された廃屋・・・また一つ山里の暮らしが消えてゆく
・・・春から秋までは天国なのだが・・・
▲深閑とした渓に暖かい陽光が降り注ぐ・・・待ちわびた春が駆け足でやってくる
▲雪国に春を告げる草花
深い雪に閉ざされて暮らす雪国の人々にとって、春の輝きは何倍にも増幅し、心は無上の歓喜で沸き返る
▲春の陽射しにまどろみ、芽吹き始めたブナ
芽吹く前の林床には、いち早くイワウチワ、カタクリ、ニリンソウなどが咲き競う
▲谷筋の残雪と若葉
▲新緑の谷
谷底から峰に向かって、新緑の絨毯が、日増しに広がってゆく
木々が芽吹き、山が萌黄色に染まり始めると、岩魚釣りと山菜採りシーズンの到来だ
▲山釣りのスタートは、ブナの芽吹き〜新緑の季節
生命踊る季節の到来は、半年間に及ぶオフシーズンに耐え、
ひたすら待ち続けた渓師たちにとっても冬眠から覚めた熊のように、心が舞い躍る季節
▲早春の岩魚
春の陽射しに煌めく流れからイワナが顔を出す
竿を担いで山を歩く人のみが味わうことのできる野生の鼓動・・・釣り師冥利に尽きる感激の瞬間である
早春は、流れの透明度が高く、柔らかい陽射し、空気も凛として、イワナの撮影にベストの季節
▲春の恵み
釣りたての岩魚と採れたての山菜・・・野趣あふれる料理は、渓師だけが享受できる至福の楽しみ
▲桃源郷・・・
山の懐深く分け入った渓谷は、
雑踏にもまれながら暮らす日常の世界から隔絶された別天地
美しい水と山の恵みの宝庫・・・

原始の本能を呼び覚ますような風景と心地よいBGM、
雪代で沸き返るマイナスイオンをたっぷり浴びながら
素朴なイワナ料理、山菜・キノコ料理で酒を酌み交わす極楽の世界
▲長く厳しい雪国の冬・・・やがて必ずやってくる「山笑う」季節の到来を信じて、深い眠りに落ちる
新緑・・・生命踊る山が一斉に笑う風景を夢見て・・・
2008年山釣り・・・THE END

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