尺岩魚、カジカ、ワラビ、シドケ、アイコ、ウド、ホンナ、ヤマワサビ、山の幸定食・・・魚影の判断、沢の選定ほか |
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2008年5月中旬・・・雪が深いはずの内陸部の渓は、既に雪代のピークが終わり 早くも山菜と岩魚釣りのピークを迎えていた 春一番の岩魚釣りを楽しむポイントは、林道が雪崩に塞がれ通行不能になっている渓流だ 目指す沢に向かうと、断念した一台の車とすれ違う ほどなく雪崩の残骸があり通行止め・・・いつもの車止めまで約8kmもある・・・一瞬、迷った 林道を休まず歩いて2時間、さらに目的の沢まで杣道を歩くこと1時間・・・計3時間も掛かる 春一番乗りを期待し、林道をひたすら歩く |
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額に汗が滴り落ちる頃、バイクに乗った地元のおじさんに追い越される 私を見るなり、ニコッと笑い猛スピードで上流へ駆けてゆく そうか・・・車にバイクを積む手があったか・・・ 約8kmの林道を歩き抜き、杣道に入る 今年歩いた痕跡は微かにあるが、入渓者が少ないことは明らか 幸いにも、先行したおじさんは、別の沢に向かったようだ・・・期待に胸が膨らむ |
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▲淡い紅紫色が鮮やかなムラサキヤシオツツジ | ▲清流とヤマツツジ |
▲林道歩きの途中で採取したワラビ ワラビは最もポピュラーな山菜だが、採取が楽で、しかも大量に採れ、かつ美味い 右の写真は、重曹を入れた熱湯に生ワラビを入れ、一晩アク抜きをした状態のワラビ フリーザーパックにアク抜きしたワラビと水を入れ、 冷蔵庫に保管するとアクは完全になくなり、一週間程度の保存もOK |
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▲第一投目でヒットした尺上岩魚32cm 狙ったとおり、淵に餌を振り込むと同時に竿が弓なりに・・・ 尺岩魚は、斑点が大きく鮮明なニッコウイワナ 一般的にエゾイワナは、斑点が大きく鮮明だが、無着色斑点が特徴 これらの呼び名を合成すれば「エゾ系ニッコウイワナ」とでも命名したい |
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▲腹部が鮮やかな柿色に染まった岩魚・・・「赤腹岩魚」 「岩魚は足で釣れ」・・・岩魚は、ひたすら歩きながらポイントを移動し「足で釣る」との意味だが、 車止めから遠い釣り場まで、歩くことを厭わず、人の何倍も歩くことの意味もある 日帰り釣りの場合は、歩く時間が多くなれば、その分、釣る時間は短くなる |
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今回は、釣り場まで3時間、帰りの時間は約4時間、計7時間 釣りを楽しむ時間は3時間もなかった それでも途中で餌がなくなるほどの入れ食いが続いた その絶好のチャンスは、林道崩壊や雪崩で通行不能になる春先がベスト 林道が全て通行可能になる初夏ともなれば、奥山の雪代も終わりを告げる そうなると、奥深い谷の源流をめざして沢を登り、数泊の山ごもりを伴う山釣りの季節となる |
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▲全身黒くザビついた岩魚・・・「サビ岩魚」 岩魚の活性度は高く、夢の入れ食いが続く こうなれば、周りの景色も全く目に入らず、果敢に餌を追う岩魚に釣り人も狂う しかも釣れてくる型は、丸々と太った8寸から尺前後と良型ばかり こんな夢の岩魚釣りは滅多にあることではない 釣り上げては、12倍ズームで岩魚の撮影を繰り返す |
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▲上顎が突き出したように長い尺岩魚 同じ沢の岩魚でも、口が尖ったような岩魚や上顎が突き出した岩魚、 斑点の大小、頭から背中にかけて虫食い状に乱れた流れ紋岩魚もいる・・・実に多様性に富んでいる かといって、側線前後の斑点が乱れている個体は皆無だった 一般的に、岩魚は大きくなるにつれて、パーマークが消え、斑点も不鮮明になる場合が多い しかし、この沢の岩魚は、尺岩魚になっても、斑点が鮮明かつ大きいのが特徴 |
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岩魚が釣れなくなったと呟くご時世では、ちょっと信じられないことに気付く 数百メートルも釣っただろうか・・・早くも持参した餌がなくなってしまった 川虫採り用の網を取り出し、石をひっくり返す すると、大きなカワゲラが一度に3〜5匹も入った・・・魚影が濃いのも分かる |
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岩魚の魚影の判断は・・・ 例え魚影の濃い沢であっても、林道が通行可能になると、次第に岩魚もスレて姿が見えなくなる 一見、岩魚は釣り人に釣られて激減したのでは・・・との錯覚に陥る 岩魚は、天敵・釣り人が考えている以上に警戒心が強い魚だ ところが、雨で笹濁りになると、警戒心がなくなり、一転入れ食いに遭遇することもある また、翌年、春一番に入渓すれば、消えたと思っていた岩魚が群れていることに驚かされる あの沢は魚影が濃い、薄い・・・といった釣り人の判断は、実に曖昧で当てにならない まして、釣りをやらない人たちの魚影判断は、信用にならない |
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地元のゼンマイ&岩魚釣りの人たちの話 つい先日まで、林道が雪崩で通行不能だったし、雨も降っていた そこでT沢に入ってみた・・・ハリスは0.8号なのに岩魚は掛からない 岩魚が見えるのに・・・おかしいと、しきりに首を傾げていた そこで私は言った 「あそこは林道が奥まである・・・林道のある沢はやっぱり駄目じゃない」 というのも、車にバイクを積むような釣り人は、こうした楽な沢を選んで釣るからだ しかも長年、釣り人に攻め立てられているから、釣り人より岩魚が一枚上の場合が多い |
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野生岩魚の釣り場選定は、何を目安にすれば良いのか まず目指す釣り場は、林道や堰堤がないことが絶対条件 次に懐が深く、ブナ科の広葉樹の森と渓畔林が豊かであること この二点に尽きるだろう 岩魚釣りは、四季折々変化する釣り場の選定で釣果は決まる 決して、釣りの技術や釣法で決まると思わないことが肝心 なぜなら釣り場の選定が決まったら「足で釣る」のが岩魚釣りの真髄なのだから・・・ |
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▲カジカ 川虫を採っていると、サンショウウオが入ることは珍しくないが、 カジカが入るのは極めて希である 身は淡泊で美味な魚だが、この沢では希少種につき、リリース 川の上流部にいるカジカは、河川陸封型で、大型の卵を産む 石の多い瀬を好み、水生昆虫などを食べる動物食性 |
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▲「半魚半獣」 生かしたまま網袋に入れた岩魚を、河原に開ける 一斉にムクッと起きあがり、蛇のように体をくねらせながら歩きはじめる こういう光景を何度も見ていると、岩魚は魚ではなく、魚の形をした獣ではないかと思ってしまう・・・まさに「半魚半獣」 キープした岩魚は、流木の棒又は石で、急所の頭を叩き野ジメにする 腹を割き、内蔵と血合いをきれいに取り除く 一匹、一匹フキの葉で包み、ビニール袋にくるんでザックに背負う |
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▲ワサビ田 天然のワサビ田は、白花が満開・・・ 根を残し、茎と葉をナイフで刈り取る・・・付着したゴミは渓流で洗い流す 適当な長さに刻んでから熱湯をかけ、万能つゆに漬け込み保存 |
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▲ウドも最盛期 左の写真は、沢沿いのワサビ畑に生えていたウド 右の写真は、雪崩斜面に生えていたウド |
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腐葉土の中にナイフを突き刺し、根際から切り取る ウドは、数ある山菜の中でも絵になる山菜だ 赤く太い根際の茎、緑の茎には白い産毛・・・実に色鮮やかで食欲をそそられる ただし、採り過ぎると重いので注意! |
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▲旬を過ぎたシドケだが・・・ 草丈が高く、モミジ形の葉が大きく開くと旬を過ぎた証拠 しかし、ポキッと折れる柔らかい先端部を採取すれば、十分食べられる |
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▲アイコ アイコもシドケと同様、ほとんどが旬を過ぎた感じだったが、 雪解けが遅い場所に生えていたアイコを探し採る |
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▲ゼンマイ(左)と採取したホンナ(右) 岩場のゼンマイも最盛期を迎えていた 先週、地元の古老に聞くと、今年のゼンマイは早く、 いつもならこれからなのだが、もうそろそろ終わりだと言っていた |
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▲オオバキスミレ | ▲エンレイソウ |
▲山の幸定食 上左から、ワラビ、シドケのゴマ味噌和え、アイコのおひたし、ウドの酢味噌和え、シドケのおひたし 下左からウドと豚バラのごま油炒め、岩魚の燻製、そして岩魚の骨酒・・・ 盛春は、山の幸てんこ盛りの「山の幸定食」が楽しめる最高の季節 つまり、山にこもる山釣りでなくとも、春に限れば、極楽気分を味わうことができる |
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