全国の釣りバカたちが待ちに待った「釣りキチ三平」の実写映画化が決まった。 その原作者である矢口高雄さんは、ボクの実家の隣町・増田町の出身と言うこともあり、大、大ファンだった。 主人公「三平くん」の役は、「ALWAYS三丁目の夕日」の名子役・須賀健太くん・・・ 矢口先生は、ボクのイメージする「三平くん」にピッタリだと、思わずバンザイしたというから二重に嬉しい。 ▼釣りキチ三平サイン入り色紙(右上) 矢口先生のふるさとは、秋田県横手市増田町狙半内中村集落・・・ 20年ほど前、釣りキチ三平のファンだった子どもたちを連れて、矢口先生の実家を訪れた。 ボクも子どもも「釣りキチ三平の大ファン」です・・・というと、お母さんは大喜び・・・ わざわざ訪問してくれたお礼にと、「釣りキチ三平」のサイン入り色紙をいただいた。 帰りには、わざわざ家の外まで出て記念撮影にも応じてくれた その時撮影した矢口先生のお母さんが右の写真・・・実に、実に優しいお母さんだった |
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▲矢口高雄先生は1939年、秋田県横手市増田町狙半内(さるはんない)中村に生まれる 上の地図の真ん中ほどの狙半内中村集落に実家があり、約60戸ほどの小さな山村 冬の積雪は3mに達するほどの豪雪地帯・・・小学校まで約2km、中学校まで約8kmもあったという 子供時代は、除雪車もなく、胸まで雪に埋まりながら、皆で力を合わせて、何時間も掛けて通ったことだろう 実家の近くを流れる川は、成瀬川支流の狙半内川・・・ その山と川で、ヤマメやイワナを釣り、昆虫採集などをしながら古里の自然から学ぶ その少年時代の矢口先生自身が「釣りキチ三平」のモデルである 山を一つ隔てた東成瀬村は、かつてマタギ集落が数多くあった 郷土誌によれば、「岩井川、入道、手倉、五里台、天江、大柳、桧山台等には、昔からマタギが相当おった」と記されている 阿仁マタギとも親交が深く、手倉のマタギは、熊の胆の行商もやっていた さらに手倉から胆沢町を結ぶ千年の古道・仙北道も現存している 2008年6月14日、岩手・宮城内陸地震では、震度5強の地震が襲い大きな被害が出た 今回の「釣りキチ三平」の映画化を契機に、元気を取り戻して欲しいと願う |
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矢口高雄さんが描く漫画の最大の特徴は、釣りの世界だけでなく、「自然と人間と文化」まで描いた点である 言い換えれば、漫画の世界に初めて民俗学的視点を取り入れたともいえる その代表作「マタギ」は、1976年、日本漫画家協会賞グランプリを受賞している 峻拒な大自然---ここに妥協を許さぬ男の群れがいる 厳粛な戒律と大自然の掟に生きる/孤高の民---マタギ また、民俗学者&動物作家の戸川幸夫氏の作品を漫画化した「野生伝説」・・・老鷹匠の物語や羆(ヒグマ)によって6名が殺された事件「羆風」など、自然と動物の描写は秀逸である 「マタギV」には、秋田県羽後町上仙道桧山の「最後の鷹匠」の一編も納められている 昭和51年2月、名人鷹匠・土田力三さんが、鷹の訓練中に古井戸に落ち不慮の死を遂げる・・・その悲報を聞いた矢口さんは、失われゆく農民鷹匠の死を惜しみ、「最後の鷹匠」を描いている ニッポン博物誌1「イワナの恩返し」(矢口高雄著、講談社)の中に、 短編漫画として最後の鷹匠を描いた作品「鷹の翁」が収録されている 彼は、農民鷹匠の起源について次のように記している 「毎年のように重い年貢に悩まされ、食うものも食わずに働かなければならなかった当時の農民たち、 まして海から遠く離れた魚類タンパク源に乏しかった山間寒冷地の農民たちにとって、 生きるために欠くことのできない動物タクパク源を、周囲の山々の鳥や獣に求めたとしても、なんの不思議もなかったし、半年の雪に埋もれて、食べ物に不自由だった人々にとっては、地理的条件からして当然のことであったろう。 その意味からも、公家の遊戯や武家の権力の象徴として発達してきた「鷹狩り」が、東北の山間農民に伝承された歴史的背景は・・・ 例年厳しい年貢を課す武家たちの鷹狩りを、うらみをこめて、じっと垣間見ていた農民たちが、見よう見真似で、その技を盗み・・・ やがて武士に対抗するように、彼らよりもはるかに大型のクマタカを用い、あくまでも肉を食い、 毛皮を得る手段として勇壮かつ豪快な鷹狩りを完成していったのではあるまいかと、ボク(矢口)は思う」 |
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矢口高雄さんの「ふるさと」シリーズ、「愛蔵版 ふるさと」(矢口高雄著、中央公論社) の巻頭に次のような一文を記している ボクが「ふるさと」を描くにあたって掲げたことは、・・・ いわば「生活者」を描こうとしたのである・・・ 換言すれば--人間が生きるということは、つまり、こういうことではないか-- というテーマの追求を試みたのが、この作品だということである・・・ 「ふるさと」は、その危険性を大いにはらんだ作品だった。 「生活臭」が漂うばかりか、マンガ作品のキャラクターとしては、昨今の若者たちから最も「ダサイ」と評され、 「カッコ悪い」と敬遠されている「百姓」のドラマだからである。 しかし、このテーマは、ボクにとってはどんな危険があろうとも描かれずにはいられないものだった。 オーバーに言えば、作家生命を賭しても訴えたい作品だった。 その止むに止まれぬボクの心の内とは、ボク自身が「百姓」だからである。 奥羽山脈の、山襞の寒村の、小作人百姓として生まれたからである。 私が矢口高雄さんの作品に惹かれるのは、「奥羽山脈の、山襞の寒村の、小作人百姓として生まれた」 という、常に山村の民百姓の目線で漫画を描き続けた点である 今回の実写版映画「釣りキチ三平」の滝田洋二郎監督のコメントには、 「作品のテーマである゛人゛゛自然゛゛釣り゛の素晴らしさを描きたいと思う。 とてもやりがいのある原作」と述べている・・・それだけに歴史に残る名作の予感がする |
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(画像は、映画とは関係ありません・・・私の抱くイメージです) 東映のHPで紹介されている映画のストーリーによれば、 天才的な釣り少年・三平三平は、アメリカで釣りのプロとして活躍していた鮎川魚紳から「夜鳴き谷の巨大魚」伝説を聞く かくして三平たちは、深山幽谷の伝説「夜鳴き谷」に「幻の巨大魚」を追う 「風光明媚な゛日本の自然美゛と゛幻の巨大魚゛をVFXで映像化 いまだかつて見たことのない「迫力」と「美」、そして「感動」に満ち溢れた映画 「釣りキチ三平」が遂に誕生します」とある VFXの特殊効果を担当するのは、「ALWAYS三丁目の夕日」で昭和30年代の東京の街を再現した特殊効果工房の白組 さらに脚本は、同じく「ALWAYS三丁目の夕日」の古沢良太さんが手掛けるという 感動的な名作になることは間違いないだろう クランクインは、7月25日で、約1ヶ月間、釣りキチ三平のふるさと・秋田でロケを敢行 2009年春に東映配給で全国公開を予定している |
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