晩秋のキノコ狩り1 晩秋のキノコ狩り2 山釣り紀行TOP


晩秋のブナ林、ナメコ、ムキタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、ニガクリタケ(猛毒)、キノコ狩りのポイント、法体の滝上に放流した先人・・・
晩秋の山は冷え込みが厳しく、かつ天候が不安定で決して快適な季節ではない
けれども、ブナ林を代表するナメコとムキタケはピークを迎える
また、ブナ林の葉が落ち、草木が枯れて、見通しも良くなる
そんな晩秋にキノコを探して山を歩けば、山全体の骨格を知ることができる

ヌメリが滴るナメコの群落を探しながら山を彷徨えば、山を立体的に歩いた充実感に満たされる
来春に備えて、ゼンマイやウドなどの山菜が生える斜面も発見できる
山釣りの最後を締めくくるには、最もふさわしい季節でもある
◆2008年11月上旬、2泊3日、パーティ4名
▲晩秋の谷
ブナの黄葉は、黄色から褐色へと変化し、やがて大量の落葉が苔生す谷に降り注ぐ
岩魚は発情すると、側線に沿って黒い帯の婚姻色を帯びる
ペアを組んだ岩魚は、水量が最も安定している源流あるいは小沢の奥へと遡上する

落ち葉が降り積もった流れの緩い浅瀬では、メスが尾ビレで掘り返した産卵床の周りを
ゆっくり周遊しながら、恋のダンスを繰り返す・・・
その産卵のシーンを撮りたいと念願しているが、キノコに夢中になると、その夢は遠のくばかりだ
▲落葉が大量に降り積もった杣道 ▲黄色から褐色へと色付いたブナの森をゆく
夜から朝にかけて大雨だったが、夜明けと同時に雨も止み快晴となった
▲山の峰附近は褐色に染まり、既にかなりの葉が落ちて、白い骨格が見える ▲キノコ目になりながら、落葉が舞い散る谷をゆく
▲早速見つけたムキタケを採る
連日雨が降り続き、半分ほどは腐っていた・・・残念
▲黄色と褐色のグランデーション・・・葉を半分ほど落としているから、谷の流れが良く見える
▲ブナの黄葉は晩秋の陽射しを受け、眩しいほどの輝きを放つ
▲メインロープは長辺方向に穴を通し、二本の木に固定する
▲テン場の設営
雨でも快適に過ごすには、ブルーシートは必須。それを張るメインロープは、できるだけ高く張るのがベスト。5mシュリンゲを木に巻き付け、梯子代わりにしてロープを張る。これも長年の知恵の一つ。
▲ブルーシートは、若干傾斜をつけて、シートに歪みが生じないようにきっちり平に張る。
地面は、連日の雨で湿っていた。草を刈ってテントの下に敷くと快適である。
▲薪集めの最中に見つけた豆粒ほどの幼菌
これを枝木ごとテン場に持ってきて、どれだけ成長するかを観察することにした・・・楽しみ、楽しみ
▲昼食後、杣道を辿ってキノコを探す
苔生す倒木に群がって生えていたムキタケ
連日の雨で倒木の上側のムキタケはほとんど腐っていたが、下側のムキタケは旬だった
▲黄葉に染まった向こうに、連続する険谷の滝を望む ▲褐色の葉をほとんど落としたブナ・・・やがて丸裸になって厳しい冬を迎える
▲杣道沿いのブナ ▲腐りかけたブナハリタケ ▲雨に濡れたナメコの成菌
▲小沢を上っている途中で見つけたムキタケの群生
晩秋ともなると、似ている毒キノコ・ツキヨタケは姿を消す
すると、ブナやミズナラなどの枯れ幹や倒木にムキタケが一斉に生えてくる
最近は原木栽培もされているが、秋田では、ムキタケと言えば天然キノコの代表である
▲倒木を傷付けないように、根元をナイフで切り取る
念のため、柄の付け根に黒いシミがないことを確認する
▲老木の根の穴はかなりデカイ・・・この穏かな高台は、熊の痕跡がやたら目立った
▲連日、雨が降り続く場合のキノコ狩りのポイント
雨などにより湿度が極端に高いとキノコは腐り易い
10月下旬から不安定な天候が続き、ブナ林の湿度は飽和状態だった

草木から露出した倒木の上側に生えたムキタケやナメコは、ことごとく腐っていた
旬のキノコは、上の写真のように雨露をしのげる倒木の下や草木に覆われた場所が圧倒的に多い
従って、倒木を見つけたら、草木を払い、倒木の下を丹念に探すのがポイント
▲小沢から高度差約150mほど上った高台を西側にトラバースしながら、倒木や立ち枯れ木を探す ▲ブナシメジ・・・傘は半球形、のち平らな山形に開く。中央部は色濃く、周辺にいくにつれて淡くなる。 ▲倒木に生えていたムキタケを採る・・・腐っていないかどうかは、キノコの裏側を見て判別する
▲ナメコとムキタケは、沢沿いに加えて、穏かな高台、湿地帯など、比較的湿度の高い場所に生える ▲雨露に濡れたナメコは、ほとんど腐っていた・・・実にもったいない ▲倒木の下側に生えたムキタケ
▲ムキタケとナメコが群生していたブナの倒木
これは見事・・・ブナの倒木の上側にムキタケ、下側にナメコがびっしり生えていた
残念ながら被写体は暗く、フラッシュ撮影せざるを得なかった
この写真でお分かりのように、ムキタケはやや乾燥した場所、ナメコは湿った場所を好むのが分かる
▲ちょうど旬のナメコ
天然の極上品は、ヌメリが強く、傘も柄も肉厚な点が最大の特徴
ナイフやハサミで丁寧に切り取る・・・撮るのも採るのも実に楽しい
▲倒木の根元部分、横に群がって生えているムキタケ
▲倒木の下側に群生するナメコ・・・左は傘が開く前の幼菌、右は傘が開いた成菌 ▲下側のナメコを採る
▲標高約650m附近の沼
▲苔生すブナの巨木が林立する森を彷徨う
山の頂から続く急傾斜地と沢筋の急傾斜地の中間部に位置する高台は、ブナの巨木が多く、適度な湿度が保たれているからキノコの宝庫・・・しかし、今回は連日の雨で腐っているキノコが多かった
▲高台から沢に向かって急斜面を標高差約300mほど一気に下り、テン場に戻るコースを辿ってキノコを探す
▲錦秋のブナ林の美しさに見惚れる
全山黄葉に染まったブナ林も美しいが、晩秋の黄色と褐色のグランデーションも美しい
時折、強い風が吹くと、一斉に枯れ葉が舞い踊る
▲苔生す倒木に生えた旬のナメコ
背後の褐色に変化したブナ林は、およそ半分ほど枯葉が散っている・・・典型的な晩秋の風景
森の中は見通しがすこぶる良いだけに、キノコは見つけ易い
湿気の多い沢筋や高台は、腐っているキノコが多かったが、反面、乾燥しやすい急傾斜地のナメコは旬だった
▲全体的に明るい褐色で、落葉の色と似ている。傘は雨を受け流すような山形で、柄にはゼラチン質のツバがある
▲絵になるナメコの群生に小躍りしながら撮る
折り重なるように生えたナメコの傘には、落葉が降り積もり、
粘液をたっぷり含んだ雫が傘の周辺部から滴り落ちる・・・涎が出そうなほど美味しそうに見える
▲針葉樹と比べて、ブナの森は湿度が高い・・・その湿度の高さが著しい粘液を出すナメコを育むのだろう
▲この旬のナメコは、急傾斜地で、しかも地面から離れていた倒木に生えていた
一般に、ムキタケは、こうした地面から離れた倒木に生える
一方、ナメコは地面に接した湿度の高い倒木に生える場合が多い

今回は、雨が続いたせいか、乾燥しやすい場所に生えていた
山釣り全般に言えることだが、千変万化する気象条件の変化を読み、それに順応的に対応することがポイント
従って、山ほどあるキノコ狩りのマニュアルだけでは、キノコの山に当たる確率は低いと言える
▲ニガクリタケ(猛毒)の群生
食後、数時間で舌がピリピリし、激しい嘔吐や下痢、痙攣に襲われる。次第に意識不明になったり、数日後に死亡した例もある。絶対に手を出してはいけない猛毒のキノコ。クリタケと間違うらしいが、傘は径2〜5cmと著しく小さく、傘の色は硫黄色ですぐに判別できる。
▲ヌメリスギタケの老菌
▲ヒラタケ
晩秋から春に発生する代表的なキノコ
真冬の雪の積もった枯れ幹に群生していることもある
上の写真は、ナメコが生えていた同じ倒木の下部に株立ちになって生えていた若いヒラタケ
ブナ林などの広葉樹、針葉樹の枯木、倒木に多数重なり合って発生する
優秀な食菌で、人工栽培では「シメジ」の名で売られているが、最近は「ヒラタケ」の正式名でも店頭に並ぶようになった
◆料理・・・汁物、炊き込みご飯、和え物、酢の物、煮物、天ぷら、卵料理、バター炒めなど
▲本日採取した鍋用のキノコ・・・ムキタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、ナメコの4種 ▲採取したキノコは、渓流で丁寧に洗う ▲大根おろし用の幼菌ナメコ
▲雑キノコ鍋は、焚き火で調理・・・芋の子、雑キノコ、豚バラ、ネギを入れ、最後は味噌で味付けをした ▲冷えた体にアツアツのキノコ鍋は最高・・・酒のツマミにもグーだ・・・やはり雪国には山の幸てんこ盛りの鍋は欠かせない ▲幼菌ナメコは、醤油で少し濃い目に調理し、大根おろしを添えて食べる・・・酒がやたら進む
▲二日目は悪天候
初日の夜は冷え込みも厳しく、夜空は満点の星だった
しかし、翌朝になると、雲の流れが速く、全山を揺るがすような雷鳴と大雨、アラレが降る悪天候に一変する
さて、どうなったことやら・・・(つづく)・・・
天然ナメコMEMO
・昔からヌメリのあるキノコは日本人好みで、人気の高い食用菌
・ブナ林を代表するキノコで、一般に黄葉が始まる10月中旬から11月初旬が最盛期
・ブナ林のナメコを探すコツは、湿り気の多い沢沿いや急傾斜地の中間部に位置する高台・湿地帯などで、
 倒木や立枯木、切り株を丹念に探すことに尽きる
・人工栽培の歴史も長く、市販品も美味しいが、野生のナメコは美しく、粘液も香りも風味も濃厚である
・市販されているナメコは、左の写真のように傘が開く前の幼菌だが、
 右の写真のように傘が開いた成菌は、形や色がかなり違う

・時に傘が開いた成菌の大群落に遭遇すれば、「あったぞう〜」と叫びたくなるほど感激する
 この感動は、ブナ林の奥深くに分け入った者だけに与えられる「山の神様の贈り物」とも言える
・独特のヌメリと歯切れ、口当たりの良さが最大の特徴
◆料理・・・おろし和え、ナメコ汁、鍋物、ナメコ雑炊、佃煮など
法体の滝(秋田県由利本荘市)上に岩魚を放流した先人
実写版映画「釣りキチ三平」で「夜鳴き谷の怪物」を釣るクライマックスシーン
に登場する法体の滝・・・その上流・玉田川には、かつて魚は生息していなかった
一体誰が放流したのだろうか・・・「鳥海町史」の第三節「イワナの放流」の項にその記録があった

鳥海の山すその秘境を流れる玉田川にイワナを放流し、養殖を図ったのは
かつてマタギ集落で有名な百宅(ももやけ)の佐藤浅治である
佐藤浅治は1850年、百宅に生まれ、明治36年7月5日に没している・・・享年53歳

釣りキチだった彼は、百宅川で釣ったイワナを「生簀(いけす)」に蓄えて、
手頃な数になると、法体の滝上の玉田川に放流・・・その数は十数回に及んだ
今まで魚一匹生息していなかった清流にイワナが増えに増え、
時には川に入った人の足にからみつくほどになったという

明治35年、学校が新築移転された祝いに、このイワナが料理され
村人たちが喜びに浸ったと伝えられている
佐藤浅治の功績碑は、手代事業所の参道のそばにある
明治37年8月、彼の没後、村人がその功績を讃え、感謝の意を込めて建立したという

◆鳥海町の「盆魚」はイワナだった
海から遠い鳥海町では、盆魚としてイワナの串焼きが大きな役割を果たした
山奥の魚のごちそうはイワナで、年中、味噌汁や百宅そばの出汁にも活用された
鳥海ゼンマイにイワナの串焼きを入れた味噌汁、イワナの味噌漬け

イワナにサンショウ味噌をたっぷり塗って更に焼いたイワナ田楽
イワナのいいずし、ウド・ミズなど山菜を入れたイワナ貝焼き
干して保存したシイタケ・マイタケなどのキノコ類を入れたイワナのお吸い物
イワナのこうべ酒など、数多くのイワナ料理があった

実写版映画「釣りキチ三平」の公開は、2009年3月20日・・・
こうした秋田の山村の歴史、文化を知った上で映画を見れば、さらに感動は大きくなるだろう
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