黄葉とキノコ狩り2008-1-1 黄葉とキノコ狩り2008-1-2 山釣り紀行TOP


サワモダシ(ナラタケ)、ナメコ、ブナシメジ、熊槍、親子熊との遭遇、きのこの下処理・・・
2008年10月中旬後半、2泊3日の日程でいつもお世話になっている岩魚谷へ
この谷は、山菜と岩魚釣りの定番の谷だが、いままでキノコ採りに来たことがなかった
岩魚はブナ林帯を代表する渓流魚・・・ならば、キノコも宝庫に違いない

当初4人の予定だったが、キャンセルが相次ぎ、たった2人だけのキノコ旅になってしまった
そんな時に限って、キノコは大当たり・・・二人だけでは、とても採り切れるものではなかった
マイタケに続き、雑キノコ採りも大当たり・・・ブナ林のパワーの凄さに圧倒された
▲標高600m〜850m付近の黄葉はピーク
ブナ林が黄葉する時期は、ポピュラーなナラタケは終わり、ナメコとムキタケが生えてくる
ところが、何とサワモダシ(ナラタケ)が最盛期だった・・・今年の異常気象を象徴しているように思う
▲黄葉初期の杣道を辿り、定番のテン場へと向かう ▲立ち枯れ木に生えたナメコ ▲ドクベニタケ・・・生で食べると中毒する。外国では生食して死亡した例があるという。よい出汁が出ると言われるが、手を出さない方が無難。
▲ブナの風倒木を埋め尽くすように生えたサワモダシ(ナラタケ)
地元のキノコ採り名人の後を追うように歩いたが、採り残したキノコも半端じゃない
どうも崩れ易い成菌は採らず、幼菌のみを採取しているようだ
▲ナメコ発見
倒れたブナの幹を伝って探すと、傘が開いたナメコを見つける
またまた荷を下ろし、小躍りしながらナメコを採る・・・キノコに邪魔され遅々として前に進めない
▲極上のサワモダシ(ナラタケ)の群生
秋田のブナ林帯では、9月中旬から10月上旬に生えるのだが・・・
今年の9月は、ほとんど雨が降らず、残暑も厳しかった
その影響か、マイタケもサワモダシ(ナラタケ)も不作続きだった

9月下旬当たりから適度な雨が降り、最近は冷え込みも一段と厳しくなった
眠っていたサワモダシ(ナラタケ)が、一気に目覚めたのだろうか
早くも腰に下げていたコダシが満杯になる
▲ナメコの幼菌、右下は成菌
峰は黄葉真っ盛り、谷は黄葉初期
サワモダシ(ナラタケ)に圧倒されたのか、ナメコは芽を出したばかり
ナメコとムキタケのピークは、もう1〜2週間後ではないかと思う
▲ブナシメジ
傘の中央部に大理石模様があるのが最大の特徴
傘は初め半球形から平らな山形に開く
料理・・・味噌汁、天ぷら、和え物、煮物、炒め物、炊き込みご飯など、和・洋・中華何でも合う
▲テン場のすぐ傍に生えていたサワモダシ(ナラタケ)
もはや2泊3日では食べ切れないほど採取してしまった
車止めからゆっくり歩いて2時間ほどの距離だが、キノコに邪魔され倍以上かかってしまった
テントとブルーシートを張った後、熱いコーヒーを飲みながら休憩
▲薪集めに向かった風倒木にもキノコの山
ナタを腰に下げ、ノコギリを持って対岸の風倒木に向かう
薪に使おうと思った風倒木にもビッシリきのこが生えているではないか
薪集めを中断し、再度キノコ採りモードに突入
▲旬のサワモダシ(ナラタケ)とナメコ
何とも不思議な光景だ
常識では、ツキヨダケやサワモダシ(ナラタケ)が終わってから、ムキタケとナメコが生えるのだが・・・
よく見れば、この二種が共生している姿も美しい
▲採取したばかりのナメコ汁で昼食
昼食を食べていると、背後の山で爆竹を鳴らす音が二回聞こえた
ほどなく、沢を下ってきたのは地元の古老だった

「このちょっと先の上に谷地があるんだ・・・ナメコはまだ早いな
何か獣の気配がしたがら爆竹鳴らしたんだども、あんたたちだったのが・・・」
と、こんな奥地で人に会うのが不思議そうな顔をして言った

熱いコーヒーを薦めると、「いや〜、こんな奥でコーヒーご馳走になるなんて」
と、驚きと嬉しさが交錯したような笑顔で笑った・・・「うめぇなぁ・・・」

聞けば、集落移転した最奥地のH部落の出身だという
ここは、昔の軌道跡の終点で、これより上はトロッコと索道があって、ここで集材したという
H部落は、阿仁の根子から分村したマタギ集落で、
かつては37戸もあった・・・家族は6〜7人が当たり前で村人は200人以上もいたんだ

山間奥地の村だけに、皆家族みたいなもんで、
運動会や祭りの時は本当に楽しかった・・・と、当時を懐かしむように語ってくれた
▲古老が持っていた熊槍(タテ)
熊槍のことをマタギは、「タテ」という
クワ、イタヤ、ナラなどの木の柄に穂先を取り付けたもので、銃が普及してからも長く携帯されていた
昔は熊の穴狩りなどに利用された・・・大木の穴口から出るクマの月の輪を、シカリがタテで突いた

近代の熊槍は、阿仁の袋ナガサ・・・穂を外すと山刀として使用できるように改良されている
この古老が持っていたものは、旧熊槍で、熊を突き刺すための槍そのものだった
▲「熊槍」と書いた保護筒をとると、槍そのものの鋭い刃先が光る
この熊槍で熊を獲ったこともあるという
この奥地は、熊がやたら増えてしまって、一人で出掛けると家族が心配して大変だ
だから護身用に熊槍を持って歩き、できるだけ早く山を下りるようにしているという

「熊が多い」・・・まさかこの時、親子熊に遭遇するとは思ってもいなかった
昼食後、キノコ採りを再開したが・・・
▲右岸の平坦なブナ林で親熊に威嚇される
ナメコは、平坦なブナ林の谷地に多い
右岸の急崖の小沢を落差80mほど上り、ブナの巨木が林立する平坦な場所に出る
右手前方から小熊らしき鳴き声が聞こえた

ほどなく「「ブォーン、ブォーン・・・」という地鳴りのような重低音が森全体に響き渡る
我々の体全体に伝わるような物凄い重低音・・・
明らかに「ここを立ち去れ」というような威嚇の音に聞こえた

戸掘マタギに聞くと、オス熊は、鈴の音で逃げる
しかし、親子熊は、子熊を助けるために攻撃的になる
親熊は、鼻で音を出す・・・小熊や突然現れた敵に対して鼻で警告音を出すという

この時、熊撃退スプレーを腰に下げていなければ、冷静さを失っていただろう
幸い、私は熊撃退スプレーを腰に下げていた・・・右腰に下げていた武器を確認し、冷静?に観察・・・
二人は、警告音のする方向に対峙し、相手の動きを警戒する

前方のヤブは、全く揺れる気配はない・・・
その場を動かず、ヤブに伏したまま威嚇し続けている
襲う気配がないことを確認し、後ずさりしながら距離をとる・・・背後の急な沢を下って難を逃れる

後で考えると、平坦な高台に出る位置が、親子熊のいる位置から20〜30mほど離れていた
もし、水平距離で20〜30mほど小沢を上ってから高台に出たとすれば、危険極まりなかった
そう言う意味では、不幸中の幸いだった
▲またまたサワモダシ(ナラタケ)の山に遭遇
親熊に追い出され、やむなく本流に戻ってほどなく、またしても極上のサワモダシ(ナラタケ)に当たる
人が採取した跡や一番目が腐った痕跡もない
苔生した倒木一面を、幼菌から成菌まで覆い尽くすように生えている
サワモダシ(ナラタケ)の群生は、スケールが大きいだけに、その造形美には圧倒される
サワモダシ(ナラタケ)は、無造作に採取すると、後処理で泣かされる
ゴミや泥が付着しやすく、洗う際にボロボロに崩れやすいキノコだからだ
できるだけゴミが付着しないように丁寧に採る
▲一日目に採取したサワモダシ(ナラタケ)は、焚き火で湯がく
サワモダシ(ナラタケ)は痛みが早く、生の保存は×・・・初日の採取物は全て茹でることに

野生のキノコ採りは、いくら丁寧に採取しても、多少のゴミはつく
サワモダシ(ナラタケ)の場合は、水洗いを省略して、とにかくそのまま茹でる
いったん茹でると、ゴミとの選別が簡単で、傘も壊れにくくなる
サワモダシ(ナラタケ)は、茹でると丈夫なキノコに変身するのが最大の特徴

写真左から二つは、キノコを鍋一杯に入れ、水を少々入れて焚き火で湯がく
湯がくと、サワモダシ(ナラタケ)本体から水分が出て、容積は半分以下になる
これを写真右のようにザルに開け、渓流水で洗いゴミと選別する
家に帰ったら、缶詰に加工するか、小分けにして冷凍保存する

焚き火を囲み、きのこ鍋をメインにホットウィスキーを飲む・・・源流キノコの世界に酩酊
夜空を見上げると満月・・・月の光は、まるで谷の夜明けのように明るい
暗い森では、ツキヨタケが一際妖しい光を放っていることだろう
二日目も快晴・・・源流の谷を彷徨うキノコ狩り
欠席した仲間も羨むようなサワモダシ(ナラタケ)の山また山・・・
たった二人のパーティでは、担いで帰れる量を超えていた・・・(つづく)・・・
サワモダシ(ナラタケ)MEMO
秋田では、ナラタケ、ナラタケモドキ、ヤチヒロヒダタケを総称してサワモダシと呼んでいる
地方名・・・ボリボリ(北海道)、ヤブタケ(新潟)、アシナガ(神奈川など)、オリミキ、モダシなど
傘の表面は、白っぽい黄色から淡い黄褐色、褐色など多様で、
 中央部に細かい鱗片があり、周辺には放射状の条線がある

発生は春から秋、秋田では9月中旬〜10月上旬に多く発生し、稀に10月下旬にも発生する
 ブナ林などの広葉樹から針葉樹の倒木、切り株、枯れ幹、老木、埋もれ木などに群生する
傘のヌメリと歯切れ、舌触りともに良く、ほのかに甘い香りがある
至る所に生え、収穫量の多いキノコの代表格
生食は×、缶詰などに加工し保存する際は必ず茹でること
料理・・・味噌汁、鍋物、おろし和え、酢の物、煮物、麺類の具など、どんな料理にも合う

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