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雪国の源流にも「不都合な真実」?が忍び寄る・・・2007年4月下旬(パーティ6名)
2007年4月下旬の山釣り・・・源流部の異様な光景に、地球温暖化の恐怖
を描いたアル・ゴアのドキュメント「不都合な真実」を思い出してしまった。
いつもなら分厚い雪渓に埋もれているはずの源流部・魚止めの滝(上の写真)。
ところが、ここまでスノーブリッジは皆無だった。
源流部から雪が消えた・・・「今後10年間で雪は姿を消すでしょう」
不思議なことに尺岩魚が連続して釣れた。
早春の山釣りで、尺上が7本、うち33cmが4本も釣れるなんて記憶にない。
しかも、痩せた岩魚は皆無で、一様に丸々と太っていた。
岩魚釣りのピークが一ヶ月も早くなったような現実・・・
「最大の恐怖は・・・真実である」との言葉が現実に起きているような「錯覚」に陥ってしまった。
岩魚の活性は一ヶ月も早いが、山菜はいつもと変わらない。
源流部の森は、雪がないのに芽吹きが始まらず、草木は眠ったままだった。
このちくばくな早春の風景・・・どう説明したらいいのか、言葉が見つからない。
先割れタイプの渓流足袋とピーンソール
険しい谷や滑りやすい斜面を攀じ登る山釣りでは、足回りが最も大切である。
谷を歩く時は、いつも先割れタイプの渓流足袋を使用している。
この利点は、ピンソールとの相性が極めて良いこと。
渓流シューズやつま先が割れていないタイプの渓流足袋にピンソールを装着した場合、横ズレする懸念がある。
このピンソールは、開発者・渓友亭 竹濱武男氏の工夫の賜物
先割れ部分に横ズレを防止する鎖が一本追加されているのに注目。
これで完璧に横ズレは防止できる。
谷歩きでピンソールを使いたい方は、先割れタイプの渓流足袋を選択することをおススメしたい。
そして、ピンソールを注文する時は、その旨を伝え、特注することを忘れずに。
PIN-SOLE http://www.syoei-pro.co.jp/
左:谷筋にわずかに残る残雪と丸く膨らんだブナの花芽
右:ブナの芽吹きはまだ早く、いつもと変わらない杣道をゆく
中村会長は、地球温暖化の恐怖に気付かず、バカ長にピーンソールミニを付けて歩く
ほどなく下半身が蒸れ、休む度にバカ長を脱ぐ・・・それはそれは地獄の苦しみだった
芽吹く前のブナの林床には、イワウチワが桜吹雪のように咲いていた
しかし、この花はピークを過ぎ、日当りの良い斜面はほとんど散っていた
ということは、山菜が期待できるのでは・・・
▼ミヤマキケマン(毒)
美しい黄色の花をたくさんつけるが、全草有毒
▼マイズルソウの若葉
若葉は光沢があり、ツルが羽を広げたような形をしている。花期は6月頃。毒があるかどうかは不明。
▼イワウチワ
ブナ林では、この花が終わると本格的な山菜採りシーズンがやって来る。それだけに、いつもお世話になっている草花。
▼ヒトリシズカ
名前とは裏腹に、一人ではなく多くの仲間たちと、春の陽射しに向かって賑やかに踊っている。この花を見つけると、一緒に春の訪れを喜びたくなる。
▼ニリンソウ(食用種)
山菜シーズンに満開となる花の代表。残念ながら、まだ咲き始めたばかり。葉の形が毒草のトリカブトに似ているので誤食事故が絶えない。
▼スミレサイシン(食用種)
花は青紫色で、葉は花が終わる頃になると急に大きくなる。食用は、花が開く直前の新芽を利用するらしい。
▼ヤマワサビ(食用種)
岩魚の薬味に欠かせない草花で、いつもお世話になっている山菜の一つ
▼キクザキイチゲ
白花が多いが、紫色のイチゲが美しい。
▼エゾエンゴサク(食用種)
青紫色の花が美しいだけでなく、地上の全草が食べられる。昔は薬草として活躍した草花。
▼エンレイソウ(薬草)
古くから薬として愛用されていた薬草。「本草和名」などには「延齢草」「延命草」と記されている。
▼落葉から顔を出したシドケ(モミジガサ)
萌え出たばかりのシドケは、葉が開かず傘を閉じたような姿をしている。
本命のアイコとシドケは、芽を出したばかりで、ポツリ、ポツリとしか生えていなかった。
小沢を下りながら採取したシドケとアイコ
雪国の森の贈り物・・・この瑞々しさがたまらない
後は岩魚があれば、山釣り定食の食材は完璧だ
谷を覆いつくすように林立する渓畦林は、まだ芽吹かず
狭い谷間に春の陽射しがシャワーのように降り注ぐ
キラキラと輝く流れから、雪代に磨かれた美しい岩魚が顔を出す
全身黄金色に染まった黄金岩魚
黒いサビは、顔の一部に残っているものの、雪代晩期を思わせる美しさだ。
斑点は不鮮明だが、着色斑点を持つニッコウイワナだ。
早春は、岩魚の食いが鈍いのが一般的だ。
ところが、今年はやたら活性度が高い。
しかも、餌を盛んに食べているらしく胃袋はパンパンに膨れ上がっていた。
黒いサビもなく、雪代が終わりかけていることを告げるような個体。
頭部に鮮明な虫食い状の斑紋がある点に注目。
深い滝壺に潜んでいた岩魚
さすがに全身が黒っぽく、早春の岩魚らしい個体も釣れた。
偶然、鮮やかな落葉が彩りを添えてくれた・・・秋でもないのに
斑点が大きく鮮明で、雪代の洗礼を受けたような岩魚
側線の前後に橙色の着色斑点があり、頭部は虫食い状の紋様が鮮明な個体。
この沢の標準的な岩魚と言っていい。
初日は、尺物が2本。手前は33cmの岩魚だ。
まだ釣り時間はたっぷりあったが、一人3尾の岩魚を早々と釣り上げ、全員竿を納める。
まさか次の日も尺岩魚が4本、うち33cmの尺上が2本もあがるとは想像だにしていなかった。
丸々と太った魚体を見れば、新緑真っ盛りの頃を思わせる。
お陰で旬の岩魚の刺身を賞味することができた。
右のまな板は、ジャスト30cm・・・このぐらいのサイズなら刺身料理も楽しい。
いつもなら刺身料理は私の役目だが、久々に中村会長がさばく。
それほど、料理したくなる良型の岩魚がそろったとも言える。
岩魚の首に切れ目を入れ、皮を剥ぐ
次に三枚におろして、適当な長さに切れば完成。
剥いだ皮は、半分に切り、唐揚げ用に。頭と骨は焚き火の上に吊るし燻製にする。
清冽な流れから釣り上げた岩魚の刺身・・・釣り人にしか味わえない一品。
特に水温が低い雪代の頃は、身が締まって美味しい。
しかし、いつもの年なら痩せているのが一般的で、旬はまだ先のはず・・・
ところが、今年はコリコリ感が絶品で旬の岩魚そのものだった。
8寸から9寸クラスは、ブナの倒木の小枝を利用し塩焼きに。
今晩と明日の昼食用に一人2尾分を遠火でじっくり焼き上げる。
山の食材だけを利用した山釣り定食
いつも思うことだが、山の恵みを利用した素朴な料理に勝るものはない。
雪代で冷やしたビールがあれば申し分なし。
いつものテン場は、ブナの風倒木が多く、焚き火用の薪や三脚を作る素材に事欠かない。
明るいうちに山菜と岩魚料理を終え、源流酒場がオープン。
岩魚の刺身と空揚げ、山菜のおひたしをツマミに桃源郷の世界を彷徨う。
夜空には、月が煌々と渓流を照らす幻想的な雰囲気に・・・
ほろ酔い加減になると、焚き火は一層燃え上がる。
デジカメに三脚をセットし、2秒ほどの低速シャッターで撮る。
飯を炊く時間になると、焚き火の火力を強くしなければならない。
薪を動かすと、火花が舞い上がり、焚き火の風景は一層美しくなる。
こうした写真は、撮る技術だけでは決してなし得ない。
豪勢な焚き火の技術と一体となって初めて撮影できる。
残り少なくなった熱燗をつぎながら、尽きることのない山釣り談義に花が咲く。
世の中が豊かで便利になればなるほど、山ごもりの魅力は増していく。
ここには、お金も名誉も通用せず、車もテレビも携帯電話も使えない。
頼れるのは、仲間の経験と技術、そして寝食を共にした心の絆だけである。
だから、人間の思い通りにはいかない・・・苦しい時は、山の神様に祈るほか術がない。
焚き火で一晩燻した岩魚の燻製
渓流魚の燻製と言えば、釣った魚を持ち帰り、家でじっくりスモークするのが定番だ。
山では、塩をまぶし、焚き火でじっくり一晩燻すだけで簡単に調理できる保存食だ。
数泊に及ぶ山ごもりでは、行動食あるいは非常食として欠かせない一品。
燻した飴色の輝きと焚き火の香りは、人間が自然の中で暮らしていた遠い昔の味がする。
岩魚の頭と骨の燻製
ザルは直径30cm・・・焚き火で燻すと骨は縮むが、それでもザルからはみ出しているのが分かる。
均等に燻すには、尻ビレの付け根をヒモで吊るし、頭を下に向けるのがコツ。

家に持ち帰ったら、電子レンジで暖める。そのまま食べても美味しいが、
何と言っても、熱燗の中に入れて骨酒を楽しむのが一番だ。
その2は、いよいよ雪のない源流へ ・・・(続く)・・・

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