奥森吉その1 奥森吉その2 山釣り紀行TOP


ムキタケ、サワモダシ、クリタケ、ブナハリタケ、ツキヨタケ、ヤマブシタケ、チャナメツムタケ、シイタケ、ウスヒラタケ、マスタケ・・・
長年、奥森吉・様ノ沢源流に懸かる秘境の滝・九階の滝を撮影してみたいと念願していた
これまで何度も計画したが、いつもキノコが邪魔をして実現することがなかった
今年は、たまたま黄葉初期のメイン・サワモダシ(ナラタケ)が極端な不作だった
二日目、パーティ7名は、黄葉の赤水渓谷から九階の滝を一望できるビューポイントへと向かった
「クマゲラの森」と呼ばれる奥森吉のブナ・ミズナラ林は、キノコの宝庫
上の写真は、昨年撮影したサワモダシの大群落・・・昨年は飽きるほど採取した
その夢をもう一度と思ったのだが・・・
クマゲラ保護センターに駐車し、桃洞渓谷・赤水渓谷コースの遊歩道を歩く
新しくなった立川橋を渡った後、平坦な湿地帯の小沢沿いに南下する
神が宿る巨樹の森・・・緩斜面に点在する倒木には、キノコが山ほど生えているはずだったが・・・
昨年、群生していた倒木を探すも、キノコの気配がほとんどなし
サワモダシは、沢沿いの倒木に群生するキノコだが、9月下旬の集中豪雨の傷跡が至る所にあった
嫌な予感が走る・・・たまにキノコを見つけても、右の写真のとおりツキヨタケの群生ばかりが目につく
採取その1・・・ムキタケ
食用キノコを最初に見つけたのは、サワモダシではなく、ムキタケ
ムキタケは、紛らわしい毒キノコ・ツキヨタケが終わった晩秋キノコの代表だけに意外だった・・・
以降、倒木に腐りかけたサワモダシを見つけるも、群生した形跡は皆無・・・ポツリ、ポツリとしか生えていない
他の人に採られた形跡もない・・・これは明らかに不作を物語る序章だった
採取その2・・・サワモダシ(ナラタケ)
小沢沿いを上り、昨年、大量に採取した倒木を見つけるも、キノコの気配は全くなし
足早に小沢を上り詰め、水が枯れた急斜面の立枯木にやっとサワモダシを見つける
若い幼菌でもヒダや茎が黒ずみ、虫食いに近い・・・とても旬とは言い難い
上の写真二枚は、今年の9月下旬に当たった旬のサワモダシの群落
サワモダシ採りのシーズンは終わったが、当たったのはこの一回のみ
結果的に、今年のサワモダシは絶滅危惧種に等しいほど不作だった
それが何故なのかは不明

ただ言える事は、今年の天候は、酷暑と9月の残暑が続き
9月15日夜から過去最大級の豪雨が秋田を襲った
降り始めからの雨量が200mmを越し、観測地点10ヶ所で観測史上最大の24時間雨量を記録
県北を中心に甚大な被害をもたらした

極端な渇水か、それとも集中豪雨か・・・地球温暖化の不気味な進行がサワモダシ不作の一因であるように思う
しかし、全てのキノコが不作だったわけではない
マイタケやシイタケ、ウスヒラ、ヤマブシタケ、ブナハリなどは、平年並かそれ以上なのだが
ニカワチャワンタケ
ブナの倒木によく生えるニカワチャワンタケは、いつもと変わらない程度に生えていた
左の写真はゼラチン質で白っぽく旬だが、右の写真は古く褐色を帯びている
熱湯にとおし、酢の物などに利用される食用種らしいが、どうも食指がのびない
採取その3・・・キツネノチャブクロ(ホコリタケ)
左の写真は、内部の肉が白く旬のものだが、右の写真はやや成長し旬を過ぎている
二つに割ってみて、少しでも着色していれば食用には不適らしい
ブナ林ではよく見かけるキノコだが、いつもと変わらないくらい多く生えていた

サワモダシが不作なため、試しに採取してみた
皮をむいて、白い玉肉を煮込み料理などに・・・
クセのない風味で香りも良いとの評価だが、私には美味しいとは言い難いキノコだ
オツネンタケモドキ
ブナの倒木によく生えるキノコだが、見るからに固く食べられない
肉は皮質で、表面は灰色から暗褐色を帯びる
採取その4・・・クリタケ
ナラやクヌギ、クリなどの倒木、切り株、枯れ幹、埋もれ木に群生する
傘は赤褐色で、半球形・まんじゅう型、縁に白い繊維状りん片をつける
乾くとひび割れする特徴がある

無造作に採ると、傘が外れやすいので、なるべく傘には触らず柄の根元をつかんで採取する
クセもなく歯切れが良いのが特徴・・・味区分はAランクに位置づけられている
料理・・・繊維質が多いのでしっかり煮込むのがコツ、鍋物や煮物、佃煮、味噌汁
おかゆや炊き込みご飯、リゾットなど米料理に合う・・・ハンバーグ、グラタン、スパゲティなどに刻んで入れるといいらしい
ニガクリタケ(毒)
左はニガクリタケ幼菌、右は老菌(老菌は傘が黒ずみ、いかにも不味そうに見える)
中毒症状は、嘔吐、けいれん、意識不明・・・時には死に至る・・・要注意の毒キノコ
幼菌は、クリタケやナラタケと間違えて誤食するらしい
しかし、現場で確認すれば、傘は硫黄色で著しく小さく、柄が細いから、直感的に食指がのびない
図鑑で確認しなければ判別できないようなら、最初から手を出さないに限る
ヌメリツバタケモドキ
沢沿いのブナの風倒木や立枯木によく生えている・・・こまめに採取すれば、けっこうな量を採取できる
水分を多く含み、採るとグシャリと簡単に潰れ、食べたことのない素人にはいかにも不味そうに見える
だから採取しなかったが、熱を通すと意外なほど歯ざわりがよくなるらしい・・・ぜひ挑戦してみたいキノコの一つ
料理・・・三杯酢や和え物、お吸い物
センボンクズタケ
「センボンクズタケ」という名のとおり、朽ち木上に群がって生え美しい
右の幼菌は、白い柄が多数束になって生えている・・・市販のエノキタケに似ていかにも美味しそうに見える
採るキノコではないが、撮りたい衝動に駆られるキノコの一つ
採取その5・・・ブナハリタケ
谷の急斜面にブナの倒木が頭から突き刺さっていた
近付けば、甘味を帯びたキノコ特有の香りが漂う
倒木沿いに駆け上がり、根元を覗くと、ブナハリが窪みを埋め尽くすかのように生えていた
地元では、カノカ、ブナカノカと呼ばれ、サワモダシと並んで大量に採取できるキノコの一つ
サワモダシは不作だが、ブナハリは平年作・・・このちぐはぐな現象は、何故なのか、理解に苦しむ
ゴミが付着しないようにナイフで切り取る
料理・・・一度湯でこぼしてから料理すればきつい香りも和らぐ、油炒め、鍋物、天ぷらなど
▽不明のキノコ
淡い色と可愛らしい形は、和菓子を連想させ美しい
キノコ図鑑で調べたが、見つけることができず・・・知っている方はご一報を
▼カワラタケ ▼サルノコシカケ
ツキヨタケ(毒)の美
絵になる毒キノコの代表・ツキヨタケ・・・
ブナの立枯木に群がって生えるツキヨタケを見上げると、いかにも美味そうに見える
キノコの美・・・という観点から評価すれば、間違いなくAランクだろう

ただし、同じ枯木に生えるムキタケ、ヒラタケ、シイタケと間違えて中毒する例が最も多い毒キノコ
激しい腹痛に襲われ、死亡例もあるので注意!
見分け方は至って簡単・・・縦に割ると内部に黒いシミがあるのがツキヨタケ
ツキヨタケの美
ブナの立枯木・・・その中間部に巨大なコブがあるだけでも芸術的な枯木だ
そのコブの一面を覆い尽くすように生えたツキヨタケ・・・見事と言うほかない
真っ暗な夜、このツキヨタケが一斉に発光する写真を撮れればAランクの芸術写真になるだろう
採取その6・・・ヤマブシタケ
マイタケ採りに出掛けた際、ミズナラの巨木の幹に着生しているのをよく見掛ける
白い大きなボール状で良く目立つが、手が届かないほど高い幹に生えている場合が多い
このヤマブシタケは、手が届かず、ズームで撮るだけに終わった
ミズナラの遥か頭上の幹に着生したヤマブシタケ
幼菌は白く、いかにも美味そうに見える・・・やがて枯れたような茶色を帯びる
発生が少ないキノコだけに貴重品
さっと湯がいてから、刺身風にワサビ醤油や酢の物で食べると美味い
▽収穫1・・・チャナメツムタケ ▽収穫2・・・チャナメ(上)とクリタケ(下)
▽収穫3・・・ムキタケ ▽収穫4・・・サワモダシ(ナラタケ)
サワモダシが極端な不作とはいえ、宴会用のキノコ料理には十分過ぎるほど採取した
サワモダシ、ムキタケをたっぷり入れた芋の子汁(右の写真)
ブナハリは、油炒め・・・酒は、ビール、日本酒、冷酒、焼酎、泡盛、ウィスキーと何でもあり

7名と大人数の宴会がスタート
久々にキノコ料理に舌鼓を打ちながら酩酊してしまった
明日はどうする・・・キノコは期待できない
ならば、長年の夢だった様ノ沢源流に懸かる九階の滝コースを辿ることに
2007年秋・・・おまけキノコ画像
▼シイタケ
急斜面の尾根筋にあるミズナラ林は、集中豪雨の影響が少ない
ミズナラの立木に生えるマイタケや倒木に生えるシイタケは豊作だったように思う
上の写真は、標高600mほどのミズナラの倒木に生えたシイタケ・・・姿、形が美しい
背後の巨木は、苔生すミズナラのキノコ木
ツキヨタケには、柄がないので下から見ればすぐに判別できる
柄が硬く、ナイフで切り取るのがベターだろう
天然のシイタケは、意外なほどデカイものが多く、塩ふり焼きにすれば香りが増して絶品
料理・・・焼き物、炒め物、味噌汁、鍋物、煮込みなどどんな料理にも合う
▼ウスヒラタケ
ブナ林のキノコでは、春から秋にかけて年中お世話になっているキノコの一つ
今年はヒラタケに出会うことはなかったが、なぜかウスヒラの群生に遭遇する機会が多かった
特に大群生は、タケノコシーズンに多く、タケノコ汁に欠かせないキノコだ
上の写真は、10月上旬のウスヒラ・・・この時季になれば、大きな群落に出会うことは稀である
▼マスタケ
ミズナラの巨木の幹や根元に生えていたマスタケ
ブナの寿命は250〜300年ほどだが、ミズナラの寿命は、千年を超えるほど寿命が長い
それだけに生えるキノコは、マイタケを筆頭に、ヤマブシタケ、シイタケ、
ムキタケ、ヒラタケ、ヌメリスギタケ、ナラタケ、マスタケなど種類が実に多い
▼チシオタケ
大量に降り積もった落葉から顔を出した可愛らしいキノコ
表面は帯褐赤色で、放射状の条線がある、柄は傘と同色
虫の目線で、ローアングル撮影すれば、さらに美しく撮影できるだろう
ブナとミズナラの森は、キノコを採るだけでなく、デジカメで撮るのも実に楽しい
参考文献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「きのこ採りナビ図鑑」(大海淳著、大泉書店)
「キノコ狩りガイドブック」(伊沢正名、川嶋健市共著、永岡書店)
「キノコ採りの楽しみ」(横山竜夫ほか、永岡書店)
「釣り人のための山菜・きのこ」(菅原光二著、つり人社)

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