黄葉ときのこ2007-1 黄葉ときのこ2007-2 山釣り紀行TOP


ムキタケ、ヌメリスギタケ、サワモダシ、ナメコ、サンゴハリタケ、ヒメスッポンタケ、シロナメツムタケ、森林軌道跡、ピンソール補修用必須アイテム・・・
昨夜から降り続いていた雨も止み、清々しい二日目の朝
流木が横たわる小滝周辺はマイナスイオンが舞い、清流の音が実に心地良い
焚き火で暖をとりながら、朝一のコーヒーを飲む・・・これまた格別に美味い
昨日は、キノコを採り過ぎたので、今日はのんびり黄葉を満喫しながら沢を下ることに・・・
対岸の急斜面・・・ブナ、トチノキ、サワグルミ、ミズナラ、イタヤカエデの黄葉はピーク
頭から突き刺さった苔生す倒木周辺は、日当たり、風通しともに良く、
キノコが生えるには絶好のポイントであることが分かる
斜面を攀じ登ると、狙ったとおりムキタケが折り重なるように生えていた
最も美しいキノコの代表・ムキタケ
ほぼ半円形で、傘裏の黄白色が多数重なっている姿が特に美わしい
大型で大量に採取できるが、採り過ぎるとかさ張り重くなるのが欠点
ナメコがたくさん採れる時は、どうしても敬遠したくなるキノコでもある
山村では、毎年秋に塩蔵するキノコの一つ
冬に取り出して納豆汁に入れると最高に美味い
水気とヌメリがあるので、天ぷらやフライ、焼き物には向かないので注意
楽しい、楽しいキノコ狩り・・・
ムキタケは、柄の付け根からむしり取ると、生育環境が破壊されるので
ナイフやカッターで丁寧に切り取る

ナイフを使うと翌年からキノコが生えないとの声を聞くことがあるが・・・
山人は、マイタケ以外は刃物で採るのが常識である
イタヤカエデの黄葉
黄葉の森の中でも一際目立つ黄色はイタヤカエデ
トチノキの黄葉
天狗の葉が黄葉から枯葉色に七変化し美わしい
誰かが切り残していったヌメリスギタケ
このキノコは、どうも人気がないようだ
ナメコに似たヌメリのあるキノコで、傘や茎にささくれがある
ニカワチャワンタケ(ゴムタケモドキ)
白い樹肌に黒い苔模様がついたブナの黄葉
黄緑、黄色、赤茶色、紅色・・・曇天でも錦繍の森は美しい
この森に光が射し込めば、まさに山全体が燃えているような錯覚に陥るだろう
ナメコの成菌をやっと見つける
本命のナメコは、最盛期にほど遠い・・・今年は11月がピークのように思われる
ヌメリと透明感のある姿が美しい
もう一週間、二週間もすれば、倒木を埋め尽くすように生えるだろう
ナメコの大、大群生を撮ってみたいと思っているが、なかなか思うように当たらない
それだけに心惹かれるキノコの代表でもある
左:サワモダシの幼菌
右:採取したサワモダシ・・・このキノコが終わらないと、ナメコの最盛期はやってこない
森の斜面を歩くカモシカ
黄葉晩期のブナの森を借景に休憩
対岸を見ると、カモシカが我々をじっと見つめていた・・・ほどなく斜面をゆっくり駆け上がる
採取したキノコをひとまとめにして、ブナの根元にデポしておく・・・キノコ目でさらに渓を下る
沢に突き刺さったブナの倒木・・・足場が悪く、遠回りに崖上に出てムキタケを採取
ナメコがないなら、ムキタケを採るしかない
低木類から高木類へと重なるように錯綜した森・・・だからこそ立体的かつ多様性に富む色彩を放つ
やがて黄葉が散り、裸木になれば、キノコはさらに発見し易くなる
ただし、寒さは一段と加速し、みぞれや初雪に耐えねばならない
サワグルミとトチノキの林の中を蛇行して流れる光景は極めて珍しい
まるで天国の谷に迷い込んだような麗しさ・・・
その浅瀬から聖なる岩魚が降り積もった落葉に潜り込む
左奥に柴ちゃんがお地蔵さんのように立っている・・・どうもあの根元にキノコを発見したらしい
おおっ・・・立木の根元に見事なサワモダシが折り重なるように生えているではないか
しかも旬のまた旬・・・多様なキノコの造形美に何度息を呑んだことか
感嘆、感動、感激、驚嘆・・・生きる糧を山ほど授かる
サンゴハリタケ
その名のとおり、白い珊瑚の形をした食用キノコ
クセのない風味で、珊瑚の形を活かした酢の物やお吸い物に合う
落葉と清流
雪国のフィナーレを飾る渓谷美
ブナの立ち枯れ木に、生えていたヒメスッポンタケ
苔生す枯木の中から、まるで蛍光塗料を塗ったスッポンのように顔を出す
鮮やかな黄色と黒い網目状の隆起・・・熱帯性の菌らしいが、何とも奇妙な美を醸し出す不思議なキノコ
沢に倒れこんだ倒木周辺は日当たりが良く湿気に富む
その倒木を真っ白に染めるブナハリタケの群落・・・瑞々しさに誘われて少しだけ採取する
シロナメツムタケ
ブナ林の落葉上に発生、風味に癖がなく口当たりが良い。チャナメやキナメと似ているが、いずれも美味しいキノコ
▼森林軌道跡・・・枕木やレールが往時のまま残っているのは珍しい
この軌道は、昭和5年から昭和32年まで工事が続き、全長10km余りもあったという
その先に最奥隋道があるとのことだが、見つけることができなかった・・・残念!

森林軌道は、トロッコとも呼ばれ、木材を積んで沢に沿って山中を走っていた
この軌道のお陰で山も谷も賑わった時代があった
しかし、昭和40年代中頃には全て廃線となり、やがて地図からも消えた・・・その歴史と文化を探るのも楽しいことだろう
立木に折り重なるように生えたムキタケ
ここで長谷川副会長が持参していた柄の長い鎌が大活躍
右の写真のとおり、柄の先の鎌で切り落とす・・・私は、下に落ちたムキタケを拾うだけ
昼食後、下流の滝を目指して下る・・・
すぐにキノコを発見するも、「またムキタケか・・・」と呟く
それでも降り積もった落葉を取り除き、本能的に撮る、採る
今度は、倒木の下に生えたサワモダシ・・・
もう飽きるほど採ったはずだが、ブレーキは完全に壊れている・・・これぞ採集の遺伝子か
渓に倒れこんだブナの倒木・・・その両サイドに群がって生えていたムキタケ
美和ちゃんは、新調したナイフを取り出し採取・・・
だが、この直後、新品のナイフをどこかに失くしてしまった・・・

初心者は高価なナイフではなく、カッターナイフが安くて使い易いように思うのだが・・・
でも一級品のキノコには、一級品のナイフが似合うのは確か
倒木の横にも、下にも生えていたムキタケ
大型になると、中心が窪み漏斗型になる
ブナの倒木や河原に散ったイタヤカエデの黄葉
カエデ類は、姿、形が美しい
落葉が降り積もった天然水路・・・見事な自然の造形美
流れにブレーキをかける岩角は微妙な角度に磨かれ、実に滑らか
人工水路は、刻々と変化する水量にも係わらず、一切逆らうことのない天然水路の美には到底かなわない
帰路は、谷沿いを走っていた森林軌道跡を辿る・・・
レールの下に敷いた枕木と落葉を踏む音・・・山や谷、山村が最も賑わっていた時代の音に思いを馳せる

母なるブナの森に抱かれ、木を伐り、炭を焼き、森を育て
山菜・キノコを摘み、岩魚を釣り、獣を撃って暮らした桃源郷のような暮らし・・・
ひるがえって近代化の負の遺産・地球温暖化の恐怖が忍び寄る21世紀・・・
かつて自然の循環輪廻とともに暮らしていた時代にタイムスリップしてみたい・・・
現代の山釣りは、その夢をひたすら追い続ける行為なのかもしれない
その軌道跡に倒れこんだ倒木に、またまたキノコ発見
左は、ウスヒラタケとムキタケ、右はナメコの成菌
採るのも飽きたブナハリタケ
でも良いところを選び採取する山釣り馬鹿
黄葉の森を見上げては感嘆し、降り積もった谷を俯瞰しては心を潤す
キノコ狩りの楽しみは、現場で採取したキノコ料理を味わうことに尽きる
今夜も採取したキノコを冷水で洗い、焚き火でキノコ鍋をつくる
家で食べる鍋物は、キノコが脇役に過ぎないが、野外ではキノコが主役になる
焚き火を囲む源流酒場では、岩魚や山菜、キノコ料理が最高の食材である
今年も一年、本当にお世話になりました・・・ブナの森に感謝、山の神に感謝・・・
三日目の朝・・・雲一つない秋晴れ
見上げれば、トチノキの黄葉が青空に映え美しい輝きを放った
採取したキノコを広げていると・・・昨年出会ったK氏が沢を下ってきた
「これだば、ヘリコプターを頼まんと運べんな」・・・との冗談を飛ばす
確かに・・・帰りの荷の重さがプレッシャーとなって圧し掛かる

K氏曰く「昨年と同じ日に出会いましたね」
「いやいや、昨年より一週間遅いよ・・・ところで軌道のトンネルはどの辺にありますか」
「ヘアピンカーブのレールがあったでしょ・・・その先にあるよ」
そうだったのか・・・もう少し粘って探せばよかった・・・これは来年の宿題にとっておこう
旬のナメコとムキタケ
最近は、安くて豊富な栽培物がたくさん出回っているが、野生の山菜、キノコの価値はむしろうなぎ上り
自然のありがたさは、自然の恵みを体感することに尽きる

そのためには、多種多様な山菜、キノコの生える時期や場所、名前、採り方、料理、保存、生態・・・
さらには毒草、毒キノコに至るまで頭と体で覚えなければならない
山釣りは、現地調達の食材を採るだけでも、常に学ぶ行為が伴うから奥が深く楽しい
三日分の食料と酒を消費したにもかかわらず、キノコの重さはそれを遥かに上回っていた
見上げれば燃えるような黄葉、錦繍に染まった落葉がパラパラと青空を舞う
荷の重さに喘ぎながら登ると、倒木にまたしてもキノコ、木の子、キ・ノ・コ・・・
豊穣の森は、採っても採っても、次から次へと生えてくる魔法使いのようだ
山釣り2007は、早春の岩魚釣りと可憐な山野草に始まり、尺岩魚7本、みずみずしい山菜、頭の潰れた岩魚のたたり
夏・・・天国と地獄を味わった台風4号の恐怖と大岩魚、5日間彷徨った八幡平源流の山旅
秋・・・マイタケ採りに狂い、秘境の滝・九階の滝を拝み、ブナ林の黄葉とキノコ狩りで締めくくった
母なる森・ブナは、恵みの多さで群を抜いている
その森と谷を彷徨えば、新たなドラマが湯水の如く湧いてくる
これまでブナに目を奪われ、中腹の斜面に仁王立ちしているミズナラの存在を忘れかけていた
来年は、ミズナラの巨木とマイタケを解明してみたい
山と谷の学校・・・これほど感性を刺激し、学問を強いるフィールドはないように思う
そのフィールドは、どんな奥地に行っても先人たちの足跡が刻まれている
その埋もれた歴史と民俗に思いを馳せようものなら、無尽蔵の天然博物館に見えてくる
▼ピンソール補修用必須アイテム
急斜面を攀じ登るキノコ狩り、沢から沢へのハードな山釣りでピンソールを使用すると、
止め金具が壊れて外れるトラブルに見舞われる・・・補修用金具を注文する方法もあるが
どんな場所でも自由自在に補修できる簡便法を紹介しよう

今回、ピンソールにトラブルが多発・・・
そんな時、長谷川副会長が取り出した秘密兵器が左の写真・・・ステンレス線#18×2.5mとラジオペンチ
適当な長さに切って、穴と鎖をステンレス線で二重に巻けば応急処置は至って簡単かつ丈夫だ

右の写真は、ピンソール下左の金具を補修した写真
ピンソールの止め金具は、上が5ヶ所、下が3ヶ所・・・
そのどこが壊れても即座に修理できる必須アイテムだ・・・ぜひ試して欲しい
参考文献
「写真ものがたり 昭和の暮らし2 山村」(須藤功著、農文協)
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「樹木図鑑」(日本文芸社)

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