頭の潰れた岩魚谷へPart1 頭の潰れた岩魚谷へPart2 山釣り紀行TOP
新緑に染まった険谷・岩魚谷へ分け入ったが、連日、大雨にたたられた 二日目、天候が激変、晴れ間が見えた瞬間、幽谷に棲む怪魚が掛かった 頭がつぶれた岩魚・・・正面から見ると「人面魚」のようにも見える奇妙奇天烈な顔をしている 上顎が潰れているだけに、釣り上げるのは非常に難しい |
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狭い谷間に光が射し込むと、残雪も新緑も清冽な流れも、宝石のように輝く 斜面には、ゼンマイ、ウド、シドケ、ヤマワサビが、山のように生え、釣りどころではなかった 釣りに専念しないと、頭のつぶれた怪魚は釣れないのだが・・・ |
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本流の上流部で釣れた26cmのヤマメ この沢の奥でヤマメを釣ったのは初めてのこと 地球温暖化の影響なのか、人為的放流なのか・・・不明だが解せない出来事が続く 渓流魚の中でもヤマメは、特に美しく「渓流の女王」と呼ばれている 地球温暖化の猛威を考えると、「源流の女王」と呼ばれる日が迫っている不安を感じる |
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小雨が降る中、伐採跡地でワラビやヤマドリゼンマイを摘む 新緑に映えるムラサキヤシオツツジの花は満開だった |
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新緑の若葉の下を清冽な水が音を立てて流れ下る | |
杣道から俯瞰する沢は、しばらく穏やかな区間が続く 深い渓畦林と岩が点在する緩流帯は、渓流魚の宝庫 枝沢で朝食をとった後、荷を担いだまま竿を出す |
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流れのミオ筋に餌を流すと、いきなりガツンときた 明らかに岩魚と異なるアタリ 合わせると、抵抗がやたら大きい・・・水中で暴れる魚体がキラリと光った 手元に寄せてビックリ・・・パーマークが美しいヤマメだった |
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ヤマメは体高が高く、スマートなボディライン・・・流れの速い渓流を泳ぐのに適した美しい流線型をしている 背ビレと尾ビレの間にある脂ビレは、岩魚と同様、サケ・マスの仲間であることを示している ヤマメのトレードマークは、何と言っても大きなパーマークが鮮やかなこと 釣り人は、この美しく魅力的な渓流魚に魅入られ、ヤマメ専門の釣り師も少なくない かくして渓流釣りは、ヤマメ派、岩魚派に大きく分かれる 「ヤマメが最高」「いや岩魚が最高」・・・と言って一歩も譲らない ヤマメの残念な点は、放流魚との交雑が進み、原種ヤマメの区別がつかなくなっている点だ |
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サワグルミの森に囲まれたテン場 一帯には、ヤマワサビが群生している 釣りながらテン場予定地に着くと、先行していた釣り人が先ほど帰ったという |
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テン場をセットし、山菜と岩魚調達に出掛ける 落差の激しいゴルジュ帯に竿を出す・・・先行者が歩いた後だけにアタリが遠い 斜面を見上げれば、ウド、シドケ、アイコ、ホンナ・・・山菜モードに切り替える |
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渓畦林に包まれたゴルジュ帯は、小滝が連続し釜も大きい 対岸を見上げれば、新緑に染まったブナの森と白い帯となって流れ落ちる滝が実に美しい ほどなく大粒の雨が降ってきた |
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▼現地採取した山菜・・・左からウド、シドケ、シオデ、ホンナ | ▼ホンナのおひたし |
▼ワラビは、鍋にぎっしり詰め、重曹をふりかける。熱湯を注ぎ一晩おいてアクを抜く。源流で食べる里山の山菜も美味かった。 | ▼テン場下流で釣り上げた岩魚とヤマメ・・・生かしたままデポしておくと、旬の刺身を食べることができる。 |
▼渓流魚の料理・・・ヤマメ2尾(24cm、26cm)、岩魚3尾(9寸前後) 渓流魚をさばくのは、いつも私の役目 清流の傍らで、皮を剥ぎ、三枚におろして刺身をつくる 右の写真は、ヤマメ・・・岩魚より赤身が強いが、コリコリ感は岩魚の方が上だった ヤマメは、やっぱり塩焼きか |
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盛大な焚き火で盛りだくさんの山菜を湯がく 山菜最盛期ともなれば、種類別に洗い、湯がくのも大変だ |
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▼ヤマメの塩焼き 幅が広く、焼いても鮮やかなパーマークが残っている 思わずかぶりつきたくなるような一品だ ヤマメと岩魚・・・日本を代表する渓流魚を一度に賞味できるのは、最高に幸せなことだ 宴会が始まる頃、大雨となった・・・雨音を聞きながら飲み、眠った |
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▼ヤマワサビの群落 翌朝4時、雨音で眼が覚める 焚き火を焚き、コーヒーを飲みながら雨が止むのを待つ・・・幸い雨は止んだ 三脚にデジカメをセットし、散歩に出掛ける テン場周辺は、一面、ヤマワサビ畑が広がっている 特に小沢が流れ込む周辺は、見事なワサビ群落を形成している ハート形の葉は、雨にしっとりと濡れ、若葉の緑が輝いて見える |
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ワサビが群生している森の全景 斜面から流れ込む小沢周辺は、サワグルミの森 まるで「サワグルミ=ヤマワサビ」を証明しているような風景だ |
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▼苔生す原生林 沢の音だけが深い森に響き渡る 神が宿る森のような風景が果てることなく続いている こんな贅沢な庭園を毎日散歩できたら・・・と思うこと数知れず |
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▼苔生す巨樹・・・トチノキその1 特徴的な樹皮が見えないくらい苔に覆われ、コブも見える 樹皮は灰褐色で、波形の模様がある |
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▼苔生す巨樹・・・トチノキその2 全身に分厚い苔をまとい、胸毛が生えたようにシタ植物が生えている 沢周辺の森は、湿気に富む豊潤な空間であることを物語っている 苔生す森の静寂は、今にも熊が飛び出してきそうな不気味さを感じる |
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▼苔生す巨樹・・・ブナその1 巨樹の中でもブナは、新緑の若葉と姿・形が美しい |
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▼苔生す巨樹・・・ブナその2 美しい樹肌を覆う苔、体に巻きついたツル植物の緑葉 様々な植物たちと共生するブナの巨樹は、女神のような優しさを感じる ブナ、トチノキ、サワグルミ・・・水辺に広がる巨樹の森は 多様な生態系を育む要だ・・・ヤマメや岩魚が清流に踊る母なる森が広がっている |
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朝8時、いよいよ怪魚が棲む谷へ向かう 右の写真は、ブナの倒木に生えていたサワモダシ(ナラタケ)の幼菌 このキノコは、春と秋に生える・・・山ではタケノコ汁に欠かせないキノコでもある |
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杣道に仁王立ちしていたマザーツリー(母なるブナ) 日が当たらない樹肌は、根元から天辺まで分厚い苔に覆われている 神木・・・まさに神が宿る巨樹の風格を備えている 「どうか頭の潰れた岩魚に再会できますように・・・」と祈る |
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怪魚が棲む岩魚谷へのアプローチは、殊の外難しい 入り口は、断崖絶壁が連なり、ルートは一部に限られている 斜面はきつく、ザイルなしには突破できない 渓流足袋にピンソールを履き、布テープを肩に掛けて挑む やっとの思いで痩せ尾根に達しても、なかなか安全な降り口が見つからない 落差10mほどの崖は、シュリンゲに布テープをつないで下降する 幸いなことに、雨は止み、光りが狭い谷に降り注ぎ始めた |
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キラキラと輝く瀬から飛び出した岩魚 この魚体をじっくり見れば、特殊な遺伝子を持つ岩魚であることに気付く 体全体に散りばめられた白い斑点は大きく鮮明だ 丸々と太った魚体に比し、頭と尻尾が著しく小さい 特に口は、頭の潰れた岩魚と普通の岩魚の中間種のような顔をしているのが印象的だ |
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急な岩場を見上げれば、極上のゼンマイ、ゼンマイのオンパレード 長谷川副会長は、竿を出すこともなく、早くもゼンマイモードに突入 |
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私と小玉氏は、ひたすら頭の潰れた岩魚を追う だが、岩魚は釣れても怪魚は、なかなか針掛かりしない 一匹釣り上げるまでは、山菜の誘惑に負けるわけにはいかない |
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▼怪魚が棲む谷の岩魚 一般に岩魚は、口が大きく精悍な顔をしている しかし、この谷の岩魚は、著しく小さく可愛い顔をしているのが最大の特徴 無着色の斑点も大きく、北海道のエゾイワナを思わせる個体だ また、尾ビレが魚体に比べて著しく小さい・・・これは何を意味しているのだろうか |
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