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森吉山系 ノロ川ブナ林のキノコ狩り・・・2006年10月上旬、パーティ5名
2006年10月上旬、二ヶ月ぶりの山ごもりというのに
山の神様の機嫌は悪く、大雨は一向に止む気配がなかった。
結果的に二日間とも大雨と強い風に見舞われ、どの沢も流れは濁流と化した。
赤水渓谷〜様沢源流・九階の滝コースは断念せざるを得なかった。

ならば、雨に煙るブナ林を彷徨いキノコ狩りに徹するしかない。
ラッキーなことに、秋田ではお馴染みのキノコ・サワモダシ(ナラタケ)は最盛期だった。

苔生すブナの老木 朽ちたブナの立木に生えたブナハリタケの幼菌
大雨の中のキノコ狩り
キノコ狩りは、一般的に二三日前に雨が降った後がベスト
土日や連休で晴れならば、キノコより人が多くてこれまた×
今回は、×の三連休だったが、大雨が幸いし、キノコ狩りに訪れる人は稀だった。
しかも、近頃の雨で苔生す風倒木にキノコが群がって顔を出していた。
サワモダシ(ナラタケ)
秋田では、ナラタケあるいはナラタケモドキを総称してサワモダシという。
その名のとおり、沢沿いの風倒木に群生する。
ヌメリがあって美味、かつ大量に採取できることから最も人気の高いキノコの一つ。
左の写真のように、柄にツバがあればナラタケ、ツバがないのがナラタケモドキ。
沢は、濁流で横断不可。
右岸の沢沿いの斜面を歩きながらキノコを探す。
雨の日のキノコ狩りは辛いが、キノコの山に遭遇すれば辛さも忘れる。
雨のため、私のデジカメは使用不可。
やむなくアッチャンが持参したコニカの現場監督を借用
悪天候かつ慣れないデジカメでは、納得のいく写真は撮れなかった。残念!
シロハカワラタケ
遠くから見ると白っぽく、一見、ブナハリタケかと思う。
黒っぽいのがカワラタケ。その名のとおり、瓦を葺いたように折り重なって生える。
小沢沿いの湿った倒木に生えていたサワモダシの幼菌。
秋雨で一斉に発生し、あっという間に成菌になる。
丁寧に採らないと、後処理が大変で、崩れ易いので注意。
雨でも楽しい、楽しいキノコ狩り
手で株ごと採取するが、土がついた根元をナイフで切り取ると後処理が楽。
今回は、大雨で辛く、ナイフで切り取るのを省略してしまった。
お陰で、大量に採取したサワモダシの後処理に何時間も掛かってしまった。
サワモダシの幼菌アップ
写真のように同じ場所から多数群生し、大きな株を形成する。
昔からたくさん採れるキノコの代表で、味噌汁や鍋物の材料として馴染み深い。
湿った小沢沿いを歩けば、飽きるほど生えていた。
サワモダシの群生と記念撮影。
この辺一帯は、斜面の倒木から沢の倒木までビッシリ生えていた。
キノコの群れに、感激はクライマックスに達した。
苔生す倒木には、やっぱりキノコが良く似合う。
あっと言うのにザックが満杯に。
やっと見つけたナメコの成菌
一般的にナメコのシーズンは、10月中旬以降。
今年は全体的にキノコが遅れているだけに、10月初旬は滅多に出くわさない。
傘が雨に濡れ、強いヌメリが一層際立つ。
ナメコは、葉やゴミを取り除き、
一本、一本ナイフで丁寧に切り取る。
他のキノコと混ぜないよう、新しい袋に区別して入れる。
倒木を白く染めたブナハリタケをナイフで切り採る
雨の日は、特に水分を多く含んでいるので強く絞り込み
水分を取り除くことが採取のコツ。
どんなに絞り込んでも肉質が硬く、決して崩れないのがこのキノコの利点。
昼までに採取した数十キロのキノコを洗い選別する。
サワモダシは、大変崩れ易いキノコ。
買い物袋に入れて背負う時は空気を抜き、中で動かないようにしてザックに背負う。
水に入れる時は、塊を水の中に入れ、自然とほぐれるのを待つ。
慌ててかき回せば、キノコが崩れるので注意が必要。
サワモダシを採取したら、すぐに処理しないと色が変色する。
綺麗に洗って鍋一杯にサワモダシを入れ、水を少しだけ入れて煮る。
熱を加えると、キノコから水分が大量に出る。
沸騰したらすぐに火を止め、冷ましてから汁ごとフリーザーバッグに入れて保管する。
家に帰ってから、そのまま缶詰にするか、あるいは冷凍保存する。

一日目の夜は、キノコをたっぷり入れた芋の子汁で秋味を堪能。
ブナハリタケとベーコンの炒め物も久々の味。
やっぱりキノコ料理は、山で食べてこそ美味い。
二日目も雨・・・
降りしきるブナの森を歩き、昨日より一つ脇尾根を越えた小沢沿いにキノコを探す。
まだツキヨダケが健在だったが、早くもムキタケに出くわす。
ムキタケは、ツキヨダケが姿を消すと最盛期になる。
ブナの太い倒木に顔を出したブナハリタケ
キツネノチャブクロ(ホコリタケ)とサワモダシ(ナラタケ)
湿った林内の朽木に群生していたサワモダシ
一箇所発見すれば、すぐに袋一杯になる。
それだけにサワモダシ中毒になる。
傘が雨に濡れると、ナメコのようにヌメリが増す。
形はナメコに劣るが、汁物に入れても、ヌメリがあってとにかく美味い。
分厚い苔に覆われた倒木に群れをなして顔を出したサワモダシ。
生えている場所を見れば、湿り気を好むキノコであることがすぐに分かる。
サワモダシは、傘が開くと中央部がやや窪む。
また中央部に暗色の燐片が出るのが特徴。
沢沿いに倒れこんだブナの倒木に上から下まで、キノコがびっしり生えていた。
こんな場面に遭遇すれば、雨なんか忘れてしまうほど夢中になる。
ヌメリ輝くナメコの幼菌
小沢の源流ナメ滝下流で、またもキノコに出くわす。
ナメを登り、尾根を取り付いて別の沢へ向かう。
尾根歩きも油断できない。
なんと、苔生す風倒木にびっしり生えたサワモダシに出くわす。
薮こぎで悪戦苦闘している最中、こうしたキノコの山に遭遇すれば、
心が舞い上がるほど感激する。
そして豊穣の森に感謝の念が湧き上がってくる。
みんなで一斉に採取するが、採っても採ってもなかなか減らない。
こんなに凄いキノコの山も珍しい。
偶然、登山道に出る。右は、見事なブナのコブ。
ブナが林立する道を快適に歩き、最も低い右手の湿地に進路をとる。
狙ったとおり、湿地に横たわる倒木にキノコ、キノコの連続・・・
極上のサワモダシ
傘は、半球形の後、平に開く。
黄土色から赤褐色など多様だが、写真のような淡い黄土色が最も旬で美しい。
ブナハリタケの群生
秋田では、ブナカノカと呼ばれ、一箇所見つけると大量に採取できるキノコの一つ。
独特の強い香りと肉のような食感があり、油炒めや煮付けに良く利用される。
手でむしり取ると、後処理が大変なので、
面倒がらずナイフで丁寧に切り取る。
林内一面を覆うように生えていたサワモダシに思わず笑みがこぼれる。
それにしても、サワモダシの群生には驚かされる。
進むたびに、これでもか、これでもか、と言わんばかりに生えていた。
湿った地面に半分埋もれた朽木に、折り重なるように生えていた。
草むらで見失うこともあるので、一箇所見つけたら
周囲の草をはらいながら探すと大当たりすることがある。

二日目は、昨日の倍以上も採取してしまった。
キノコで膨れ上がったザックを背にテン場に戻る。
それにしても水分を含んだキノコは重い。
お陰で、後処理に5人掛かりで三時間も要した。
採るのは楽しいが、採り過ぎると、後処理、保存に泣かされる。
ただし、山の恵みを粗末にしないために、後処理は手を抜かないことが肝心。
豊穣の森、クマゲラの森・・・森吉のブナ林
やや黄色く色付き始めたが、もう二週間もすれば錦秋の森に変身する。
やがて、ブナの風倒木には、ナメコとムキタケが顔を出し始める。
黄葉とキノコ狩りのベストシーズンがやってくる。
三日目、やっと雨があがり森の中に秋日が射してきた。
清々しい朝の陽気に誘われ、小玉さんと桃洞滝まで早朝散策に出掛ける。
野生鳥獣センターから桃洞滝まで4.2km、往復8.4km。
昨日までの雨と強風で降り積もった落葉
落葉を踏み締めながら、サクッ、サクッという心地良い音を立てながら歩くのは楽しい。
遊歩道沿いは、平坦で見事なブナが林立している。
ほどなく、キノコ狩りの人たちが大挙押し寄せてきた。
薮の中から、おばさんたちの声が聞こえてきた。
「山さ行ぐどなれば、嬉しぐで、寝でられにゃな〜
アレ〜、皆採れらだ跡だでぇ〜」
そう、キノコ狩りは雨の日に来るべし。
岩魚もそうだが、採れないキノコ日和・・・とは、このことか。
色付き始めた桃洞渓谷
雨が降れば出水も早いが、引くのも早い。
これはナメの岩盤が続くノロ川の特徴。
汗ばむ頃、森吉の女神・桃洞滝に到着。
いつみても老若男女を魅了する自然の造形美に圧倒される。
女性の○○に似ていることから、子宝の滝、安産の滝として親しまれている。
右手の岩の窪みを伝って、滝上に出ることができるが、
水量が多いと滑りやすいので注意が必要だ。
ブナの実は不作だが、山ぶどうは豊作。
大木にからみつき、おおいかぶさるようにして伸びる。
大きな葉が紅葉すると、ブドウの表面に白い粉がつく。
生で食べると、強い酸味と甘さがあり、野生ブドウならではの味がする。
たくさん採取したらジャムや果実酒に。
帰路、ノロ川牧場に乳牛と赤ベコ(牛)がのんびり遊んでいた。
かつて一帯は、広大なブナ原生林に覆われ、白神山地と並びクマゲラの森だった。
牧場は、その原生林を伐採して切り開かれ、夏山冬里方式の赤牛放牧地となった。
当初は600頭以上の牛が放牧され、赤牛生産の拠点となったが、
牛肉の自由化に伴い、激減・・・そして日本ジャンボリーの開催・・・

こうした歴史的経緯を考えると、貴重な森を失った現実が悔やまれる。
デジカメのファインダーを覗くと、赤牛の向こうに、
クマゲラが舞うブナの巨木たちが浮かんでは消えた。

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