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奥森吉・・・木の実とキノコ、アカゲラ、黄葉、クマゲラの森、赤水渓谷Part1
 10月上旬、ブナの森を流れるノロ川源流部・赤水渓谷に向かった。当初は、赤水渓谷を遡行し、尾根に出てキノコ狩りを楽しむ予定だったが、大雨に見舞われ断念。晴れた二日目、天国のナメ床を歩き、兎滝へ。3年前、遡行した桃洞渓谷も見事だったが、赤水渓谷は、また趣の違った素晴らしい渓谷だった。

 昨日の雨でやや増水した流れは、ナメと小滝が延々と続く岩盤を滑るように流れ、その聖なるな水を蹴って歩く快感は最高・・・桃洞渓谷との違いは、谷沿いが意外とブナの森に囲まれ、岩魚ウォッチングも楽しむことができる点だ。贅沢にも桃洞渓谷〜赤水渓谷を一周する沢登りパーティとも出会った。(写真:赤水渓谷のシンボル・兎滝)
 黄葉の峰走りが始まった森吉山麓・・・今年の黄葉は、例年より1週間から10日ほど遅れているようだ。

 第一日目・・・大雨、濁流で最悪。赤水渓谷の遡行を諦め、黒石川沿いを上りながらキノコ狩りを楽しむ?・・・というよりは、苦しむと言った方が正しい。いかんせん、雨は一向にやまず、外からは雨、内からは汗でビショビショ。おまけにカメラを出すチャンスもゼロだった。何とか木の実とキノコ鍋の具をゲット。テン場は沢ではなく、親子ふれあいオートキャンプ場へ逃げ込む。二日間申し込んだが、オートキャンプ場が何と無料だった。
ブナの森の恵み・・・木の実とキノコ
 アケビ、ツノハシバミ、ブナの実

 アケビ・・・紫色に熟れた皮を縦に割って、青白い果肉を丸ごと一気に口の中へ。種は吐き出すのが一般的だが、ブドウと同じで種ごと食べた方が美味しい。さしずめ日本の森のバナナといった存在。皮は独特の苦味があり、秋田では食べる習慣はないが、砂糖と味噌を練り合わせて皮に詰めて焼く田楽や皮をスライスして油で炒めても美味いらしい。
 ブナの実・・・秋になるとイガ状の殻が4つに割れ、中の実が二つこぼれ落ちる。今年はブナの実が豊作だっただけに幾らでも拾うことができる。実は長径2cmほどで、形は蕎麦の実に似ている。生で食べても美味いが、一般的に炒って食べる。実が小さく、面倒なのが欠点。実を粉にしてクッキーや団子にして調理すると美味いらしい。
 ツノハシバミ・・・低木に3〜4個の実が角のような奇妙な形(左の写真)をした実をつける。皮を剥くと、右のミニ栗のような実が入っている。フライパンで焼き、硬い殻を割り、爪楊枝でほじくりながら、白い種子を食べる。栗の味に似て、なかなか美味い。山に入ったら、獣と同じ目線で、アケビやヤマブドウ、イチゴ、栗、ブナの実、ツノハシバミなどを採取して食べるのもまた楽しい。
 キツネノチャブクロ(ホコリタケ)・・・内部が白色の若い菌だけを食用とする。やたら群生していたが、ちょっと食指がのびす写真を撮るだけにとどめた。表皮をむいて、フライや串焼き、煮物が美味しいらしい。
 ナラタケ、ナメコの幼菌少々・・・キノコ鍋の具として利用。現地採取したナラタケ、ナメコに加えて、山内村産芋の子、豚肉、豆腐、油揚げ、糸コン、ネギ、セリを入れ、味噌味で調理。山ごもりと称する割には、オートキャンプ場で、かつ鍋の具が贅沢すぎた。反省、反省・・・。
 ブナハリタケ・・・ベーコン&ブナハリ&ニラの炒め物で調理。翌日は、豚肉&ブナハリで炒める。ブナの森で、9月から10月上旬に大量に採取できるだけに料理のバリエーションを工夫したい。天ぷら、佃煮、煮付け、炊き込みご飯、きんぴらなど。香りが強く、鍋に入れる時は少量に抑えることがポイント。
アカゲラ
 左:オオアカゲラ 右:アカゲラ

 二日目の朝、願ってもない秋晴れ。外に出ると、頭上から乾いた音でドラミングする音が聞こえてきた。最初は、どちらもアカゲラだと思っていたが三村画伯から指摘され、左はオオアカゲラだという。オオアカゲラは、確かに胸部の脇に黒い筋状の線がある。右のアカゲラには、黒い線がない。オオアカゲラは、アカゲラよりも一回り大きく、生息数も少ないという。12倍ズームで撮るには、これがやっと。やはり野鳥ともなれば、12倍ズームじゃ役不足だ。
ブナの黄葉散策
 左:朝陽にモヤが立ち込め、ブナの木立が妖しいまでに輝く。
 右:300年ほどのブナが根ごと倒れ、暗い森に光が射し込んでいた。3年もすれば、ナメコ、ムキタケ、ブナハリなど美味しいキノコが生えてくることだろう。自然界では、死は新たな生を生み無駄なものが一つもない。
 ブナの黄葉・・・黄葉とは言っても、完全な黄色ではなく、やや褐色がかっている。それだけに、光の具合で千変万化の色彩を放つ。
 ブナの黄葉アップ・・・黄金色の黄葉は、澄み切った青空によく映え、絶好のシャッターチャンスを提供してくれる。カメラ好きには、たまらないシーズンだ。
 ブナの黄葉初期・・・ブナの黄葉は、緑から黄色、褐色へと徐々に変化していく。刻々と変化する森の色彩を撮るのも黄葉の季節の楽しさだと思う。また、年ごとに色合いが微妙に異なるだけに何度撮影しても飽きない。しかし、何度も通わない限り、黄葉のピークに遭遇するのは難しい。
 青空に褐色じみた黄葉がくっきりと浮かぶ。こんなシーンを撮るには、手振れ補正付きの12倍ズームが大活躍してくれる。もちろん、落ち葉の下に遊ぶイワナを撮影するにも必須。
 幹に着生した苔の不思議な紋様
野生鳥獣センター〜クマゲラの森〜桃洞・赤水渓谷分岐
 かつては、クマゲラ保護センターが桃洞・赤水渓谷への起点だった。ところが不法駐車が多く、クマゲラへの影響も考慮し、現在、通行止めとなっていた。昨年、オープンした環境省の鳥獣保護センターは、広い駐車場が完備されているので、ここを起点にすると何かと便利だ。
 立川を横断する飛び石。

 森吉山の北東麓を「奥森吉」、南東麓を「奥阿仁」と呼ぶ。ノロ川の源流部に広がるクマゲラの森や桃洞渓谷、赤水渓谷は「奥森吉」に位置している。ブナの森と言えば、世界自然遺産・白神山地が有名だが、気軽にブナの森を散策できる点では、奥森吉が優れている。

 第12回日本ジャンボリーが開催されただけに散策路や青少年野外活動センター、キャンプ場、クマゲラ保護センター、野生鳥獣センターなど施設も充実している。親子で自然観察を楽しむには、最適のフィールドだと思う。
 黒石川沿いのブナ林と散策路。早朝からキノコ狩りを楽しむ人たちが続々と押し寄せ、散策路周辺はほとんど採られた後だった。早生ナメコも出ているらしく、ブナの倒木に採取した痕跡もみられた。
 黒石川に懸かる橋。今年の大雪のせいだろうか、大きく歪んでいた。ここより奥は、「クマゲラの森」の雰囲気が満点だ。
 クマゲラの森・・・本州のクマゲラは、白神山地と森吉山の二つで安定的に繁殖していることが確認されている。昭和50年10月、野鳥博士こと泉祐一さんがクマゲラのオスの撮影に成功。昭和53年6月、秋田県野鳥の会がこの森で初めて繁殖を確認。以来、森吉山一帯が国設の鳥獣保護区に指定された。さらに1213haの特別保護区が指定され、国内でも有数のブナ林が残った。それだけに一見の価値がある。
 クマゲラが営巣できる条件は、胸直径60cm以上の垂直な巨木と枯れ木や老齢木が混じったブナの極相林が必要とされる。この森を歩けば、その条件を満たしていることが分かる。
 左:アカゲラ 右:クマゲラ(野生鳥獣センター)・・・あらかじめ鳥獣センターで勉強してからクマゲラの森を歩けば、楽しさも倍増する。
 例えばクマゲラは、どのようにして幹に穴をあけ、木の中にいる幼虫を食べているのだろうか・・・「クマゲラは木に穴をほるとき、大きな頭をハンマーのように働かせ、先がとがった堅い口ばしをノミのように使います。舌は頭の骨をぐるっとまわってついていて、普通の鳥の4〜5倍も長くのばすことができます。舌先には、かぎ状の棘があり、木の中にいる・・・幼虫などを引っ掛けて取り出して食べます」・・・と解説されている。

 「森吉山の自然」をテーマにした壁画・・・センターに掲げられた野生鳥獣の楽園・ブナの森の巨大な壁画は、なかなかの迫力がある。いったい誰が描いたのだろうか・・・パンフレットを見ると、描いたのは田沢湖町在住の三村治男画伯とある。

 右の写真は、2002年3月、ザッコシンポで司会を務めた三村画伯。彼とは、ブラックバスの駆除で知り合った仲だが、彼の作品をじっくり見たことがなかった。イワナ釣りが好きな画伯だけに、黄葉に染まった豊穣の森に歓喜する野生鳥獣の姿が生き生きと描かれている。

 (この壁画の写真は、三村画伯の承諾を得て掲載しています)
 かつて、白神でクマゲラのドラミングを聞いたことがある。その音は、まるでハンマーとノミで連射するかのごとくに叩く凄い音だった。大きな口ばしに小さな頭を考えれば、よく頭が壊れないものだと感心するほど凄まじい。
 ヤチダモ・・・樹皮は灰白色で縦に独特の皺がある。山地の谷川沿いや湿地に生える。材はかたく、加工しやすい。
 左:野生鳥獣センターから約3kmほどで桃洞渓谷と赤水渓谷の分岐点に着く。右に進めば、桃洞渓谷、左の沢へ降り、対岸の散策道を0.5kmほど進めば赤水渓谷入渓点に辿り着く。

 右:赤水渓谷に群れていた岩魚(禁漁区につき注意)
赤水渓谷その1
 甌穴ノ滝・・・入渓点から兎滝まで約3kmも一枚岩盤のナメ床、ナメ滝、大小の甌穴が続く。ナメとは、川床一面が岩盤になっていて、その上を水の流れが滑るように走っている状態をいう。ナメ床とは、ナメを走らせている岩盤のこと。沢歩きの経験がある人なら、ナメが連続する渓の素晴らしさは理解できるだろう。それが3kmも続く水の回廊は、まさに天国、まだ黄葉は始まったばかりだが、ピークになれば、感激はクライマックスに達するだろう。
 この景観は、桃洞渓谷では見られない。一般的にナメの一枚岩盤が続く渓は、両岸もスラブ壁で、広葉樹の森は見られない。しかも岩魚の餌も少なく、走る魚影も見えないものだ。ところが、赤水渓谷は、しばしば片側に鬱そうとしたブナの森が点在し、小型ながら岩魚の魚影も確認できる。不思議な魅力を秘めた渓谷といえる。
 左の写真は、スラブ壁が続く区間。右の写真は、ブナの森に包まれたナメ床。山水画を好む日本人の原風景のような景観・・・まさに「スロー風土」と呼びたくなるような森と水の回廊が続いている。
 右手からヤスミバノ沢が合流する地点。ナメの渓とは思えないほど深い広葉樹の森に包まれている。枝沢に入ってキノコを探したが、全く気配がないのはどうしたことか・・・斜面がきつくキノコが生える条件としては厳しい感じがした。
 色付き始めた斜面を眺めながら、U字状渓谷の水を蹴って歩く。何度も感嘆の声があがった。
 ハウチワカエデの紅葉・・・葉は切れ込みが少なく、カエデの仲間では最も大きい。紅葉も鮮やかで一際目立つ。
 赤水渓谷の湧水・・・右手の岩穴から湧水が流れ、岩盤は苔に覆われている。周囲には、清冽な水を好むダイモンジソウが咲き乱れていた。
 流れが急に圧縮された大釜、その斜面の岩場は滑りやすいので注意が必要。

 赤水沢コース・・・野生鳥獣センター-クマゲラの森-桃洞・赤水分岐-甌穴の滝-ヤスミバの沢-湧水-赤水分岐-兎滝(右の沢)。二股出合い左の沢は、赤水峠-柳沢林道-玉川温泉へ。

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