ゼンマイ谷1 ゼンマイ谷2 ゼンマイ谷3 山釣りの世界TOP

 右手の平坦な部分は広く、苔蒸す見事なブナが林立している。ブナとブナとの間隔も広く、穏やかな空間は、ブナの森のテン場として一級品。ぜひ一度泊まってみたい
 クロサンショウウオの卵のう・・・図鑑によると「卵のうは特徴のある白いアケビ形」と記されているので間違いないだろう。ここで早くも午後3時。これまで竿を出さず、ただカメラに専念していた。柴ちゃん以外は、山菜採りが忙しく誰も竿を出そうとしない。これでは、怪魚など釣れそうもない。急遽、釣りに参加する。キープ岩魚はもう十分なだけに、全てリリースしながら源流を目指す。
奇形魚・無斑 岩魚・・・
 釣り上げた時、すぐに妙な岩魚だと思った。岩魚というよりは、直感的にニジマスのような感じを受けた。まさか、下流の隔絶された最奥の谷にニジマスなど生息するはずもない。よく観ると、斑点が全くない無斑 岩魚だった。(柴ちゃん撮影。前回、EOSのレンズを岩にぶつけてしまい、レンズに付いているAUTO、マニュアルの切り替えボタンが吹っ飛んでしまった。これが原因で作動しなくなってしまった。残念!)
 背中の黒い斑紋は、流れ紋岩魚のように乱れている。体に薄いパーマークも残っていた。それにしても奇怪な谷だ。頭のつぶれた岩魚やその中間種的な岩魚がいるだけでも不思議なのに、無斑 岩魚まで生息している。隔絶された谷の謎は深まるばかりだ。
 足早に魚止めを目指す。源流上二又では、私が右の沢に入る。写真の花は、ショウジョウバカマ。かつて、この沢で初めて頭のつぶれた岩魚を釣った懐かしの場所だ。慎重に釣り進みたかったが、時間もなく大場所のみ狙う。釣れてはくるものの、全て正常な岩魚ばかり・・・リリースを繰り返す。
 ほどなくスノーブリッジの連続となる。この奥で強いアタリがあったが、餌をとられてしまった。もしかしてあの怪魚では・・・。慎重に第二投目。だが掛かってきたのは、8寸ほどの平凡な岩魚だった。ここで時間切れ。やむなく竿を畳む。わずか1時間弱で、あの怪魚が釣れるはずもない。怪魚に再会できなかった無念さから、今度は、じっくり釣り上ってみたいとの衝動に駆られてしまった。
 生かしたまま、持ち歩いてくれた柴ちゃんのお陰で、キープした岩魚は全て生きていた。さっそくイケスに放して撮影開始。見ればお分かりのとおり、白い斑点が大きく鮮明な岩魚ばかりだ。体色も橙色から緑っぽい感じが強い。上顎も中間種と思われる小さな個体が多かった。キープした岩魚は合計10匹だったが、うち8匹はメスだった。なぜ、メスに偏った個体だけ釣れたのか・・・これも不明。
 通常、源流にはメスがとどまり、体の大きいオスは下流に下ると言われる。散乱間近になると、オスは遡上を開始しペアを組んで産卵する。しかし、このゼンマイ谷は、3つの滝によって下流との交流を断絶されている。もしかして、それが原因でオスの個体数が極端に少ないのだろうか。
 ちなみに「頭のつぶれた怪魚」の写真を参考までに掲示。これは二年前に釣り上げたもの。上顎が切り取られたようになくなっている。斑点はいずれも鮮明で大きい。体色は緑っぽく、背中の斑点も丸く乱れていない。これは、顔を除けば、ゼンマイ谷に生息する普通の岩魚と同じであることが分かる。
 北海道のルアーマンから送られてきた「頭のつぶれた岩魚」・・・道南の小河川で釣り上げたとのこと。一見、ゼンマイ谷に棲む怪魚とほとんど同じ顔をしているように見える。しかしよく見ると、ゼンマイ谷の怪魚は、上顎が完璧につぶれ、下顎まで一気に巻き込んでいる。これに比して、上の奇形魚は、つぶれ方が不完全で上顎が1/3程度残っている。同じ奇形魚とは言え、隔絶された源流部で特異な遺伝子が固定した怪魚と、突然変異による奇形魚とは明らかに異なるように思う。私が奇形魚ではなく「怪魚」と呼ぶのもこの点にこだわるからだ。
 ゼンマイ谷の感激を満喫し、乾杯。沢の難所は、二年前にとったルートを下ったが冷や汗ものだった。残置ザイルに布テープを足して絶壁を降りたが、中間部に支えとなる木も草もなくなり滑り台のようになっていた。下流で布テープを引きながら支え、全員無事に下降した。終わってみれば、怪魚に再会できなかったものの、充実感が全身を貫くような最高の山釣りだった。
 焚き火でじっくり焼いた塩焼き岩魚。ブナの香り、焚き火の香りが岩魚の骨まで染み込み、絶品だ。
三日目の朝、深い森にやっと光が射し込む
 翌朝、暗い森に朝陽が射し込んだ。5月は天候不順が続いただけに、久しぶりの快晴に歓喜。のんびりカメラを担いで森の中を散歩する。
 苔生す清流
 光に輝く、トチの木の新緑。
 朝飯前に、柴ちゃんが釣り上げた岩魚を撮る。この個体は、標準的な岩魚のオス。なかなか精悍な顔をしているだけに、ゼンマイ谷の可愛い顔をした岩魚との乖離がやけに気になる。
 今回のメンバー。左から長谷川副会長、アッちゃん、私、金光コック長、柴田シェフ。楽しかったねぇ・・・これも仲間がいればこそだね。しかし、こんな馬鹿な遊びを、よくぞ20年間も休まず、続けてきたもんだね。源流には、人間を狂わす魔物が棲んでいるのだろうか・・・。
 テン場を綺麗に片付け、11時出発。右は、ハートの形をした葉が三枚のカタバミ。白花は終わっていたが、何となく幸せをもらえそうな葉の形が美しい。だが、葉を噛むと意外に酸っぱい味がする。疲れたときに噛むと元気が出る。

スミレサイシン

オオバキスミレ
 左の写真はマムシグサ。名前もそうだが気味悪い印象を受ける。もちろん毒草。これを見た後、まさかの衝撃的なシーンに出会うとは・・・
衝撃のスクープ写真
 ヤマカガシが自分の口より遙かに大きなアズマヒキガエルを丸呑みする瞬間のどアップ。私は大の蛇嫌いだから、ここまで近寄っては撮れない。これは柴ちゃんが撮影したもの。それにしても生々しい迫力がある。呑み込む顔は、まるでコブラのようでもある。生と死の食物連鎖・・・その凄まじい現場を目の当たりにすると、人間もこの食物連鎖の環の中にいることを思い出す。
 これは私が撮影した画像。柴ちゃんが、しつこくヤマカガシに近づき、撮影を繰り返す。すると、ヤマカガシは、危険を感じたらしく、獲物を吐き出して逃げてしまった。吐き出されたヒキガエルは、ピクリとも動かず、即死だった。それにしても大きなヤマカガシだ。全長1〜1.2m、最大1.5mと言われるが、その最大値を上回るほど大きかった。

 1984年、愛知県で中学生がこのヘビにかまれてなくなって以来,毒蛇として危険視されるようになった。体に赤と黒帯の斑紋が交互に並ぶ。この色合いにまず滅法弱い。しかも猛毒を持つ。性質は意外におとなしく、口の奥に毒牙があるため、めったに咬まれて毒を注入されるおそれはないという。
 これは獲物を吐き出した後、逃げているシーンのワンカット。この直後、生首をもたげて威嚇する動作も見せた。距離をとると、吐き出した獲物を探し始めた。ところが、ヤマカガシは予期せぬ人間の出現でよほどショックを受けたらしく、落とした場所の記憶をすっかり失っていた。なかなか見つけることができず、ウロウロする姿は、蛇嫌いの私にも、滑稽に見えた。強そうに見える毒蛇だが、意外な弱点があるものだ。
おまけ:口直し、目直しの画像
 衝撃画像は、蛇嫌い、カエル嫌いの人には、見るだけでも耐え難いと思う。ちなみに私は蛇嫌い、アッちゃんは大のカエル嫌い。二枚のおまけ画像でご勘弁を・・・。でも、自然は美しいだけではない。時に死を意識する瞬間に何度も遭遇する。だから人間は、巨大な自然の中では、できるだけ群れて生きるしかない。野生のサルと同じように・・・。

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