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 三日間お世話になったテン場を綺麗に片付け記念撮影。左から小玉氏、私、長谷川副会長、柴ちゃん。「お世話になりました」とお礼を述べてマタギ小屋跡を出発。
 三日間で食料はかなり減ったはずたが、食べ残しのキノコを背負うと肩に食い込む重さだった。舌切りスズメもきっと笑っていたに違いない。
 錦秋の谷を下る。
 時間が有り余っていたので、二又に荷を降ろしタカヘグリ新湖を見に行くことにする。途中でまたもムキタケが・・・。もちろん採らずに先を急ぐ。
 落ち葉の造形美。昨日までの雨と強風で、おびただしいほどの落ち葉が渓に舞い落ちた。その不思議な紋様がオモシロイ。
 巡視員?兼カメラマンも夢中で落ち葉を撮影していた。既にタカヘグリの撮影を終え、下る途中のようだ。「お先に」と声をかけ、足早に歩く。
 落ち葉の不思議な紋様2・・・手前の落ち葉ではなく、浅瀬でクルクル回転している落ち葉の下が気になった。なぜならこうした場所に岩魚のペアが潜んでいる。
 平凡な大川を徒渉し、右に直角に曲がると渓相は一変、岩壁の回廊となる。岸壁を彩る紅葉と水面に移る紅葉が一際美しい。
 左岸は、屹立する岩壁で、紅葉最盛期は美の極致を見せてくれるだろう。
大川タカヘグリ新湖・・・幻の湖と化す
 上の写真二枚は二年前に撮影したもの。右岸の山が崩れて沢を堰き止め、新しい湖が誕生したのが右の写真だ。屹立する岩場と正面に滝が落下する美景だけに、白神の新名所の一つだったが・・・
 何とご覧のとおり、堰き止めたはずの大量の岩石と土砂は既に流されていた。いつ流されたのか、定かではないが、こんなに早く幻の湖になろうとは、想像だにしていなかった。水の力の凄さを改めて実感する出来事だった。
 屹立する岩壁を彩る紅と黄、正面にフキアゲの沢の滝が滑るように落下している。新湖は水深が浅くなったとは言え、その美わしさはまだまだ健在だ。「綺麗だなや」との声が誰彼となく乱れ飛んだ。
 水面に写るフキアゲ沢の滝と紅葉。中間までは浅いので、水の中に入って滝に近づく。降り積もった落ち葉が厚く、歩くと底なし沼のように下に沈む。慎重に前進してみた。
 湖の中間部から撮影。沢は左に直角に曲がっている。その奥は、大川最大の難所・黒の峡谷と呼ばれるタカヘグリだ。残念ながら中間部より奥は深くて、泳がないとタカヘグリを見ることはできない。夏なら快適に泳いで、何とか見られそうな気がする。
タカヘグリ湖・・・岩魚の「神秘の舞い」
 後で何やら騒々しい。水面に目を転じると尺イワナのペアが・・・延々と続く恋のダンスに釘付けとなった。
 堂々とした尺上イワナのペアだ。近づいても二匹は恋のダンスに夢中で逃げようともしない。岩魚の不思議な生態をじっくり激写するには、これ以上ないベストシーンだった。訪問者には目もくれず、ひたすら右に左にゆっくり回転しながら華麗なダンスを繰り返す。黒壁と紅葉の滝だけでも美しい場所で、まさかの恋のダンスを見られるとは・・・(撮影:柴田直俊)
 ベストにぶら下げていたソニーCyber-shot Uに気付き、俄かに水中撮影を試みる。近寄りすぎた昨日の失敗も手伝って、ちょっと距離を置いて撮影したのだが・・・光が届かず不鮮明な画像しか撮れなかったのは修行が足りない証拠。1mぐらいまで急接近しないと成功の確率は低いといわざるを得ない。不満が残る画像だが、お互いに優しくクロスしているのが分かるだろうか。

 観察結果を記せば・・・お互いに寄り添うようにクルクル回転しながら遊泳し、オスがメスの腹部を突付く。今度はメスがオスの腹部を突付く。それを何度も繰り返す。これはお互いに産卵を促す行為に違いない。昨日のペアは、産卵寸前だったから、腹を突付きあう光景は見られず、あくまで産卵床の真上でそっと寄り添う感じだった。上のペアは、まだ産卵床を掘っていないペアのようだ。
 本によれば、「オスは盛んにメスの腹を突っついたり、下から尾を噛んだり、下から潜ったりと、メスに産卵床を促している」(「イワナ釣り そのすべて」植野稔著、河出書房新社)、「ペアが決まると、オスはメスに近づき、体を震わせて、メスに産卵床を掘ることを促す」(「イワナその生態と釣り」山本聡著、つり人社)、とあるが、このいずれの場合とも異なっていた。お互いに絡み合うように遊泳しながら交互に突っつき合う光景をどう解釈したらよいのだろうか。

 いずれにしても数十分、途切れることなく繰り返されたドラマ・・・大川で最も美しいタカヘグリ湖を舞台に、深山幽谷の主が年に一度行う「神秘の舞い」に感動、感激の連続だった。釣りなら神経質なイワナにこれほど近づくこともありえない。それだけに新鮮な感動に戦慄する思いで水中のカメラを押し続けた。(ソニーCyber-shot U)
 恋のダンスの興奮が覚めやらぬ中、今度はオオモミジの色鮮やかな黄葉にしばし足止めを食わされた。こうした感動のドラマは、好奇心と一見無駄に思える道草から生まれる。来年からは、「道草道中のススメ」で行きたいと思う。
 キツネノチャブクロ・・・成熟すると、上の写真のように頭部に穴が開いて胞子を飛ばす。食用になるのは、肉が白い若い菌のみ。
 お世話になったキノコ狩りガイドブック。我が家の猫は、イワナとくれば大いなる関心を示すが、キノコともなれば全く関心がなく(当たり前か)、本を座布団代わりにしてスヤスヤ眠っている。早春から晩秋まで、イワナと山菜、キノコ三昧に明け暮れる主人にホトホト呆れ返っているようだ。それでも山から帰ってくると、いの一番に玄関先まで出迎えてくれるのは、いつもこの猫だけである。情けない話だが・・・。
 ナメコの山で2003年山釣り最後を飾る記念撮影。ナメコの山とイワナの神秘の舞いに、4人がいかに感動、感激、絶叫・・・したことか。天候不順でキノコが不作との情報が飛び交ったが、なぜか2003年は嬉しいドラマの連続だった。これは単なる偶然なのか、それとも長年の野生の勘なのか・・・それはもしかして山の神のみぞ知ることかも知れない。「来年もよろしくお願いします」と丁重に山ノ神にお礼を述べて、2003年山釣りの旅を終えたいと思う。
おまけの画像
 ナメコmemo・・・モエギタケ科。ブナ林を代表するキノコで、地方名は、ヌイド、ナメラッコ。漢字を当てると「滑子」。傘は半球形で、後に丸山形から扁平となる。表面は粘液に覆われ、湿っている時は特に著しい粘性がある。傘が開くと(下の写真)、中央部が赤褐色で、周辺部は黄褐色。肉は厚く、淡黄色。ナメコは発生する木を変えながら、1ヶ月にもわたって次々と現れてくるのが大きな特徴。発生時期:10月上・中旬〜11月上旬。発生場所:ブナの枯幹、倒木、切り株上に群生する。
 参 考 文 献
「ヤマケイポケットガイド15 きのこ」(小宮山勝司著、山と渓谷社)
「釣り人のための山菜・きのこ」(菅原光二著、つり人社)
「山菜、キノコ、木の実採り入門」」(鈴木アキラ編著、山と渓谷社)
「キノコ採りの楽しみ」(伊沢正名ほか著、永岡書店)
「あきた山菜 キノコの四季」(永田賢之助著、秋田魁新報社)
「キノコ狩りガイドブック」(伊沢正名ほか共著、永岡書店)
「津軽白神山がたり」(根深誠著、山と渓谷社)
「白神山地 修験の源流行」(北川 山人著、北の街社)
「イワナ その生態と釣り」(山本聡著、つり人社)
「イワナ釣り そのすべて」(植野稔著、河出書房新社)
「きのこ・木の実・山菜カラー百科」(主婦の友社)

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