ナメコ狩り1 キノコ狩り2 岩魚の恋1 岩魚の恋2 山釣り紀行TOP 


 落ち葉舞い散る源流で岩魚のペアが恋をする物語・・・ラッキーなことに源流の浅瀬で岩魚の産卵シーンが始まった。先を歩いていた柴ちゃんが最初に発見。這うように静かに近づき、夢中でデジカメのビデオモードで撮影していた。私も遅ればせながら撮影に参加させてもらう。夢にまで見た劇的なシーンに出くわすと、キノコの事はすっかり忘れてシャッターを切る。

 画像はちょっと不鮮明だが、岩魚の魚体がかなり黒くなっているのがお分かりだろう。手前の岩魚はメスだが、側線に沿って黒い帯が走っているように見える。ペアの岩魚を何度も目撃したが、いずれも独特の黒い帯があり、これが発情した岩魚の婚姻色に間違いない。
 メスが尾ビレで掘り返した産卵床の周りをゆっくり周遊しながら、恋のダンスを繰り返す。時折、産卵床の中央で擦り寄るものの、なかなか産卵シーンには突入しない。距離1mほどまで接近しても、岩魚は共に夢中で気付く気配はなかった。時折、別のオスが割り込みに入ろうとするが、ペアのオスは物凄い勢いで追い払う。そのスピードは凄まじく、残念ながら写真に撮ることはできなかった。ビデオカメラなら、遠くからでも鮮明な画像が撮れただけに、ビデオカメラマン・中村会長の欠席を悔やむしかなかった。よくあることだが、ビデオカメラがない時に限ってこんなシーンに出くわすとは・・・。終わってみれば、実に悔やみきれないほど貴重なシーンだった。

 今度は右岸の繁みに隠れて、真上から撮影しようとしたが、これは見事に失敗。上からだと岩魚に簡単に見つけられてしまうのだった。残念ながら恋のダンスは中断、岩陰に隠れ、以降二度と出てくることはなかった。産卵シーンを撮る絶好のチャンスだったが・・・撮影に夢中になる余り、ちょっと配慮に欠けていたことを反省、反省。
 産卵床のアップ写真・・・流れの緩い浅瀬で、小砂利が堆積した場所に産卵床を作っていた。その深さは、想像していた以上に深いものだった。厳しい源流で子孫を残す知恵に脱帽・・・。諦めきれず、この下流でのんびり昼食とし、産卵再開を待ったが、二度とそのドラマは始まらなかった。残念、無念・・・。
産卵直前の「恋のダンス」・ビデオNO.1
 産卵床の中央でオスとメスがお互いに体を擦り寄せながら、恋のダンスを繰り返す貴重なシーンだ。
 ビデオサイズ:320×240 長さ:15秒 1,402KB Windows Media Video V7(撮影:柴田直俊)

 このビデオを繰り返し見ていると、メスが産卵床中央まで来ると、オスがメスに擦り寄って産卵を促しているように思う。しかし、何度繰り返しても、なかなか産卵のタイミングが合わない。恐らく、もう10分から15分もすれば産卵の瞬間が見れたように思うのだが・・・。産卵の瞬間は、来年の大きなテーマになりそうだ。
産卵直前の「恋のダンス」・ビデオNO.2
 ビデオサイズ:320×240 長さ:15秒 1,316KB Windows Media Video V7(撮影:柴田直俊)

 岩魚の産卵は、一般にメスが産卵適地を選ぶ。そのメスを巡って激しい争いが起きる。ケンカに勝ったオスは、メスの腹部を突付き、産卵床を掘るよう促す。我々が見た産卵前のシーンは、産卵床を掘り終え、まさに産卵寸前だった。面白いことに、負けたオスは退散せず、隙あらば産卵に参加しようと狙っていた。恐らく、産卵の瞬間に割り込んで放精するに違いない。つまり強い者だけが子孫を残すわけではなく、弱い岩魚も漁夫の利を得て子孫をちゃんと残しているところがオモシロイ。つまり岩魚も弱肉強食だけで進化してきたわけではなく、弱いオスもちゃんと子孫を残したきたのである。こうした隠れた生態こそ、岩魚の遺伝子の多様性を生み出す原動力のように思う。それは人間も含めて、全ての生物、社会に共通することではなかろうか。

 ダーウィンの進化論を金科玉条のように教えられた世代としては、こうした生態を見るにつけ、大いなる疑問を抱かざるを得ない。ケンカに負けた弱い岩魚も、受験競争に敗れた人間もちゃんと子孫を残し幸せに生きている事実を見れば、ダーウィンの進化論はやはり「生物の多様性」という視点を無視していたように思う。むしろダーウィンの進化論の行き着く先は、種の単純化、遺伝子の単純化を招くことになる。その先には、絶滅のシナリオしか描けなくなってしまう。こうした極端な進化論は早急に修正すべきだと思うが、いかがだろうか。
産卵直前の「恋のダンス」・ビデオNO.3
 F1滝下流の渓相・・・大量の落ち葉が渓流に堆積、岩魚の産卵の季節を告げる風景だ。こうした場所では、落ち葉の下でペアを組む岩魚を何度も目撃した。しかし、産卵が近くないとすぐに気付かれ、落ち葉の下に隠れられてしまうのが常だった。
岩魚の水中撮影
 F1下流の滝壺で水中撮影をした一枚。滝壺に落下する流れの下を遊泳する岩魚が何とか写っていた一枚。側線に沿って黒い帯はなく、この岩魚はまだ発情していないことを示している。源流の岩魚は、一斉に発情するわけではなく、危険分散を考え、産卵は数ヶ月に及ぶだろう。(ソニーCyber-shot U 撮影:柴田直俊)
 水中の岩魚を完全にとらえた一枚。デジカメのフラッシュで目が反射しているのが不自然だが、野生の岩魚を簡単に水中撮影できるだけでもデジカメの進歩に驚かされる一枚だ。(ソニーCyber-shot U 撮影:柴田直俊)
 平坦な場所には、苔に覆われた巨木も目立ち、原生的な雰囲気に満ちてくる。緑の苔と背後の黄葉の対比に注目。
 F1・15m滝・・・手前の壷には岩魚が群れていた。この滝は右岸のガレ場を小さく巻く。意外と簡単に巻くことができる。
 F2・20m滝・・・F1の滝からまもなく、F2の豪快な滝が正面に姿を現す。垂直の壁をドーッと落下する直滝だ。
 垂直な黒壁、水平な滝頭・・・まるで鉄壁を水の斧で削り落とすかのうように垂直に落下している。飛沫は凄まじく、デジカメを持って不用意に近づくことはできない。左のガレ場を登って、やっとF2滝の全貌を撮る。一見巻くのが困難に見えるが、右岸にルートをとれば簡単に巻くことができる。
 右岸を小さく巻き、F2の滝頭を上から撮る。まるで人工の落差工のようにも見えるほど水平な岩盤に驚く。赤茶けたブナの落ち葉が晩秋の滝に彩りを添えている。
 滝上は、小滝が連なるものの、まもなく谷は開け、平坦な渓相に一変する。
 右岸の急斜面でブナハリタケの群生を見つける。名前のとおり、ブナの倒木や立ち枯れた幹に群生する。1ヶ所で大量に採取できるキノコで、山村では塩漬け保存する。独特の臭みがあるが、茹でて水にしばらくさらすと匂いが消える。それを絞って、バター炒め、ごま油炒めが美味い。
 急斜面を直登すれば、スパイク付きでも滑るほど斜面の傾斜はきつい。横にジグザグしながら上り、一つ一つ丁寧にナイフで切り取る。遥か下に沢が流れているのが見える。
 驚くほど平坦な河原が延々と続く。源流部で、こんな穏やかな流れは珍しい。まるで別世界にタイムスリップしてきたかのようだった。種沢らしく、昨年生まれたばかりの子イワナたちが群れていた。無造作に歩く我々に気付き、足元からペアのイワナが走る姿もあった。源流部に行くにつれて、キノコの姿は少なくなったが、イワナウォッチングは実に楽しいものだ。
 源流部のブナ林は早くも冬支度モード。すっかり葉を落とした樹幹を木枯らしが吹きぬけてゆく。斜面はブナの落ち葉で埋め尽くされていた。
 黄葉も終わりを告げ、灰色と化したブナ林。ここで俄かに雲行きが悪くなってきた。今にも雨が降り出しそうな気配だった。
 緑のスポンジのような苔に覆われた倒木。ここで引き返すことにする。下り出すとまもなく、稲妻が走ったと同時に地響きするような雷が落ちた。高度が高ければ高いほど、雷の衝撃度も大きい。すぐに大粒の雨が降り出した。足早に渓を下る。
 雨が降り続いていたが、盛大な焚き火を囲みキノコ三昧。今夜は秋田産の和牛を使ったキノコ鍋とキノコの炒め物・・・冷え込みが厳しい10月下旬、アツアツのキノコ料理を食べるのは最高の悦楽だ。酒もあっと言う間になくなり、ホットウィスキーを飲む。腹が裂けんばかりに食べたお陰で、4人とも飯を食べる余裕は全くなかった。200%満足し、夢の世界へ。(料理する時は既に暗く、美味しそうなキノコ料理を写真でお見せできないのが残念)
 三日目の朝、雨も上がり朝の冷え込みも厳しい。今日こそ天気が良さそうだ。晩秋の渓をスローシャッターで撮るべく、早めに起きて思うがままに撮りまくる。フィルムや現像代を気にすることなく、バシャバシャ撮る快感はデジカメでしか得られない。
 晩秋、渓流の主役は落ち葉
 黄葉も素晴らしいが、晩秋の渓を彩る落ち葉の演出こそ心憎いほど素晴らしい。渓を歩くにしても、落ち葉は足に心地よく、すこぶる快適だ。辺りを見回すと、沢や林床が落ち葉で紅葉しているようにも見える。
 沢一面、落ち葉で紅葉した風景。豊穣の森で展開される水の循環、落ち葉の循環に思いを馳せる。永遠に循環を繰り返す持続的なシステムは、こうした原生的な自然から学ぶべきだろう。

ナメコ狩り1 キノコ狩り2 岩魚の恋1 岩魚の恋2 山釣り紀行TOP 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送